ミニカー (玩具)

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Jouef製のスロットカー

ミニカー (和製英語) は、自動車をさまざまな素材、縮尺でモデル化した玩具・模型の総称である。

概要

安価なものは子供の玩具として用いられ、高価格帯のものは大人の鑑賞用としても用いられる。素材は亜鉛合金製が最も多い。スチロール樹脂製のプラモデル、金属製キットなどの組み立て式の自動車模型や、ラジコンスロットカー等自動走行機能を持ったものを広くミニカーに含める場合もある。

かつては模型店や玩具店で購入する事が一般的だったが、近年は専門店や家電量販店での発売も増えつつある。また、観賞用ケースに入った状態や分冊百科として書店などで販売されたり、コンビニエンスストアなどで飲料のおまけとして販売される例も多く、流通経路も多様化しつつある。

通常は完成品形態で販売される事が一般的であるが、既製品に満足できない愛好者を対象としてキット形態で販売されるものもある。

一般的にはプラスチック製や亜鉛合金製が多いが、ウレタン樹脂やホワイトメタル、真鍮などを使った製品も存在する。また、近年は鉛の使用規制のためホワイトメタルに鉛の使用を制限する動きも見受けられる。

縮尺 (スケール)

最も初期のミニカーは、鉄道模型のアクセサリーとして作られた。そのため、その大きさは鉄道模型の縮尺に準じており、現在一般的な1/43スケールはOスケール (1/43.5) のアクセサリー用ミニカーが原点であった。観賞用に供される大型商品には1ヤードを2インチに縮尺する1/18スケールや、1フィートを1インチに縮尺する1/12スケール、その半分の1/24といったスケールのものもある。近年は1ヤードを1/2インチとする1/72スケール や1フィートを3/8インチとする1/64スケールといった小型スケールモデルも各社から発売されている。またトミカのように、販売用の箱のサイズに合わせて個々の縮尺を決める「箱スケール」も存在する。

鑑賞品としてのミニカー

子供向けの玩具としてのミニカー以外に、大人の目に堪えうる観賞用のミニカーもあり、世界中にコレクターが存在している。近年では、1/43スケールで1台が3000 - 5000円の観賞用のものが主流である。トミカのように子供向けの安価な製品に対してもコレクターは存在し、特に絶版になった古い製品は中古市場でプレミアが付く。

