トリンギット
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トリンキット(Tlingit ['tlɪŋkɪt])はインディアン部族の一つで、アラスカ、カナダの先住民族。正しい発音はクリンキット['klɪŋkɪt], もしくはクリンギット['klɪŋgɪt]。もともとはフリンキット(Lingít)[ɬɪŋkɪt]と呼ばれていた。彼らの自称は「リンギット」で、「人間」という意味。
文化
アラスカからカナダのブリティッシュ・コロンビア、ユーコン川流域の太平洋沿岸の海と山に挟まれた環境に住み、発達した母系の狩猟採集社会を構築していた。鮭やクジラを獲って暮らし、ポトラッチやトーテムポールの風習で知られる。彼らの話すトリンギット語には数多くの方言がある。豊富な木材資源を基に建築技術が発達し、巨大な木造家屋を作る。
19世紀末から20世紀初頭にかけ、流入した白人が持ち込んだ伝染病によって、トリンギットをはじめとする一帯のインディアンは壊滅状態となり、村単位で消滅した。病死したトリンギットの遺体は、白人によって地面にあけた大穴に無造作に放り込まれ、墓標も立てられないまま1世紀放置された。1990年代になって、トリンギットの有志により、葬られた遺体の検分が進められ、1世紀ぶりに遺骨が遺族のもとへと返還されることとなった。
日本のアイヌとは文化共通面が多く、表敬訪日しており、ここ数年来交流が続いている。
その他
- 民族写真家のジョージ・T・エモンズ(w:George T. Emmons)は19世紀の終わりにその文化を記録している。
- トリンギットの家は愛知県のリトルワールドに復元されている。
ギャラリー
- Ketchican totem pole 1.jpg
トーテムポール(米国、アラスカ州)
- Celevland Museum NH Bear mask.jpg
トリンギットのマスク(熊)
- Raven screen 01.jpg
一族の象徴、大ガラス
- Two Tlingit girls, Tsacotna and Natsanitna, wearing noserings, near Cooper River, Alaska, 1903 - NARA - 524404.jpg
二人のトリンギットの少女(1903年)
- Little world, Aichi prefecture - Tlingit House in Alaska.jpg
リトルワールドに復元されたトリンギットの家
- Little world, Aichi prefecture - Tlingit House in Alaska - Interior.jpg
トリンギットの家の内部、階層式になっている。