ヤマハ・ジョグ
ジョグ(JOG)とは、1983年3月にヤマハ発動機より発売された、主に若者層を対象としたスクータータイプのオートバイである。当初の発売時にイギリスの人気美形バンドブロスが出演したコマーシャルでおなじみとなり、日本メーカーが最も長く継続生産しているスクーターシリーズとして現在も数車種が生産されている。
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JOG
JOGは49cc2ストロークエンジンモデルとして登場した。初代は、当時としては強力な4.5psのエンジンを搭載し、軽量なボディのスポーツスクーターとして発売された。価格も99000円と安かったことから人気を博し、当時HY戦争の敗北で経営悪化していたヤマハ発動機を救うことになった。
2代目と3代目にはフロントディスクブレーキを装備したスポーツグレードSPORTS EDITION(ディスク装備によりのライト周りのカウル形状が異なる)を登場させ、3代目の途中からはJOG-Zと車名を変更し、更に4代目に存在したJOG-ZRシリーズは5代目JOGが登場しながらも、外見を変えず搭載エンジンを自動車排出ガス規制に合わせて変更することで生産し続けられた。同ZRシリーズは、登場後7年を経過した今でも今日のスクーターレース界では高い戦闘力を見せている。
各世代ごとの型式
- 初代:CE50[27V]
- 2代目:CG50[2JA/3CP]
- 3代目:CY50[3KJ/3RY]
- 4代目:YG50[3YJ/3YK]
- 5代目:YJ50[SA11J]
- 6代目:YV50[SA01J/SA04J/SA12J]
- 7代目:CV50[SA16J]
- 8代目:CE50[SA36J/SA39J]
2ストローク型JOGシリーズの原動機は大きく3世代に分けられる。その世代分けは、初代と2代目の通称縦型、3代目と4代目の横型(3KJエンジンとも呼ばれる)、5代目以降は排ガス規制となる。3世代目以降からはメットインとなり収納力が増えた。3世代目エンジンは基本的に横型をベースにしているため、ミッションのパーツをはじめ、ほぼすべてのパーツに互換性がある。これはJOGシリーズの原動機がヤマハの同クラスのスクーターにほぼそのまま流用されているためで、JOG Aprio(ジョグアプリオ)やJOG Poche(ジョグポシェ)などの派生車種だけでなく、縦型ではチャンプやエクセルやBW'S・GEAR、また横型ではビーノ、また原付2種用であるJOG90系エンジン(3WF)や、グランドアクシス系エンジン(B109E)でも同様に大部分のパーツに互換を持っている。このため、スクーターチューンにおいては『互換性のヤマハ』という定説が存在する。
なお7代目の途中からは全車両における生産の拠点を台湾(YMT)に移転させている。
2007年10月12日にフルモデルチェンジされた8代目からは、自動車排出ガス規制強化によりエンジンはVOXをベースとした水冷4ストローク・SOHC3バルブエンジンに変更され、燃料噴射装置や触媒なども装備されている。なお前輪ディスクブレーキ装備の上級モデルであるJOG Deluxe(ジョグデラックス)も同年12月に追加され、2009年1月15日には8代目の派生車種となる ZR が発売された。2012年9月には「アクセサリーパッケージ」仕様のローシートJOGも発売されている。
アプリオ (Aprio)
アプリオ (4JP) は、JOGの兄弟車種として1993年に発売されたモデルで、車体設計そのものはJOGよりもビーノに近い。当時のJOGに装備されていなかった集中メットインキーや、大型の燃料タンクなど実用性に長けた装備を持っており、JOG-ZRと同一の7.2psのエンジンを搭載したAprio TYPEIIや、フロントブレーキをディスクにし、若干スポーツな味付けに留めたAprioEXなどの派生モデルも存在した。
従来車種に比べ、立ち気味の乗車姿勢を実現させるためにシートを車体中央に配置したため、ステップフロアは広くなっている。
発売当初の車名はJOG APRIOであったが、モデルを経ていく過程にてJOGの名称が消え、Aprioという単独車種という位置付けになった。なお現在は車種の整理を受けるかたちで販売が終了されている。 テンプレート:-
ジョグポシェ(JOG Poche)
ジョグポシェは1992年に発売されたJOGの兄弟車種で、既存車種のフロント部分に巨大バスケットを装備させ、走行特性をマイルド化させた主婦向けの車両である。既存JOGのモデルチェンジと共にジョグポシェも変更を受け続けて販売されていたが、2008年に生産終了が公表された。なお生産終了による後継車種はビーノモルフェとなる。
リモコンJOG/ZRエボリューション
リモコンJOG/ZRエボリューション(SA16J)は、2000年に発売されたJOG、スーパーJOG-ZRの後継モデルであり、JOGとしては7代目のモデルに当たる。先代から受け継ぐGロック機構に、その解除などの動作にリモコンを用いる事の出来るモデルが設定された事が一番の特徴と言える。
先代のJOGベース登場時にフルモデルチェンジを見送られたJOG-ZRのデザインは、このモデルの登場を機に4代目ベースからリニューアルされ、近代的な形状へと進化したが、規制後エンジンである事からレギュレーションの厳しいスクーターレースでは用いる事が難しい等の理由でフルチューン等の認められる比較的緩いレギュレーションのレースを除いてレース活動での活躍はあまり見られない。
2008年に生産終了が公表され、この7代目が2ストロークJOGの最終モデルとなった。
BJ
BJ(YL50)は2003年に発売された。車名はBASIC JOGの略称であり、JOGの廉価版として台湾で生産されているが、基本的な構造などついてはJOGと同一である。台湾で発売されていたJOG PROというモデルが原型であり、その名残からステップボード上にはタンデム用のステップの突起が付いている等の台湾発祥モデルらしい特徴がある。
なお4サイクルエンジンには移行されず、2008年に生産終了が公表されている。 テンプレート:-
JOG80・JOG90
フロントディスクブレーキ装備車のJOG50 SPORTS EDITIONのエンジン排気量を拡大した上位車種も存在した。
- JOG80(79cc) - CG50/2JAがベース
- JOG90(82.5cc) - CY50/3RYがベース
車体もほぼそのままであったため、共に一人乗り専用車であった。なお既に生産は終了している。
JOG90はほぼ同時期に平行発売されていたAXIS90と同型のエンジン(3WF)形を搭載している。 このエンジンは俗に言う「排気ガス規制前横型エンジン」の50cc車両(JOG,アプリオなど)にボルトオンで装着できる為、近年エンジン単体の人気が盛り上がっている。
日本国内に導入されていないモデル
現在の日本向けJOGは台湾ヤマハで生産されているが、台湾生産車は50ccだけでなく50cc超のモデルも日本国外に展開されており、JOGのブランドで発売されている車両は日本国外にも存在するが、エンジンや車両は完全に日本国内向けとは路線を変えたものとなっている。(マカオは除く)
2010年現在も台湾での現地仕様車は日本のJOGブランドとは異なる車種が販売されており、さらに欧州でも異なる車種が発売されている。