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(X・Y・Zが登場する作品)
 
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2013年7月13日 (土) 20:59時点における最新版

テンプレート:カクテル概要

X・Y・Z(エクス・ワイ・ズィー、エックス・ワイ・ゼット)とは、ラムをベース(基酒)とするカクテルであり、ショートドリンク(ショートカクテル)に分類される。正式名称は、X・Y・Z・カクテルだが、通常、X・Y・Zと省略するので、本稿でも、以降、X・Y・Zと記述する。

由来

このカクテルの正確な由来は不明。ただ、名前の意味には、XYZ がアルファベットの最後であることから、「これ以上良いものは無い究極のカクテル」とか「これ以上のものは作れない究極のカクテル」という意味合いが込められているとする説がある。他にも、同様の理由で、「もう後が無い」「最後の」といった意味が込められているとする説もある。また、海外での一般的な用法に合わせ「レシピは秘密」という意味との説がある。

使用されるラムの色

一説によると、X・Y・Zは、サイドカーのレシピを参考にして、そのバリエーションとして作られたカクテルとも言われている [1] 。 ところで、ブランデーは樽熟成を行うため、茶褐色の色が付いているのが一般的であるし、また銘柄によって色味はまちまちである。よって、ブランデーベースのカクテルであるサイドカーは、基酒であるブランデーの色により、たとえブランデー以外の材料が同じであっても、出来上がりの色は変わってしまう。さて、一般的なラムベースのカクテルでは、カクテルの出来上がりの色が問題とされることも多く、その場合、ホワイト・ラムが指定されるのが普通である。しかし、ことX・Y・Zの場合は、サイドカーが基本となって作られたとされる説を取るならば、X・Y・Zも、サイドカーと同様に、出来上がりの色は、あまり問題とされないことが判る。事実、X・Y・Zは、出来上がりの色が問題にされないカクテルであることを明記している文献 [2] [3] も存在する。 したがって、X・Y・Zの基酒には、様々な色のラムが選択されるという特徴がある。換言するならば、X・Y・Zの場合、基酒のラムを選ぶ際に、そのラムの色が制約にならないことを意味する。

標準的なレシピ

作り方

ラム、コアントロー、レモンジュースをシェークし、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。なお、レモン・ジュースは、その場でレモンを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いても良い。

その他のレシピ

X・Y・Zには、比較的有名なレシピが他にもある [4] 。 それは、

  • ラム : コアントロー : レモン・ジュース = 1:1:1

という、ラム、コアントロー、レモンジュースが、全て等量ずつであるレシピだ。なお、作り方は、全く同じである。

応用

アルコール度数を強く感じるなら、レモン・ジュースの割合を増やすという方法がある。甘味を加えると、更に飲みやすくなるとされるので、砂糖(又はシュガー・シロップ)を入れることもある。砂糖などの甘味料を加えるのではなく、コアントローの量を増やして、より甘く作ることもある。

コアントローの代わりに、ホワイト・キュラソーやトリプル・セックを用いても良い[5][2]。なお、コアントローの代用については、「その他のレシピ」の節に挙げられているレシピでも同様である。

色が問題になることの少ないカクテルなので、ラムは、ホワイト、ゴールド、ダークのどの色を用いても構わない。したがって、ラムの種類を変えることでも味の調整を行うことができる。色が自由なので、ライト、ミディアム、ヘヴィのどのタイプのラムでも用いることができる。しかし、スパイスド・ラムは、通常、X・Y・Zのベースとしては用いられない。

バリエーション

補足

  • ラムをテキーラに変えたものを「マルガリータ」とすることもあるが、マルガリータはダイキリのバリエーションとされることもあり、マルガリータを単純に何のバリエーションであるとは言えない。カミカゼもマルガリータ同様サイドカーのバリエーションともダイキリのバリエーションともされるので、マルガリータはカミカゼのバリエーションであるとする人もいる。
  • 「ビューティフル」の標準的なレシピは、「ホワイト・ラム : レモン・ジュース : コアントロー : グレナディン・シロップ = 4:2:1:1」である。グレナディン・シロップの色を前面に出すためなどの理由により、ラムにホワイト・ラムが指定されている点が、X・Y・Zとの違いだ。なお、コアントローの代用については、X・Y・Zと同じである。
  • その他、「マイアミ」と「マイアミ・ビーチ」を、X・Y・Zのバリエーションと考える場合もあるが、これについては大変複雑な要素を含むので、ここでの記述は避けることとする。マイアミの記事を参照して欲しい。

X・Y・Zが登場する作品

シティーハンター
本作において、このカクテルは「主人公に助けを依頼するための合図」として登場する。つまり、「もう後がない」=「助けてくれ」という意味である。主人公の目の付く場所(主に新宿駅東口の伝言板)に"XYZ"と書くことが依頼方法になるという一種の暗号になっているが、作中最初期には、実際にカクテルで助けを依頼されることもあった。
野獣死すべし
大藪春彦原作、松田優作主演の映画の中で、松田演じる主人公が、彼を追ってきた刑事と、夜汽車の中でロシアンルーレットを始める。銃口を突き付けたまま、リップ・ヴァン・ウィンクルの話をするくだりで、このカクテルの名前が出てくる。「これで終わり」という酒だ、と語りかけて刑事を震え上がらせる、緊張感あふれるシーンである。
ペルソナ3
型破りな僧侶・無達が、主人公にこのカクテルを紹介するくだりがある。
その中で「"もう後がない"とか"これで終わり"とか、漫画や映画の悪いイメージがあるが…」というセリフがある。当然これは前述のシティーハンターと野獣死すべしのことである。

関連項目

出典

  1. 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 p.108 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  2. 2.0 2.1 稲 保幸 『スタンダードカクテル』 p.52 新星出版 1993年2月25日発行 ISBN 4-405-09577-9 引用エラー: 無効な <ref> タグ; name "ina_sc_p52"が異なる内容で複数回定義されています
  3. 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 p.120 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  4. 若松 誠志 監修 『ベストカクテル』 p.98 大泉書店 1997年9月5日発行 ISBN 4-278-03727-9
  5. 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 p.171 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9

主な参考文献

  • 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  • 山本 祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7
  • 上田 和男 『カクテル』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0994-8
  • 後藤 新一 監修 『カクテル・ベストセレクション100』 日本文芸社 1996年5月20日発行 ISBN 4-537-01747-3
  • 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 永田 奈奈恵 監修 『ポケットガイド カクテル』 成美堂出版 1998年1月20日 ISBN 4-415-08549-0
  • 片方 善治 『洋酒入門』 社会思想社 1959年12月15日発行
  • 若松 誠志 監修 『ベストカクテル』 大泉書店 1997年9月5日発行 ISBN 4-278-03727-9
  • 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  • オキ・シロー 『カクテル・コレクション』 ナツメ社 1990年3月24日発行 ISBN 4-8163-0857-1
  • 吉田 芳二郎 『カラーブックス 828 洋酒入門 (第2版)』 保育社 1992年4月30日発行 ISBN 4-586-50828-0
  • 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
  • 稲 保幸 『スタンダードカクテル』 新星出版 1993年2月25日発行 ISBN 4-405-09577-9
  • 稲 保幸 『カクテルガイド』 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  • 稲 保幸 『カクテル・レシピ1000』 日東書院 2005年7月10日発行 ISBN 4-528-01412-2
  • 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4