ロバート・ジョンソン
テンプレート:Infobox Musician ロバート・リロイ・ジョンソン(Robert Leroy Johnson、1911年5月8日 - 1938年8月16日)は、アメリカのミュージシャン。アフリカ系アメリカ人。伝説的なブルース歌手として知られ、同時代の多くのブルースのみならず、その後のロックなどに多大な影響を与えた。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第5位、2011年の改訂版では第71位。
生涯
1911年、ジョンソンはミシシッピ州ヘイズルハーストに生まれた。父親はチャールズ・ドッズ・ジュニア、母親ジュリア・ドッズだったが、ジョンソンは実は彼女の浮気相手ノア・ジョンソンとの間に生まれた子供だった。10代の頃に本当の父親の存在を知った彼は、ジョンソン姓を名乗るようになった。
1929年、まだ16歳だったヴァージニア・トラヴィスと結婚し彼女は二人の子を身篭るが、翌1930年、ヴァージニアは出産の際に子供とともに亡くなってしまう。
アコースティック・ギター一本でブルースを弾き語りして、アメリカ大陸中を渡り歩いた。当時の聴衆はギターのテクニックが巧みなのに驚き、「十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにテクニックを身につけた」という伝説が広まった。これが彼について語られる「クロスロード伝説」である。
1936年11月、ジョンソンはテキサス州サンアントニオで初めてのレコーディング・セッションに臨み、3日間で16曲をレコーディングした。1937年6月には二度目のレコーディングのためにダラスに赴き、13曲を残している。彼が生涯に残したレコーディングは、この2回の合計29曲(42テイク)だけである。
翌1938年8月16日にジョンソンは27歳で死去した。、彼の死因については「ダンスパーティーで知り合った人妻と不倫をしたため、夫により飲み物にストリキニーネを盛られて毒殺された」、「人妻との情事を夫に目撃され、その場で刺殺された」など諸説あり不明である。ジョンソンの妹は病死だったとしている。亡くなったミシシッピ州グリーンウッドの役場に提出された彼の死亡届では、彼の死因欄には「No Doctor」とだけ記載されている。上記のクロスロード伝説では、彼を殺したものは悪魔であると語られている。
1938年暮れ、プロデューサーのジョン・ハモンドがカーネギー・ホールでの開催を予定していた「スピリチュアル・トゥ・スウィング・コンサート」にジョンソンを出演させるため、彼を捜してまわったが、その時にはジョンソンは死去していた。
1961年にジョンソンのレコーディングがLP『King of Delta Blues Singers』でリリースされ、ジョンソンの音楽は再び注目を集めるようになった。
1989年には初めてジョンソンの写真が公開され話題を呼んだ。そして翌1990年には、これまで未発表だった別テイクも収録した『The Complete Recordings』がリリースされた。このジャケットに使われていた写真は前年公開されたものとは別のもので、これもここで初めて披露されたものであった。2007年、ジョンソンがミュージシャンのジョニー・シャインズと共に写っている写真が発見され、数年に渡る鑑定の結果、2013年2月にジョンソン本人と確認された。
2011年には、『The Complete Recordings』をリマスターして、『The Complete Recordings』に未収録だった「Traveling Riverside Blues」の別バージョンも収録した『The Centennial Collection』がリリースされた。 『The Complete Recordings』と比較するとノイズが増えたが、音質が向上した。
ジョンソンは他に1人の息子をもうけており、彼の孫は今もヘイズルハースト近郊に住んでいる。
ディスコグラフィー
- The King of Delta Blues Singers (1961年、Columbia)
- The King of Delta Blues Singers, Vol. 2 (1970年、Columbia)
- The Complete Recordings (1990年、Columbia/Legacy)
- The Centennial Collection (2011年、Columbia/Legacy)
関連する作品
- ローリング・ストーンズは、アルバム『レット・イット・ブリード』、『メイン・ストリートのならず者』にて、ジョンソンの「むなしき愛」を前者、「ストップ・ブレーキング・ダウン」を後者にそれぞれレコーディングしている他、ライヴ・アルバム『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』では「むなしき愛」のライヴ・ヴァージョンが収められている。またメンバーのキース・リチャーズは影響を受けたブルースマンの一人にジョンソンを挙げ、『The Complete Recordings』のブックレットにエリック・クラプトンと共に寄稿している。
- ジャック・ウォマックの小説『テラプレーン』では、過去の地球に似た「もう一つの世界」が登場する。そこでは、1939年になってもロバート・ジョンソンが生きており、彼がニューヨークのハーレムでライヴをするシーンがある。この小説のタイトルも、ジョンソンの曲「テラプレーン・ブルース」からとられている。
- エリック・クラプトンは、若い頃から何度もジョンソンの曲を採り上げてきており、2004年には全曲ジョンソンのカヴァーから成る『Me and Mr.Johnson』を発表。『The Complete Recordings』には上記のキース・リチャーズと共に寄稿している。
- ラルフ・マッチオ主演の青春映画「クロスロード」は、ロバート・ジョンソンと十字路の伝説をモチーフにしている。
- テレビドラマ『スーパーナチュラル』において、ロバート・ジョンソンが悪魔と契約した話と、それと同じ方法で悪魔と契約した人間が登場する。
関連項目
- ロバート・ロックウッド・ジュニア
- デルタ・ブルース
- ニコロ・パガニーニ - ジョンソンと同様に悪魔に魂を売って演奏技術を身につけたと噂された。