みちのく北方漁船博物館
みちのく北方漁船博物館(みちのくほっぽうぎょせんはくぶつかん)は、青森県青森市沖館にある博物館。
概要
青森県とその周辺および北方世界の漁船の展示および研究を第一の目的とする博物館である。しかし、展示品は、漁船にとどまらず、北前船から、東南アジアのジャンク船ビニシ船、東アフリカのダウ船、北欧のヴァイキング船まで、幅広く船のことを扱っているのが特徴である。船舶の静態保存のみならず、動態保存にも熱心である。展示船舶を実際に動かしての青森湾遊覧などイベントも催される。
また、2003年から2006年まで青森市から委託を受けて「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」の運営をしていた。
2005年11月10日に、以前から手がけていた北前船の完成披露が行われることになり、みちのく丸と名付けられた。今後、この博物館に保存されることになる。
このみちのく丸の作成は、船大工の高齢化による後継者育成の意味合いもあるといわれている。
博物館の運営
博物館は1999年、みちのく北方漁船博物館財団によって設置された。この財団は、地元地銀のみちのく銀行の大道寺小三郎元会長が設立し、同人は博物館運営にも深くかかわっていた(後にはみちのく銀行頭取杉本康雄が財団理事長を務めた)。大道寺小三郎は銀行内で呼びかけて、青森県沿岸および函館市、秋田市、能代市、久慈市など支店付近の海岸で、滅亡しかけていた木造漁船(ムダマハギ型)を収集した。そのコレクションが国の重要有形民俗文化財の指定を受けたことが、博物館設立の大きなきっかけとなっている。こうして貴重な保存漁船の展示施設が計画され、あわせて海洋全般についての文化体験型学習施設が組み込まれた。青森駅から離れていることもあり観光客は当てにできないのが現状だが、地域の学校の体験学習に活用されたり、地元住民を対象にした休日のイベントも行われる。
2005年以降の運営
2005年のみちのく銀行の不祥事に伴う経営立て直しのため、入場料値上げやそれまで行われてきたイベントの縮小(2006年以降)を余儀なくされている。今後は、市民やみちのく銀行以外の企業などの支援など、運営をより円滑にする施策が要求される状況にある。
2010年9月下旬より、公益財団法人へ移行し、法人名も、公益財団法人みちのく北方漁船博物館財団に変更された。
主要展示品
- 津軽海峡および周辺地域のムダマハギ型木造漁船67隻(国の重要有形民俗文化財)
- 津軽海峡周辺ほか北日本の漁船
- 弁財船(北前船)縮小模型
- 外国の木造船(大韓民国、ベトナム、タイ王国、バイカル湖など)
- 漁撈道具、船大工道具、船具
- ジャンク船、ビニシ船、ダウ船、ヴァイキング船、ヨット(屋外展示、船溜りに係留)、YS-11(日本エアシステム塗装)