ルッケーゼ一家
ルッケーゼ一家(―いっか、Lucchese crime family)は、アメリカ合衆国のニューヨークのマフィア(コーサ・ノストラ)の犯罪組織の一つである。
概要
サルヴァトーレ・マランツァーノがニューヨーク・マフィアを再編成した時の五大ファミリーの一つで、その時のボスはガエターノ・ガリアーノであった。ジョー・マッセリアとマランツァーノの抗争時に殺害されたガエターノ・レイナを中心とするグループが元である。ハーレムやブロンクスを地盤とするため、"Harlem Crew"と呼ばれることもある。
ルッケーゼ一家という名称は、1950年代にガリアーノの跡を継いだト-マス・(三本指のブラウン)・ルッケーゼの名が由来である。ルッケーゼはフランク・コステロと並んで政界に強力なコネを持ち、そのファミリーはニューヨークの縫製産業を支配し、また労働組合運動にも強大な影響力を持っていた。ルッケーゼは、当時最強の旧ラッキー・ルチアーノの一家内でボスのフランク・コステロと対立するヴィト・ジェノヴェーゼと組んで、まずニューヨーク・マフィア最大の実力者コステロの追い落としに成功した。更に姻戚関係にあるカルロ・ガンビーノをアナスタシア一家のボスにつけた後、ボナンノ一家のボスのジョゼフ・ボナンノとプロファチ一家のボスのジョセフ・マリオッコによるニューヨーク・マフィア掌握の陰謀を未然に阻止し、ガンビーノと共にニューヨークを実質的に支配した。
ルッケーゼの死後はカーマイン・トラムンティ、アンソニー・コラーロがボスとなり、麻薬取引などにも手を染めるようになる。
1978年、ポール・ヴァリオ配下のジミー・バーク、トーマス・デシモーネなどがルフトハンザ航空強奪事件を引き起こす。その後、同じくヴァリオ配下のヘンリー・ヒルが情報提供者となったことで、バーク、ヴァリオら関係者が多数逮捕された。この事件は『グッドフェローズ』として小説・映画化された。
1986年には獄中のコラーロが指名した人物を殺害してヴィットーリオ・アムーソがボスの座を奪った。アムーソは腹心のアンソニー・"ガスパイプ"・カッソと共にガンビーノ一家のボスの座を奪ったジョン・ゴッティに反発してフランク・デチッコら側近を殺害する。このためゴッティは話し合いの末に何とか関係修復に成功した。その後、カッソはボスの座を奪おうとして失敗し、証人保護プログラムの保護下に入ることとなった。
その他、ポール・カステラーノと仲が良かったサルヴァトーレ・"トム・ミックス"・サントロ、ジョン・ディオグァルディなどが有名。
2012年現在のボスはスティーブン・クレーアである。
歴代のボス
- 1930-30年:ガエターノ・レイナ(殺害)
- 1930年:ボナヴェントゥーラ・ピンツォーロ(殺害)
- 1930-53年:ガエターノ・ガリアーノ(病死)
- 1953-66年:トーマス・ルッケーゼ(病死)
- 1966-73年:カーマイン・トラムンティ(引退)
- 1973-86年:アンソニー・コラロ(逮捕・収監→獄死)
- 1986年:アンソニー・ルオンゴ(殺害)
- 1987年-2012年:ヴィットーリオ・アムーソ(収監中)
- 2012年-:スティーブン・クレーア