地域医療支援病院
地域医療支援病院(ちいきいりょうしえんびょういん)は1997年(平成9年)4月の医療法の第3次改正で制度化された医療機関の機能別区分のうちの一つ。
目次
- 1 制度の趣旨
- 2 承認要件
- 3 承認条件変遷の背景
- 4 現在の地域医療支援病院の状況
- 5 地域医療の役割の変化
- 6 地域医療支援病院一覧
- 6.1 北海道
- 6.2 青森県
- 6.3 岩手県
- 6.4 宮城県
- 6.5 秋田県
- 6.6 山形県
- 6.7 福島県
- 6.8 茨城県
- 6.9 栃木県
- 6.10 群馬県
- 6.11 埼玉県
- 6.12 千葉県
- 6.13 東京都
- 6.14 神奈川県
- 6.15 新潟県
- 6.16 富山県
- 6.17 石川県
- 6.18 福井県
- 6.19 山梨県
- 6.20 長野県
- 6.21 岐阜県
- 6.22 静岡県
- 6.23 愛知県
- 6.24 三重県
- 6.25 滋賀県
- 6.26 京都府
- 6.27 大阪府
- 6.28 兵庫県
- 6.29 奈良県
- 6.30 和歌山県
- 6.31 鳥取県
- 6.32 島根県
- 6.33 岡山県
- 6.34 広島県
- 6.35 山口県
- 6.36 徳島県
- 6.37 香川県
- 6.38 愛媛県
- 6.39 高知県
- 6.40 福岡県
- 6.41 佐賀県
- 6.42 長崎県
- 6.43 熊本県
- 6.44 大分県
- 6.45 宮崎県
- 6.46 鹿児島県
- 6.47 沖縄県
- 7 外部リンク
- 8 脚注
- 9 関連項目
制度の趣旨
目的としては、地域の病院、診療所などを後方支援するという形で医療機関の機能の役割分担と連携を目的に創設された。都道府県知事によって承認される。特定機能病院とは性質が異なっている。二次医療圏当たり一つ以上存在することが望ましいとされている。
地域医療支援病院は都道府県に対し、地域医療支援病院の業務報告書を出し、各都道府県はこれを公表する。
承認要件
要件は医療法第4条(具体的には医療法と厚生労働省令)に記されている。
- 病院の規模は原則として病床数が200床以上の病院であること。
- 他の医療機関からの紹介患者数の比率が80%以上(承認初年度は60%以上)であること。あるいは紹介率40%以上かつ逆紹介率60%以上であること。
- 他の医療機関に対して高額な医療機器や病床を提供し共同利用すること。
- 地域の医療従事者の向上のため生涯教育等の研修を実施していること。
- 救急医療を提供する能力を有すること。
承認条件変遷の背景
当初都道府県や厚生労働省は、地域医療支援病院は公的医療機関が担う機能と考えていた。しかし、公的医療機関であるため外来抑制が難しいことや公務員であるが故の医療機器の共同利用(CT,MRI)の硬直化などから、紹介率60%すら達成できない状況となった。一方で民間病院の中でも、医療経営に積極的な病院は、紹介率アップのため地域医療機関へのきめ細やかなサービスと、外来の分離といった政策により、地域医療支援病院の認定を受けていった。
国や地方公共団体は、公的医療機関を診療報酬上も有利な制度に組み入れたいため、紹介率を40%に下げるといった政策変更を行った。
結果的に、その効果は十分発揮されているとはいえない。
現在の地域医療支援病院の状況
1996年(平成8年)4月に始まった制度である。当初地域医療支援病院に承認された多くは医師会立病院であった。医師会立病院はその多くが、外来を持たず、診療所からの検査(主にCTやMRIなど)を請け負う地方に建てられた病院である。そういった点から地域医療支援病院として承認されやすい環境であった。
近年診療報酬の削減が進む中、200床以上の急性期民間病院が、地域医療支援病院になることによって得る医療収入の増加を目指して、条件をクリアするため以下のような政策をとり、地域医療支援病院を目指した。
- 紹介状を持たない初診患者に対する特定療養費の徴収による外来抑制
- 外来部門を付属クリニックとして分離し外来を抑制
- 高度検査機器の導入による検査紹介患者の拡大
- 救急車による搬送患者受け入れ態勢の整備
上記政策の実施により、力の在る民間病院が地域医療支援病院の承認を受けることとなった。
地域医療支援病院に承認されることによるメリットとしては、当時急性期入院加算や急性期特定入院加算(現在は廃止)などの診療報酬の加算が得られることに加え、地域医療支援病院入院加算(1,000点 1万円)が1人につき入院初日に1回加算できることであった。現在は地域医療支援病院の多くがDPC導入病院であるため、DPC導入病院の場合は、機能評価係数加算を地域医療支援病院加算の代わりに請求している。
