スズキ・マイティボーイ
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 マイティボーイ(MIGHTY BOY)は、かつて鈴木自動車工業(現・スズキ)が生産・販売していたボンネット型軽トラックである。「マー坊」の通称で親しまれた。
概要
2代目セルボをベースに、Bピラーより後方のルーフを切り取り、ピックアップトラックにしたモデルである。 荷台の全長は660mm、積載能力は他の軽トラックよりも遥かに劣る。しかし、その分キャビンが広く、シートもスライドやリクライニングが可能であり、座席後方のスペースも収納場所としては広い。セルボベースである為、フロントガラスの傾斜が強く、ドライビングポジションはスポーツカー的な要素が強い。メーカー側も商用車としての位置づけではなく、スタイリッシュなピックアップというコンセプトで売り出している。
当時の車両本体価格は45万円で、四輪車としてはもっとも低価格であったが、その販売実績は、同じく低価格をアピールして大成功した初代アルトのヒットには遠く及ばなかった。搭載されているF5Aエンジンは、最終的に出力31ps/6000rpm、トルク4.4kg-m/3500rpmになり、後部が荷台である事による軽量な車重と相まって、当時としては軽快なドライブフィールが得られた。ただし標準タイヤはラジアルではなくバイアスだったため、グリップ性はやや劣った。
旧車として扱われる車種だが、その独特なスタイルから未だに高い人気があり、アフターマーケットであるインターネットオークションでは取引が活発であり、SS40系のセルボ(2代目)以降や、アルトやワゴンR、マツダ・キャロル(2代目)等を部品取り車とした、F5A同士やF6Aへのエンジンスワップ、ブレーキを含む足回りの丸ごと交換によるレストアが盛んである。また、カスタムカーのベースとしてもよく使用される。
歴史
- 1983年2月 - 新登場。2灯式のヘッドランプは、セルボの角型に対し、マイティボーイではφ152 mm の丸型(廉価なシールドビーム式)となっている。
グレードはLタイプとAタイプの2種類で、Lタイプの荷台部分にはデッキカバーと言われる幌が装備されていた。 - 1985年2月 - マイナーチェンジ。全車、ヘッドランプをシールドビーム式の角型タイプに変更。Lタイプに標準で付いていたデッキカバーは廃止され、代わりにルーフレールが装着された。Lタイプに限りフロントディスクブレーキ、5速MT、トリップメーター、タコメーター等が標準で装備される。
- 1988年1月 - セルボのモデルチェンジに伴い生産終了。
プラットフォームを共有する車種・姉妹車
型式が共通のSS40である姉妹車のみを記載する(当車の型式は M-SS40T)。
※ 他に、SS30(フロンテ5代目2ストローク車・アルト初代前期型)も、エンジンは異なるがシャーシは基本的に共通。
その他
- 1980年代のあるモーターショーにおいて、ジムニーのシャーシにマイティボーイのボディを載せ、大径タイヤを装着したコンセプトカーが出品されたテンプレート:要出典。
- 1985年頃、ランチア・ラリー037を彷彿とさせるエアロパーツ「スーパースタイリング・ヤンチャラリーキット」が、E2という会社から発売されていた。全8点のパーツで構成され、価格は25万円だった。
- 1985年10月から1986年3月まで放送された視聴者参加型の歌合戦番組『キンキンの歌え!新婚カンコン』において、優勝した新婚夫婦に贈呈される賞品にこの車が充てられていた。賞品自体は、優勝者自身がハワイ旅行か自動車(マイティボーイ)かのどちらかを選択できるというシステムであった。ただしスズキは同番組の提供スポンサーではなく、贈呈される車両は収録地のディーラーからの配給になることがほとんどだった。
- マー坊の通称は、本車のテレビCMに由来するもので(CM中のキャッチフレーズは「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」)、自然発生的に生まれたものではない。そのCMは本車の低価格(Aタイプ・45万円)を前面に打ち出し「お金が無い若者」をターゲットにした内容であった(CM中の歌詞の一節は「金は無いけどマイティボーイ」)。なおCMキャラクターは東京JAPが務めた。