観賞用ミニカーは、一般的に飾りやすいよう台座に固定され、主にアクリル製の透明カバーなどをかぶせて保護された状態で販売されることが多い。

主な製品

日本

1970年、トミーが発売した日本を代表する大量生産ミニカー。実車の大きさを問わず、統一サイズの箱・パッケージを基準にして製作されており、縮尺は各車種で異なる。
現在販売されている車種は「トミカシリーズ」だけでも160車種。乗用車、輸送車両、建設機械農業機械緊急車両、オートバイなど多岐にわたり、実在の企業のロゴが入った商用車も存在する。
「トミカシリーズ」に加え、旧車やレーシングカーなどを題材にした高価格帯の「トミカリミテッド」などの関連商品も多数ある。
1972年6月にポピーが発売したミニカーシリーズ。
ポピニカではテレビアニメや特撮番組のキャラクター系のマシンを商品化した。2000年代に入るとバンダイからポピニカ魂というブランドが登場した。
  • ダイヤペット
1961年に大盛屋が発売した「ミクロペット/チェリカ・フェニックス」を前身とする。大盛屋がミニカーの製造販売を停止し、米澤玩具 (ヨネザワ) がその金型を引き継いだことによってダイヤペットがスタートする。第1号モデルは1965年発売の「プリンス・グロリアDX」。のちにヨネザワがセガに買収され「セガ・ヨネザワ」ブランドで発売された。その後、アガツマがブランドを引き継いで販売中。
スケールモデルで世界に知られる静岡のメーカー。ラジコンミニ四駆など、モーターライズされたモデルでも有名である。1996 - 1997年に一時期1/43スケールのミニカーを手がけた。エンジンや塗装が細部まで表現された半完成品の1/12スケールの大きなミニカーや、1/64スケールのミニカーも手がけている。
  • 成近屋
100円ショップで売られていることが多い。世界の緊急車、乗用車、スポーツカー、作業車。
ラジコンではタミヤと並ぶ有名メーカーである。現在は自社生産のミニカーを積極的に展開しており、マカオのミニカーメーカーのIXO社に生産を委託する「j-collection」シリーズとともに日本車を主に展開している。日産自動車が公認するオフィシャルミニカーメーカーであり、新車と同時にミニカーも発売することもある。サークルKサンクス限定で発売しているミニカーで有名。かつて、ダイドードリンコにも景品として付けられた。発売日に即日完売となるほどの人気のあるものもある。
亜鉛合金製でドアが開閉するタイプ・作業車などがある。
SHINSEI JET MACHINEシリーズ・SHINSEI JET MACHINE MINIシリーズ・SHINSEI MINI POWERシリーズがある。
ときめきメモリアル」シリーズや「ツインビー」シリーズなどを発売しているゲームソフトメーカーである。食玩も展開しており、「国産名車名鑑」などのシリーズ物でミニカーを出している。
精密な日本の自動車の模型を販売する。
  • 小川
オリジナルブランド「WIT'S」の名で実車により近い1/43モデルのレジン製ミニカーや1/12モデルのダイキャスト製バイクを製造販売している東京都の企業。また、東本昌平の漫画『キリン』とコラボしてキリンの登場人物と彼らの愛車を発売したこともある。

中国

  • ixo (イクソ)
ソニックインターナショナルトイズのブランド。
  • トゥルースケールミニチュアズ
  • AUTOart (オートアート)
ゲートウェイグローバルのブランド。現在、本社機能はアメリカに移転している。
  • New-Ray Toys (ニューレイトイズ)
香港のメーカー。

アメリカ

当初はイギリスのレズニー社のミニカーブランドであった。順次商品を入れ替える「1-75」シリーズで有名。後にアメリカのマテル社のミニカーブランドとなった。
マッチボックスと同じくマテル社のミニカーブランド。
1968年に発売された人気シリーズで、子供のみならず大人のコレクターが世界中にいると言われている。基本的に実車を再現するマッチボックスに対して、ホットウィールは非現実的なデザインで「カッコイイ」イメージを売りにしている。最大の特徴は派手なデザインで、どの車種も実車にはありえない、大胆なデフォルメや奇抜なカラーリングが施されている。
  • FASTLANE (ファストレーン)
トイザらスのブランドで自社の店舗で販売する。
  • EXOTO (エグゾト)
精密なミニカーを販売する。
  • Maisto (マイスト)
メイ・チョングループのブランド。自動車、飛行機、オートバイのミニカーやラジコンを展開している。

ドイツ

ドイツでは老舗のメーカーで、車よりも農用トラクターや建設機械が多く、特に農用トラクターモデルにはクラシックモデルもある他、農用トラクターに付けるアタッチメントの種類が多いのも特徴である。ドイツのメーカーらしくドイツ車が多い。また、実際の車ではなく自社デザインのオリジナル車もある。
  • WIKING (ヴィーキング)
  • Brekina (ブレキナ)
  • RIETZE (リーツェ)
  • BUSCH (ブッシュ)