患者一人あたり一回の入院について10,000円収入が得られるということは、例えば300床の病院で、平均在院日数を12日とすると、今までと同じ診療行為を行っても、約750万円の増収となる(年間9,000万円)。
2007年(平成19年)3月現在153病院である[1]。本来二次医療圏に一つの地域医療支援病院を承認するという考えであったが、現在全国358の二次医療圏に対し、地域医療支援病院が置かれているのは110医療圏である。
地域医療の役割の変化
地域医療支援病院の考え方も、医療提供体制の見直しにより変化しつつある。
これまで長年にわたって機能してきた階層型構造の医療体制では、患者中心の医療を提供できないという反省から出てきた。階層型医療体制とは、1次医療は普段からの健康相談が受けられる、かかりつけ医を中心とした地域医療体制であり、2次医療は、入院治療を主体とした医療活動がおおむね完結する医療。そして3次医療では、先進的な技術や特殊な医療、発生頻度が低い疾病に関するものなどの医療需要に対応した医療構造である。
現在の医療計画制度の問題点としては、次の点があげられる。
- 患者の実際の受療行動に着目するのではなく、医療提供サイドの視点で構想。
- 地域の疾病動向を勘案しない量的な視点を中心に構想。
- 地域の医療機関が担える機能に関係なく、結果として大病院を重視することとなる階層型構造を念頭に構想。
社会保障審議会が提唱する新たな医療計画制度での医療連携体制とは、
- 患者を中心にした医療連携体制を構想。
- 主要な事業ごとに柔軟な医療連携体制を構想。
- 病院の規模でなく医療機能を重視した医療連携体制
上記医療体制の確立を目指している。
地域医療支援病院一覧
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
- 筑波メディカルセンター病院
- 国立病院機構水戸医療センター
- 取手北相馬保健医療センター医師会病院
- 国立病院機構茨城東病院
- 水戸済生会総合病院
- 国立病院機構霞ヶ浦医療センター
- JAとりで総合医療センター
- 茨城県立中央病院
- 筑波記念病院
栃木県
群馬県
埼玉県
- 埼玉県立小児医療センター
- さいたま市民医療センター
- 東松山医師会病院
- 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
- 狭山病院
- 行田総合病院
- 深谷赤十字病院
- 埼玉県済生会栗橋病院
- 国立病院機構埼玉病院
- 埼玉県済生会川口総合病院
- 埼玉県立循環器・呼吸器病センター
千葉県
東京都
(東京都の一覧は2012年(平成24年)9月28日現在。承認日順かつ病院名順。)
- 東京都保健医療公社多摩南部地域病院
- 東京都保健医療公社東部地域病院
- 河北総合病院
- 榊原記念病院
- 武蔵野赤十字病院
- 東京都保健医療公社多摩北部医療センター
- 立川病院
- 国立病院機構災害医療センター
- 東京都保健医療公社荏原病院
- 東京都保健医療公社大久保病院
- 江戸川病院
- 東京労災病院
- 東京共済病院
- 国立病院機構東京医療センター
- 東京都保健医療公社豊島病院
- 公立昭和病院
- 公立学校共済組合関東中央病院
- 順天堂大学医学部附属練馬病院
- 聖路加国際病院
- 東京都済生会中央病院
- 日本赤十字社医療センター
神奈川県
- 藤沢市民病院
- 済生会横浜市南部病院
- 平塚共済病院
- 相模原協同病院
- 横須賀共済病院
- 神奈川県立こども医療センター
- けいゆう病院
- 横須賀市立市民病院
- 横浜市立市民病院
- 関東労災病院
- 横浜市立大学附属市民総合医療センター
- 横浜労災病院
- 国立病院機構横浜医療センター
- 海老名総合病院
- 済生会横浜市東部病院
- 神奈川県立循環器呼吸器病センター
- 横浜市立みなと赤十字病院
- 横浜栄共済病院
- 横須賀市立うわまち病院
- 国立病院機構神奈川病院
- 小田原市立病院
- 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
- 川崎市立多摩病院
- 菊名記念病院
- 東名厚木病院
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
- 静岡県立こども病院
- 浜松医療センター
- 聖隷浜松病院
- 聖隷三方原病院
- 静岡市立静岡病院
- 静岡県立総合病院
- 浜松赤十字病院
- 沼津市立病院
- 静岡赤十字病院
- 焼津市立総合病院
- 藤枝市立総合病院
- 市立島田市民病院
愛知県
- 名古屋第二赤十字病院(名古屋市)
- 名古屋第一赤十字病院(名古屋市)
- 名古屋共立病院(名古屋市)
- 社会保険中京病院(名古屋市)
