液滴模型
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テンプレート:出典の明記 液滴模型(えきてきもけい、英語:liquid drop model)とは原子核の性質を記述するモデルのひとつである。
原子核が安定で唯一な自己束縛系であることは、結合エネルギーと密度の飽和性に由来するものである。すなわち、核物質を一種の液体と見なすことができる。しかし、それは古典的なものではなく量子液体(フェルミ液体)と考えるべきである。原子核を液滴と考えると、表面振動の結果として励起状態を解釈することができる。この模型では、殻模型での一粒子運動では説明できない集団的な励起振動状態を、うまく説明することに成功した。
歴史
ニールス・ボーアとその共同研究者達によって1930年代に発展した。変形核や核分裂現象が、陽子・中性子からなる液体の表面張力とクーロン反発力のバランス、という観点から研究された。当時の原子核の実験的データをそれなりに説明し、成功を収めた。
しかし、1940年代に原子核が安定に存在する為の「魔法数」の存在が知られる様になり、それを液滴模型は説明する事が出来なかった。その後、魔法数は量子力学を考慮した殻模型によって説明された。ただし、逆に殻模型は原子核の集団運動(表面振動など)の効果を取り入れる事は困難であり、その後、液滴模型を主に、殻模型の効果を補正として取り入れる方法(殻補正法)が核分裂などを研究する為に用いられた(Strutinsky, 1966)。