アコヤガイ
アコヤガイ(阿古屋貝、学名 Pinctada fucata martensii)は、ウグイスガイ目 ウグイスガイ科に分類される二枚貝の一種。真珠養殖に利用される「真珠母貝」の一つで、「真珠貝」という別名もよく知られている。
殻長10cmほど。貝殻は平たい半円形で、中央部は厚いが縁は層状になっており、薄く剥がれる。貝殻の外側は緑黒色か緑白色だが、内側は強い真珠光沢がある。
太平洋とインド洋の熱帯・亜熱帯の海に広く分布し、日本でも房総半島以南に分布する。干潮線帯から水深20mくらいまでの岩礁に生息し、青い光沢のある足糸を出して、岩石に自分の体を固定して生活する。
養殖
貝殻の内側に異物が混入すると異物に対し真珠層を巻くので、真珠の養殖に使用されている。 真珠の核は、別の貝の貝殻を真円状に加工したものを核としている。
貝柱は曲玉形をしており食用にされ、真珠を取り出す際に別に採取する。食材としては串焼き、天ぷら、茶碗蒸し、粕漬けなどに使用されるが、古くは日干ししていた。
1990年代後半に感染症が拡大したため日本のアコヤガイ養殖は打撃を受け、中国産のアコヤガイが導入された。中国産は病気には強いが真珠の品質が劣るため、交雑が問題となっている。
日本の主な産地
愛媛県の宇和海、長崎県の大村湾、三重県の英虞湾などで養殖されている。ほかにも、西日本各地の透明度の高い内湾でアコヤガイを利用した真珠養殖が行われている。
語源
阿古屋は現在の愛知県阿久比町の古い地名で、この辺りで採れた真珠を阿古屋珠(あこやだま)と呼んだことから、真珠のことも阿古屋と呼ぶようになった。
ゲノム解読
2012年2月8日、沖縄科学技術大学院大学、ミキモト、東京大学などの研究チームがアコヤガイのゲノム全解読に成功したと発表した[1]。アコヤガイのDNAは約11億塩基対でヒトの約3分の1あり、特定された遺伝子は約2万3300個。今回のゲノム全解読は、軟体動物としては初めての例となる。
今回のゲノム解読により、真珠形成のメカニズムの解明や、国産アコヤガイを識別して真珠の質の維持と向上を図ることができると期待されている。
分類
アコヤガイ属(Pinctada属)の分類
- モスソアコヤガイ Pinctada albina Shark Bay Pearl Oyster - オーストラリアに分布
- Pinctada atropurpurea
- Pinctada chemnitzi
- ベニコチョウガイ Pinctada fucata
- アコヤガイ Pinctada fucata martensii
- Pinctada laosensis
- モスソアコヤガイ Pinctada maculata
- クロチョウガイ(黒蝶貝) Pinctada margaritifera Black-lip Oyster
- Pinctada martensi
- シロチョウガイ(白蝶貝) Pinctada maxima White-lip Oyster or Gold-lip oyster
- Pinctada nigra
- Pinctada radiata Gulf Pearl Oyster
- Pinctada virens