鉄道情報システム

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鉄道情報システム株式会社(てつどうじょうほうシステム、英称Railway Information Systems Co.,Ltd.[1]は、JRグループの情報通信サービス会社。1987年4月1日に、「マルス」をはじめとするJRグループ各社のコンピュータシステムの運用・管理業務を日本国有鉄道(国鉄)から引き継いだ。本社は東京都渋谷区(JR東日本本社ビル内)。略称はJRシステムコーポレートカラーえんじ色

概況

国鉄情報システム部、中央情報システム管理センター、東京システム開発工事局、同国立システム工事所、旅客局中央販売センター、鉄道管理局のうちA局にランクされる局の情報区の全部または一部を母体として、1986年(昭和61年)12月9日に鉄道通信会社とともに設立され、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化により、国鉄の12承継法人のひとつとしてマルスなどのコンピュータシステム運用管理事業を継承した。JR旅客7社およびJR貨物の他社より一足早く(国鉄分割民営化したのは1987年4月1日)、1986年12月9日に会社が設立されたのは、国鉄からの引き継ぎに事前の手続きが必要だったためである。正式名称が発表されるまでは「システム会社」と仮称されていた。発足当初の社員は280人、引き継ぎ資産の簿価は170億円だった。[2]なお、国鉄から民間借入金としての170億円の債務を継承した。[3]継承当初はJR貨物のコンテナ管理を行う「エポックス」、車扱貨物の管理を行う「フォックス」も扱っていた。

マルスをはじめとした情報通信を扱うため、届出電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)となっている。

株主は、JRグループの鉄道事業7社(東日本旅客鉄道東海旅客鉄道西日本旅客鉄道北海道旅客鉄道四国旅客鉄道九州旅客鉄道日本貨物鉄道)である。そのため、取締役をはじめとした役員についても各社出身の非常勤役員が在籍する。

新宿の本社を始め、各地に支社が多数あるが、国立の中央システムセンターが最も規模が大きく、社員の大多数もそこに在籍する。

企業理念

JRシステムは「豊かで快適な社会」の形成に貢献します

  • 人を大切にします。
  • 豊かな社会の発展に貢献します。
  • 信頼性の高い最良のサービスを提供します。

事業概要

JRシステムはコンピュータシステムの開発・運用・管理することが主たる業務である。また、鉄道に限らず、トラックなどの運輸物流業など顧客対象となる業界は多岐にわたっている。

ここでは代表的なものについて列挙する。

  • 旅客販売総合システム(MARS、マルス)
    座席指定券類の予約・発券のためのコンピュータシステム。システムの拠点は東京都国分寺市の中央システムセンターにある。
  • JR-NET
    マルスの基幹通信ネットワーク、光ファイバーによる全国規模の通信ネットワーク。
  • みどりの窓口」用販売端末
    緑の窓口で乗車券・指定席券などの切符や各種チケットを予約・発券するための端末。(MR型など)これらの端末は鉄道情報システムが制作したものの他にJR東日本エリアで使用されるジェイアール東日本情報システムが制作したものもある。(MEM型、MEX型など)
    他にも指定席券券売機などの顧客操作型の端末(MV型)も制作している。
  • CYBER STATION
  • FRENS(貨物情報ネットワークシステム)
  • 高速バスネット(JRバスグループ高速バス総合予約サイト)
  • 物流タウン
    物流に関する情報発信、情報交換を行うためのインターネットサイト。1996年11月1日からサービス開始、2007年3月31日サービス終了。当時のURLは http://www.transport.or.jp/
  • マン索ねっと
    マンションの管理組合の担当が、大規模工事、管理会社等の見積り参加業者をインターネット上で無料で公募できるサービス。
  • 収入精算システム
    JR各社の旅客収入の配分および精算システム。会社設立時より業務を行っている。JR各社に跨って運行される列車の運賃配分などの清算を行っている。
  • らく通
    宿泊施設に設置する送客通知端末。旅行会社やネットエージェントから宿泊施設への予約通知を一元管理する。

本社・事業所等

ファイル:JR-East-HQ-Building-00.jpg
JRシステム 本社(JR東日本本社ビル内)

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本社

事業所

中央システムセンター

JRシステムの開発・運用の拠点。鉄道総合研究所(JR総研)の国立研究所に隣接している。JR中央線国立駅(北口)が最寄り駅。

センターの屋上には、赤い大きな電波塔が建っている。このアンテナはかつてマルスデータ通信網の一翼を担い、マイクロ波を送受信していた。その後、光ファイバーなどの普及により、その役目を終えたが、近年では携帯電話のアンテナとしての役割を果たしている。