イギリス

  • コーギー
当初は1934年に創業したメットーイ社が1956年に発売したミニカーのブランドだった。メカノ社のディンキーに対抗して、ギミックを搭載した商品やキャラクター商品を含むミニカー製品を広く展開した。後に独立や買収を経てコーギー・クラシックとして独立した。
メットーイ社のミニカーブランドの「コーギー」を前身とする。1995年にマテル社から独立した。その後2008年にホーンビィ傘下に入った。
  • ディンキー
メカノ社が1934年に発売したミニカーのブランド。1940年代後半までは1/43スケールであったが、1950年代以降は1/48スケールが多くなった。その後幾多にわたる買収を経て1980年代末にマテル社に買収され、マッチボックス傘下に入った。マッチボックス傘下において「ディンキーコレクション」シリーズとして1/43スケールで大人向け商品を展開していた。
ラインズ・ブラザーズ社が1959年に発売したミニカーのブランド。1/42スケールであった。1964年にラインズブラザーズ社がメカノ社を買収したが、知名度からディンキーに負けていたため、スポットオンは1967年に終了させてディンキーを存続させた。
  • ミニック
ラインズ・ブラザーズ社のトライアング傘下のミニカーブランドであった。1935年の発売当初は手押しのブリキ製であった。1950年代に入りフリクションドライブの製品も登場した。HOスケールスロットカーのミニック・モーターウェイ (Minic-Motor Way) はプラスチック製で1963年に登場し、1970年に終了したが、これ以外に玩具のミニカーも存在した。

フランス

日本ではカバヤ食玩ミニカーとして発売している。フランスのメーカーということもあり、フランス車などの欧州車が多いが、日本車アメリカ車も存在する。
主に1/43スケールと1/18スケールで、亜鉛合金製のミニカーを生産していた。かつて1/40スケールのスロットカーを展開していた事があった (写真参照) 。
  • プロバンス・ムラージュ
1/43スケールのウレタン樹脂製キットを生産していた。後に倒産し、プロバンス・ミニチュアズ・オートモビルになったが、また倒産してヘコ・ミニチュアズに買収された。
  • ソリド (Solido)
ダイキャスト製ミニカーを製造している。
  • ノレブ (Norev)

イタリア

1/8スケールのミニカーキットを製造販売していたが経営悪化により廃業。
1/18スケールなど、複数のスケールで亜鉛合金製ミニカーを展開する。2007年にマイストを展開するメイ・チョングループの傘下に入る。
精密な自動車模型を手がける。完成品は高値で取引される。

版権

自動車メーカーによるライセンス

かつてはミニカーの発売に対し、キャラクター商品を除き、オリジナル自動車メーカーの許可の必要がなかったが、近年では企業の知的財産権意識向上などにより、基本的に実車メーカーに許可を得ないと商品化ができなくなっている。こうした版権許可の中には変わったものも存在しており、具体的な例として以下のものを挙げる。

  • 1999年、フェラーリはアメリカのマテル社とミニカーの製造・販売における独占契約を締結。これ以降、同社以外でフェラーリの模型の発売は一切不可能となった。そのため、一時はフジミやハセガワなどのプラモデルメーカーの製品は販売ができなくなり中古市場で高値で取引された。その後、組み立てモデルに関してはライセンスが下りるようになり、2000年代半ばには再び市場に流通する様になった。完成品モデルに関しては、現在の日本ではマテル社の正規輸入代理店である京商が製造・発売権を有しており、マテルと異なる価格帯で販売することを条件に契約が更新されている。京商製のフェラーリ模型はコンビニエンスストア限定流通品を除き、マテル製の物よりも高額な価格帯で販売されている。他には、アシェット・コレクションズ・ジャパンがフェラーリの公式ライセンスを取得し、刊行している雑誌「フェラーリコレクション」にミニカーを付属させたりしている。2010年、マテルはフェラーリとの契約を継続した。[1]

このような版権契約はデッドコピー品の締め出しに有効である一方、安定した品質で製品化してきた大手メーカーの発売・製造が制限されることもある。

タバコ広告の規制

ミニカーは基本的に子供向け商品と見なされることから、レーシングカーがミニカーとして製品化される際にタバコ会社の広告が消される傾向がある。近年では世界的な嫌煙傾向によりから鑑賞用ミニカーにも波及しており、タバコロゴのついていた過去の車種が製品化される場合でも文字を変更することがある(例としてキャメルはスポンサーになっていたロータスに、マールボロバーコードに似た縦状のラインに置き換えられている)。また現在では、タバコを類推させるものとして、そのバーコードなども消される傾向がある。

関連項目

脚注

  1. Mattel and Ferrari Continue Their Drive of Excellence