母音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年3月23日 (日) 19:09時点におけるあるうぃんす (トーク)による版 (+ {{出典の明記}})
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:出典の明記 テンプレート:母音 母音(ぼいん)とはことばを発音するときの音声のひとつで、声帯のふるえを伴う有声音であり、または声門で口からの息の通り道を完全に、部分的にあるいは瞬間的に閉鎖したりせず、また息の通り道を狭くすることによって息の摩擦音を伴うこともない、ある程度の時間、を保持する持続音である。子音の対立概念であり、英語の vowel (ヴァウェル)から V と略して書くこともある。

分類・定義

母音の音色を決定するのはの形との形、の開閉度である。そこで調音音声学では、母音を分類する基準として、唇の丸み加減、舌の最上部の前後と舌の最上部の高低の位置が使われる。これらの状態によりIPAによって基本母音が定められている。ただし、これは物理的に舌の位置をはかったものではなく、聴覚印象上の音の距離によって決められたものである。

音節

母音は、単独で、あるいはその前後に1個または複数の子音を伴って、一つの音節を構成する。

二重母音

一つの母音の発声中に調音を変えるものを二重母音と呼ぶ。三種類の調音があるなら三重母音と呼ぶ。二重母音・三重母音はあくまで一つの母音であり一音節であるが、単なる母音の連続は複数の音節となる。

長母音

母音はその持続時間の長さの違いによって長母音と短母音に分けられる。言語のなかには長母音と短母音の区別により意味の弁別を行うものがある。日本語もその代表であり、長母音を含む音節を長音と呼んでいる。習慣的に長母音と呼ばれていても実際には長さが弁別的ではない場合がある。アメリカ英語の [i][ɪ] (bead [ˈbid], bid [ˈbɪd]) などがこれに当たる。なお英語では bead [ˈbiːd], beat [ˈbiˑtˑ] のように後続子音の発声の弁別にも用いられる。

鼻母音

鼻からも息を出す母音を鼻母音と呼ぶ。標準的な日本語ではこの音は音素としては存在しないが、実際の音では「雰囲気」、「陰影」など撥音(「ん」の音)の次に母音、半母音、摩擦音が続く場合、撥音が鼻母音化して、それぞれ [ɸɯɯ̃iki] または [ɸɯĩiki], [iĩeː] と発音される。[ĩ], [ɯ̃][i], [ɯ] に対応する鼻母音である。

緊張

調音器官の筋肉の緊張を伴うと考えられるか否かで母音を弁別することがある。前者を緊張音、後者を弛緩音と呼ぶ。しかし必ずしも筋肉の緊張があると証明されていない。

r音化

母音を調音する際に舌尖を反らせたり、舌を盛り上げたりすると、咽頭に狭めができてr音のような音色を備える。これをr音化といい、r音性の母音ができる。

母音に類似した子音

舌、歯、唇または声門で口からの息の通り道を完全に、部分的にあるいは瞬間的に閉鎖せず、かつ、口腔内の上下の調音器官の間隔が狭い無摩擦の有声音を接近音といい、接近音は持続音として発する場合は狭母音として母音に含めるが、持続せずその構えからすぐに続けて別の母音を発する場合は、一般にその接近音を半母音として子音に含める。また、鼻音[m][n][ŋ]流音[l][ɹ]などが音節性を持って母音のように用いられる言語もある。[h] を無声の母音とすることがある。

日本語でも、古代中国語の韻尾の[ŋ]音がイ、ウ(もしくはゼロ)に対応しており、 ショウベンがションベンに変化するなど日本語内でも鼻音とウが入れ変わる事もある。

日本語の母音

標準日本語の母音には、テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 の5つが存在する。それぞれの一般に [a], [i], [ɯ][1], [e], [o] と発音される。五十音では、同じ母音を持つ仮名が、ひとつの段を構成する。しかし、方言においては、母音が5つとは限らない。

標準日本語の母音は、無声音として実現することがある。これを母音の無声化という。無声子音に挟まれた狭母音[i], [ɯ](「北」[kta]、「房」ɯ̥sa])や、無声子音の後で文節末でピッチの低い狭母音[i], [ɯ](「秋」[ak]、「〜です」[desɯ̥])などの場合がある。但し、中部地方から中国地方にかけての方言においては、母音の無声化の起こらないものも少なくない。

母音の種類

前後

上下

円唇性

注記

  1. 正確にはこの記号は朝鮮語のi並みの平唇で舌の位置はuと同じ後舌の母音をあらわすのに使われるため、日本語の「う」の発音とは違う。またこの種の母音は、舌と唇の連動から外れるため、母音数5以上の言語でない限り生じるのは稀である。日本語の「う」は、首都圏方言(共通語)では、中舌よりもやや後ろよりだがuよりはやや前よりの舌の位置(軟口蓋よりやや前より)で、中舌母音において自然な平唇でも円唇でもないニュートラルな唇の形か、それよりほんのわずかに唇を前に突き出す唇の形で発音される、半後舌微円唇母音である。「日本語の音声」窪園晴夫、p35-p37

関連項目