センター内部にはマルスのホストコンピュータが置かれ、全国のJRグループの指定座席の情報が一元化されている。

また、JRグループ各社、関連会社の社員が数名ずつ常駐している。

1998年(平成10年)6月に、業務拡大に伴って2号館が増設された。

歴史

CYBER STATION

CYBER STATION(サイバーステーション)とはJRシステムが運営するインターネット・サービス・プロバイダ事業である。前身はパソコン通信の「PC-STN」。

CYBER STATIONスタート当初、「CYBER EXPRESS」(サイバー・エクスプレス)と呼ばれる専用ソフトウェアを用いたパソコン通信時代のサービス色が濃く、インターネット接続・閲覧は付属サービス的であった。また、ウェブブラウザは使えるが、電子メールクライアントは使えない(インターネット経由のメールはCYBER EXPRESSで読み出さなければならなかった)、ユーザー独自のウェブサイトホームページ)スペースがない代わりに、メンバーズスクウェアというウェブページをアップロードして公開する掲示板的サービスがあるなど、特殊色も強かった。

現在、専用ソフトウェアは不要になり、独自メールアドレスが利用できるようになり、一般的な電子メールクライアントが使えるようになり、ユーザー独自のウェブサイトスペースも使えるようになるなど、一般的なインターネットサービスが標準となっている。

指定席予約状況などが無料で確認できるJR CYBER STATION(ジェイアール・サイバーステーション)があるが、これはCYBER STATION紹介への導線的役割もあった。

ユーザーのメールアドレスは、hogehoge@cyberstation.ne.jpではなく(独自メールアドレスが設定できなかった時代においては有効であったが、現在はCYBER STATION事務局以外は使用できない)、hogehoge@hoge.jrnet.ne.jpとなっているのは、JRシステムがマルスの基幹通信ネットワーク(JR-NET)を運用しているから可能であったと思われる。また、.jrnet.ne.jpの前のhogeメールサーバ名)が東海道新幹線山陽新幹線列車名を匂わせるスリーレターを用いているのはJRシステムらしいといえる。

インターネット列車予約サービス

大きな特色として、インターネットからJR全線の列車の指定席予約が行えるサービスがある。これはJRではPC-STN時代から長らくパソコン通信・インターネット上で列車予約が可能な唯一のサービスであり、プロバイダ加入時の大きな特典であった。

しかしその後JRグループ各社(JR東海の在来線を除く)がそれぞれ列車指定席予約サービスを始め、それらのサービスが

  • 予約後列車の発車日まで受け取りが可能
  • 割引特典が存在する

など優位性が存在するのに対し、CYBER STATIONでの予約は基本的に「プッシュホン予約」(2013年1月31日終了)を踏襲したサービスであるために、

  • 予約日から受取日までの期日制限(8日以内)が存在する。
  • 予約・受取そのものが発車日2日前まで
  • 割引などのサービスがない

と、制限点が多い。しかし、JR各社の予約サービスは

  • 一部の例外を除き他のJR会社管内での受け取りが出来ない
  • 予約時はクレジットカード決済が必須になる。
    • クレジットカードが必須ではないサービスも、JR北海道管内列車限定の「JR北海道電話予約センター」、JR西日本・四国・九州管内列車限定の「5489サービス」(JR西日本)「JR九州電話予約センター」(JR九州)のそれぞれ限定的な電話予約サービスのみである。

といった弊害もある。当サービスは、全国どの窓口であっても受け取りが可能であり、全国のほぼすべての列車を予約可能であるため、その点においては旅客にかかる負担は少ない。

協力会社・関連会社

関連項目

脚注

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外部リンク

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  1. ロゴでは「鉃道情報システム」と、「鉄」の文字は使わず「鉃」(金偏に弓矢の矢)という字を採用している。これは、会社発足が国鉄の赤字経営が主因となっており、「鉄」の字は“金を失う”という意味になり縁起が悪いからである。ただし、正式商号では常用漢字の「鉄」が用いられる。(これらロゴと正式商号で用いる文字の事情は、四国旅客鉄道を除くJR他社も同様である)
  2. 朝日新聞 1986年12月09日夕刊「分割・民営化第1号 「鉄道通信会社」など国鉄出資の2社設立」
  3. 朝日新聞 1987年03月05日朝刊「国鉄新会社の承継実施計画、「貨物」の債務は半分に」