法制局
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法制局(ほうせいきょく)は、日本においては、法令案の審査・立案や法制の調査を所掌事務とする国家機関のことをいう。
1885年に内閣に設置されて以来、旧憲法下では法令案の審査・立案を担う官庁は内閣の法制局のみであった。1948年、新憲法下で議会立法を助けるため国会の各議院に法制局が設置されたため、内閣の法制局は(公式には単に「法制局」と称しつづけたが)区別のため「内閣法制局」と通称することが一般的になった。1962年、法制局設置法が内閣法制局設置法に改題され、内閣の法制局が正式に内閣法制局と称するようになり現在に至る。
現在、日本にある法制局と称される機関は次の3つである。
衆議院と参議院の法制局は、ともに国会法及び議院法制局法を設置の根拠とする議院法制局であって、その組織や所掌事務に関しては非常によく似通っている。
一方、両議院法制局と内閣法制局との間は、内閣と国会の組織上の違いを反映し、様々な相違点が見られる。
両者の最大の違いは、法令案の審査・立案に関する事務について、内閣法制局は各府省庁で法令案の体裁に整えられた法令の審査を行うが、議院法制局は各議員から持ち込まれた法律のアイデア(いわゆる議員立法の素案)を要綱から法案の形にまとめるところまですべて行う点である。
また、内閣法制局は意見事務の権限により内閣の法令解釈に決定的な影響力をもつが、議院法制局は議員の法制立案を補佐することのみを職務とし、その意見は国会審議の参考とされるにとどまるという違いもある。