- 国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市)
- 名古屋掖済会病院(名古屋市)
- 名古屋記念病院(名古屋市)
- 岡崎市民病院(岡崎市)
- 安城更生病院(安城市)
- 総合大雄会病院(一宮市)
- 公立陶生病院(瀬戸市)
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
- 東住吉森本病院
- 馬場記念病院
- ベルランド総合病院
- 高槻病院
- 淀川キリスト教病院
- 若草第一病院
- 大阪厚生年金病院
- 府中病院
- 星ヶ丘厚生年金病院
- 北摂総合病院
- 大阪府立急性期・総合医療センター
- 国立病院機構大阪医療センター
- 国立病院機構大阪南医療センター
- 市立池田病院
- 大阪府済生会吹田病院
- 松下記念病院
- 大阪赤十字病院
- 大阪市立総合医療センター
- 北野病院
- 大阪警察病院
- 市立岸和田市民病院
- 市立豊中病院
- 箕面市立病院
兵庫県
- 兵庫県立淡路医療センター
- 神戸赤十字病院
- 明石医療センター
- 神戸市立医療センター中央市民病院
- 兵庫県立こども病院
- 兵庫県立西宮病院
- 兵庫県立尼崎病院
- 関西労災病院
- 兵庫県立加古川医療センター
- 加古川西市民病院
- 兵庫県立姫路循環器病センター
- 神鋼病院
- 社会保険神戸中央病院
- 市立伊丹病院
- 公立学校共済組合近畿中央病院
- 西脇市立西脇病院
- 国立病院機構神戸医療センター
- 三田市民病院
- 三木市立三木市民病院
- 姫路赤十字病院
- 国立病院機構姫路医療センター
- 公立八鹿病院
兵庫県/地域医療支援病院について 2013年7月4日閲覧
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
- 呉市医師会病院
- 三原市医師会病院
- 廣島総合病院
- 国立病院機構福山医療センター
- 広島赤十字・原爆病院
- 県立広島病院
- 国立病院機構呉医療センター
- 尾道市立市民病院
- 尾道総合病院
- 広島市立広島市民病院
- 広島市立安佐市民病院
- 中国労災病院
- 広島記念病院
- 呉共済病院
- 国立病院機構東広島医療センター
- 福山市民病院
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
- 宗像医師会病院
- 甘木朝倉医師会病院
- 糸島医師会病院
- 国立病院機構九州医療センター
- 小倉記念病院
- 製鉄記念八幡病院
- 戸畑共立病院
- 飯塚病院
- 公立学校共済組合九州中央病院
- 国立病院機構福岡東医療センター
- 福岡大学筑紫病院
- 九州厚生年金病院
- 福岡市立こども病院・感染症センター
- 福岡徳洲会病院
- 聖マリア病院
- 国立病院機構小倉医療センター
- 浜の町病院
- 九州労災病院
- 健和会大手町病院
- 新古賀病院
- 新行橋病院
- 田主丸中央病院
- 白十字病院
佐賀県
長崎県
- 長崎市立市民病院
- 済生会長崎病院
- 国立病院機構長崎医療センター
- 国立病院機構長崎川棚医療センター
- 健康保険諫早総合病院
- 長崎県島原病院
- 佐世保中央病院
- 佐世保市立総合病院
- 長崎労災病院
- 佐世保共済病院
熊本県
- 天草地域医療センター
- 熊本地域医療センター
- 国立病院機構熊本医療センター
- 健康保険人吉総合病院
- 済生会熊本病院
- 熊本労災病院
- 荒尾市民病院
- 熊本赤十字病院
- 山鹿市民医療センター
- 国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院
大分県
- 大分市医師会立アルメイダ病院
- 臼杵市医師会立コスモス病院
- 大分岡病院
- 国立病院機構別府医療センター
- 大分県立病院
- 国立病院機構大分医療センター
- 新別府病院
- 宇佐高田医師会病院
- 大分赤十字病院
- 中津市立中津市民病院
- 大分県済生会日田病院
宮崎県
鹿児島県
- 鹿児島市医師会病院
- 川内市医師会立市民病院
- 出水郡医師会立阿久根市民病院
- 霧島市立医師会医療センター
- 肝属郡医師会立病院
- 曽於郡医師会立病院
- 南風病院
- 国立病院機構鹿児島医療センター
- 県民健康プラザ鹿屋医療センター
- 県立大島病院
- 国立病院機構指宿病院
- 県立薩南病院
沖縄県
外部リンク
脚注
- ↑ http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0423-9c.pdf 地域医療支援病院(平成19年3月30日現在)合計153病院 (別添1参照)