「電子相関」の版間の差分
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電子相関(でんしそうかん、テンプレート:Lang-en-short)とは、多電子系における電子間の位置の相関のこと。また電子相関エネルギーEcorr とは、多電子系における正確なエネルギーEexact とハートリー‐フォック近似によって計算したエネルギーEHF との差として定義される。
- <math>E_{corr}=E_{exact}-E_{HF}</math>
つまり多電子系における電子間の相互作用は、HF法で考慮できるクーロン相互作用と交換相互作用の他にも、電子相関がある。
概要
多電子系において1個の電子の位置を定めると、他の1個の電子の存在確率は第一の電子の位置によって異なる。このことを電子相関という。 バンド理論を基にした、電子のバンドによる描像では、電子間の相互作用を平均場近似(例:ハートリー‐フォック近似)から求める。つまり電子間の位置の相関を平均的なものに置き換えてしまっている。この平均化による近似のため真の電子間相互作用は求まらない。電子相関は、電子間相互作用において、この平均場近似を越える部分のことを指している。
現実の系では、3d遷移金属や、4f電子を持つ希土類元素からなる化合物系の電子相関が強く(強相関電子系)、通常のバンド理論(或いはバンド計算)では扱えない場合がある。
電子の相関エネルギーは、多電子系での真の基底状態の(全)エネルギー(以下、非相対論の場合として考える)から、ハートリー‐フォック近似(平均場近似を使用)によって得られる基底状態の(全)エネルギーを差し引いたものである。
動的電子相関と静的電子相関
HF近似では考慮されていなかった相関カスプ条件による電子相関は動的電子相関と呼ばれる。一方、エネルギーの近接した電子配置の混合により得られる安定化エネルギーは静的電子相関と呼ばれる。