Wi-Fi
Wi-Fi(ワイファイ、Wireless Fidelity)は、無線LANの規格のひとつ。Wi-Fi Alliance(米国に本拠を置く業界団体)によって、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称。
概要
無線LANが商品化された当初は、同一メーカーであってもラインナップの異なる製品間では相互接続は保証されていなかった。このため、購入検討にあたり実際に接続可能かどうかユーザーにわかりづらく、無線LANの一般への普及に問題があった。
Wi-Fi Allianceは、ユーザーのニーズを汲んで技術が成熟できるように、この問題を解決するための団体として1999年にWECA (Wireless Ethernet Compatibility Alliance) という団体名でスタートし、2000年3月から認定業務を開始した。その後Wi-Fiの認知度が高まってきた2002年10月にWi-Fi Allianceに改名した。
ある製品が同じブランドを表示する他の製品と組み合わせて利用できるということをユーザーが確認できるようにするため、Wi-Fi AllianceはWi-Fi CERTIFIEDブランドを作った。認定された機器には、Wi-Fi Allianceの登録商標であるWi-Fiロゴの使用が許可される。
Wi-Fiの名称の由来はHi-Fi (High Fidelity) の韻を踏んだもので、IEEE 802.11規格などの無線LAN規格よりキャッチ―な名前を求めて命名された。「Wireless Fidelity」の略というのは後付けで、名前ができた後、意味も持たないのはまずいから付けられたもの[1]。
Wi-Fi規格の種類
- IEEE 802.11a
- 5GHz帯を使用し、最大リンク速度54Mbps
- IEEE 802.11b
- 2.4GHz帯を使用し、最大リンク速度11Mbps
- IEEE 802.11c
- IEEE 802.1d規格の改訂版
- IEEE 802.11d
- データリンク層での、コンテンツサービスの品質を向上するための規格
- IEEE 802.11e
- IEEE 802.11f
- ローミング用規格
- IEEE 802.11g
- 2.4GHz帯を使用し、最大リンク速度54Mbps
- IEEE 802.11h
- IEEE 802.11i
- IEEE 802.11Ir
- IEEE 802.11j
- IEEE 802.11a規格の周波数帯域を日本向けに修正した規格
- IEEE 802.11n
- IEEE 802.11aおよびIEEE 802.11gを高速化した規格。2.4GHz帯および5GHz帯を使用し、最大リンク速度600Mbps
- IEEE 802.11ac
- IEEE 802.11nを高速化した規格。5GHz帯を使用し、最大リンク速度6.9Gbps
- IEEE 802.11ad
- 60GHz帯を使用し、最大リンク速度6.8Gbps
「Wi-Fi」と「無線LAN」の定義の差
「無線LAN」(IEEE 802.11規格の無線LAN)と「Wi-Fi」との差違は、製品にWi-Fi CERTIFIEDロゴが表示されているかどうかである。Wi-Fi CERTIFIEDロゴを製品に表示するためには認証を受ける必要があり、認証されていないものは機能が同じでもWi-Fiとは名乗ってはいけない。
たとえば、FON端末がWi-Fi認証を受けたのは2008年11月であり、それ以前のFONはWi-Fiとは名乗れなかった。逆にWi-Fi Allienceが定めたWPA version 1仕様はIEEE 802.11のドラフトをもとにした仕様であり、古いWPA version 1はIEEE 802.11を満たしていない(WPA version 2はIEEE 802.11を満たしている)。
利用
Wi-Fiにより異なるメーカーの機器間での相互接続性が保証されているため、コンピュータ、フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット、PDAのような多様な機器が無線LANを利用し、例えばアクセスポイントを経由しインターネットへ接続できる。アクセスポイントによりインターネット接続が可能な領域をホットスポットという。ホットスポットは部屋の中だけのものから、複数のアクセスポイントを重ねることで数キロメートル四方にまで及ぶものもある。無線LANはまたメッシュネットワークを構築するために利用できる。両方のアーキテクチャがコミュニティネットワークで使われている。
また、この規格の中にはアクセスポイントなど外部通信機器を経由せずに通信端末同士を直接接続するP2P(ワイヤレス・アドホック・ネットワーク)というモードがあり、これは家電やゲーム機などでの採用例が見られる。一般的にはアドホックモード、アドホック接続などと呼称されている。
今後の方向
当初想定されていたノートパソコンなどのモバイルコンピューティング機器のLocal Area Network以外にも、PSP・PS Vitaなどの携帯ゲーム機や、フィーチャーフォン、スマートフォン、スマートテレビ、音楽プレイヤー、デジタルカメラ等の家電製品にも搭載されている。
Wi-Fiにより相互接続性が保証されているアクセスポイントに接続することで、インターネットのほか、インターネット電話、ゲーム機器などの多様な無線LAN機器が接続、利用されている。Wi-Fiを利用したdocomo Wi-Fi、フレッツスポット、FON、ソフトバンクWi-Fiスポット、au Wi-Fi SPOTを始めとする多くの有料/無料の公衆無線LANが存在する。
また、携帯電話網を由来とした3G (HSPA)・LTE やWi-Fiの広域版ともいえるモバイルWiMAXのような高速無線アクセス網をインターネットアクセスのバックボーンとし、二次電池などを内蔵した小型のアクセスポイント「モバイルWi-Fiルーター」製品が出現し、Wi-Fiの弱点である面的なエリア展開を補完している。
ゲーム機のWi-Fi
一部のゲーム機や携帯ゲーム機はゲームの楽しさを高めるためにWi-Fi技術を利用している。
- ソニー・コンピュータエンタテインメント
- PlayStation Portable、PlayStation Portable goは、Wi-Fi認証された無線LANを標準装備している。暗号化はWPAまで対応。
- PlayStation 3は、HDD20GBモデルを除きWi-Fi認証された無線LANを標準装備している。暗号化はWPA2まで対応。
- PlayStation Vitaは、Wi-Fi認証された無線LANを標準装備している。暗号化はWPA2まで対応。
- PlayStation 4は、暗号化はWPA2まで対応。
- ニンテンドーWi-Fiコネクション、ニンテンドーネットワーク(任天堂)
- マイクロソフト