ファック
テンプレート:Sister ファック (fuck) は、「性交する」を原意とする極めて卑俗な英語表現の一種である。この表現には攻撃的な要素が含まれており、公には歓迎されない。その一方で、大衆誌や風俗誌などの影響により、20世紀末から21世紀初頭にかけての文化として一般に認知されている。
語源
語源については様々な説があり、Fornication Under Consent of the King(王の命による姦淫)の略であるとする説が一般には有名であるが、根拠のない俗説であるという見解が強い。
オックスフォード英語辞典によれば、結局のところ、語源は不確かであるが、「叩く」「擦る」「性交する」といった意味を内包するゲルマン語の単語と「起源を同じくするであろう」といわれている。
用法
汎用的には「馬鹿野郎」や「死んじまえ」などの罵り言葉として使用される。fuck off! で「失せろ」や「あっち行け」という意味、what a dumb fuck は「大馬鹿者」という意味であり、don't fuck with me で「馬鹿にするなよ」という意味で使われる。
fuck を英文法の視点で見ると、名詞、動詞、形容詞、副詞、代名詞、間投詞などあらゆる文脈で利用できる単語であり、例として Fuck the fucking fuckers!(不快なバカを無視しろ)という意味の文が成立する。単語を分離して間に挿入する用法もあり、un-fucking-believable(絶対に信じられない)という意味になる。
強調表現として very の代わりに使用することもあり、例えば fucking great! は声のトーンによって「超すごい」とも「超ひどい」とも取れる言葉となる。同様に What are you doing in my room?(私の部屋で何をしているのですか?)という文に fuck を取り入れて What the fuck are you doing in my room?(ざけんな、オレの部屋で何してる!)という強調の仕方が可能である。地域は限られるが Fucking hello! (よう!)といった用法もある。
口語表現でも「なんてこった」を表現する言葉として what the fuck! (WTF), oh my fucking god! (OMFG) などが一般的に用いられる。これはインターネットやオンラインゲームコミュニティでしばしば省略される。
英語圏の大衆文化の中に fuck の単語が広まる一方で、fuck に対する規制は厳しくなった。例えば、フランス映画『ベーゼ・モア』(2000) が2002年に米国で公開された際、そのタイトルの直訳が Fuck Me であったにもかかわらず Rape Me へと変更された。これと似た出来事は、スウェーデンの映画『ショー・ミー・ラヴ』でも起こった(原題は Fucking Åmål)。楽曲においても、ブリトニー・スピアーズが歌うシングル「イフ・ユー・シーク・エイミー」は、その曲名の発音が F-U-C-K-me とも聞こえることから騒動になり、ラジオオンエアを自粛する動きが出たほどである。このような fuck の語への規制によって fuck 以外の低俗な罵り言葉に対する規制は相対的に緩むことになった。
なお、アーノルド・シュワルツェネッガーは出演映画の中で頻繁に Fuck you(くたばれ)や、Fuck you, asshole(死ね、アホ野郎)といった卑語を使っていることで有名であり、カリフォルニア州知事選挙の時に教育上よくない映画に出ている人物が知事という立場に立ってもいいのかと言われ、苦戦した話がある。また、2009年の同州の議会が議決した財政改革法案に対して拒否権を発動した時の公式文書の8行の頭文字を縦読みすると I fuck you(ぶっ殺すぞ)となることが話題となった。議会は知事の掲げている水道・刑務所問題、保健行政への取り組みを完全に無視して今回の財政改革法案を可決したため、知事がこれに対して隠喩を使って議会に対する怒りを示したのではないかとされたためである。
婉曲語法
fuck という単語を直接扱うことが不適切であると思われる状況では、fuck という単語を feck, fudge, the f-word, the f-bomb, frig, freak, fork, fizzuck, frak, frick, frickin, friggin, f*ck, f**k, f-u, fahq, fcuk, the hacker phuck, punk, funk, f***, f'n, ffffff など、別の単語に置き換えられることがある。ソフトウェアの環境によっては、fsck, fuk, fark, f2k などが使われる。西インド諸島(旧・英領カリブ)諸国では、fock と綴られることがある。fark はイギリス連邦の国々が起源の婉曲語法であり、オーストラリアのアクセントを誇張した発音に由来する。
イギリスのファッションブランド「フレンチ・コネクション」は、話題を呼ぶために French Connection United Kingdom の略記であるとして小文字のイニシャル fcuk を使用している。
アイルランドのホームコメディ ファーザー・テッド では、fuck は feck と言い換えられ、他国ではそれがアイルランドの汎用的な悪口言葉であると認識された。
派生的意味
他の低俗な単語と同様に禁句、強意語であるが、fuck が本来の意味で使用されることは滅多にない。むしろ、話し手の主観的感情を強めるだけの強調表現に用いられる(必ずしも否定的な意味で使われるわけではなく、例えば fucking good は very good の粗雑な言い方である)。英語用法に関する書籍 Practical English Usage では、二種類の意味を持つ単語が例文と一緒に図示されている。
- Why are you fucking in my bed?
- What the fuck are you doing in my bed!?
第一の文は Why are you fucking in my bed?(なぜ私のベッドでセックスしているんだ?)という意味である。第二の文は What are you doing in my bed!?(お前は一体俺のベッドで何をしてやがんだ!?)という意味であり、単に文の強調をしているだけである。第一の文の用法より、第二の文の用法が一般的である。
fuck you! は怒りの表現であり、セックスの含蓄はほとんどなく「死ね!」、「馬鹿野郎!」、「うせろ」、「クソッたれ」という意味である。これは fuck off という言葉にも関連があり、「(自慰でもして)消えろ!」という、忌避を表す言葉である。また、他者や社会一般の幸福に対する冷淡さの感情を表現するために使われることもあり、要求の拒絶や規則への反発の場面で使用される。
Fuck me! や Well, I'll be fucked! は、明らかな誘いの意図が見られない場合、「バカな」というような驚嘆や困惑の感情を表す。Well, fuck me stupid! も同様に「なんと愚かなことだ」、「あのバカ……」という大きな驚愕の感情を表す。
これ以外に fuck という言葉を使用する状況としては、God という単語を置換する場合が挙げられる。for fuck's sake は for God's sake の低俗な言い換えであり、「一生のお願いだから」という意味を表す。fuck knows や who the fuck knows は、「神のみぞ知る」という意味である。
関連項目
- ファックサイン
- フッキング - オーストリアの地名
- FUCK(英語版) - FUCK という言葉に関するドキュメンタリー映画。
- 草泥馬 - 中国語圏における FUCK に相当する隠語。
- 18 - 韓国では時に FUCK に相当する表現とのダブルミーニングとなる。
- FACOM - 「ファック」が原因で日米で読み方が違う例。
- 最も多くFUCKという言葉が使われた映画一覧
- 前線航空管制(FAC) - 蔑称としてファックと呼ばれる事がある。