コクチョウ
コクチョウ(黒鳥、学名:Cygnus atratus)は、カモ目カモ科ハクチョウ属に分類される鳥類。「ブラックスワン」とも呼ばれる。
分布
オーストラリアに生息する固有種。内陸部の乾燥地帯と、ヨーク岬半島を除く全土に生息している。オオハクチョウなどのように渡りを行わず、季節や環境の変化により移動を行う漂鳥である。オーストラリア唯一の固有のハクチョウ属であるが、コブハクチョウが移入されている。西オーストラリア州の州の鳥。
また、ニュージーランド、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、スロベニア、シンガポール、日本(茨城県、宮崎県)に移入されている[1]。
形態
成鳥は全長110cmから140cm、体重は5kgから6kg、最大で9kg、翼開長は2mである[2]。くちばしは赤く、先端付近に白色の斑点がある。虹彩は赤色。羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列風切羽の外側にかけてが白色である。
幼鳥は羽毛は白色でくちばしは黒色、成長するにつれて羽毛が黒くなり、くちばしは赤褐色から赤色へと変わっていく。虹彩は褐色。
分類
C. a. atratus : 基亜種。オーストラリアに分布。
C. a. sumnerensis : 絶滅種。ニュージーランド亜種。マオリ族の到来以降、狩猟により絶滅した。現在ニュージーランドに見られるコクチョウは、C. a. atratus をオーストラリアから移入したものである。
生態
食性は草食性で、主に水草を食べる。また、水辺に近い場所や陸上でも、採食することがある。
繁殖期は場所によるが4月から9月。つがいは一生の間、継続する。コクチョウは大抵、湖の浅瀬か島に草を積み上げた直径約1.5mの巣を作る。普通、毎年同じ巣を利用し、必要があれば修復したり立て直す。通常、4-6個を産卵し、雌雄ともに抱卵する。オスとメスは共に巣を守り、一旦ひなが飛べるまでに育つと、家族でえさを探す姿が良く見られるようになる。
乾燥期に湖沼の水が少なくなると水を求め、数百羽の群れになり移動を行う。夜間飛翔することが多い[2]。
逸話
英語にはかつて、無駄な努力を表す言葉として、「黒い白鳥を探すようなものだ」という諺があった。それゆえ1697年に実際にオーストラリアでコクチョウ=「黒い白鳥」が発見された事は、当時人々から驚きをもって迎えられた。
保全状態評価
画像
- Cygnus atratus Matsue Vogel Park.jpg
- Black.swans.slimb.750pix.jpg
- Black swan.jpg
- Black swan head.jpg
- Black swans.jpg
関連項目
- オーストラリアの野鳥一覧
- スワン川 - コクチョウの英名ブラックスワンから名が取られた。
- ブラック・スワン - 2010年のアメリカ映画。
- 黒鳥理論 - ナシム・ニコラス・タレブが提唱する予期しない稀な現象。
- ブラックスワン - その他の用法。
- ハクチョウ
参考文献
- Michael Morcombe,Field Guide to Australian Birds, Steve Panish Publishing, 2004, ISBN 9781740215596