HP-UX
HP-UX (Hewlett-Packard UNIX) は、ヒューレット・パッカード社(HP 社)製の UNIX オペレーティングシステムである。ワークステーションおよび中・大規模システム用サーバに採用されている。System V(最初は System III)に基づいたプロプライエタリ・ソフトウェアと定義される。
特徴
企業の基幹系システムに用いる中・大規模サーバに要求される、高い信頼性を持つとされる。特に通信、金融/証券系のシステムにおいて、TCP/IP に準拠した既存パッケージを改造する事無く、簡易なシェルスクリプトの生成にて適用できる高可用クラスタパッケージ MC/ServiceGuard(現在名は HP Serviceguard) が評価され、日本でも多くの通信、金融/証券系ユーザの基幹系システムプラットホームとして稼動している。MC/ServiceGuard の動作監視機能(TOC タイマ)をカーネルに組み込んでおり、商用クラスタ構成での信頼性・実績を持つ。 日本では、NTTドコモのiモードのサーバに使われていることで有名。[1]
自社の PA-RISC 及び、インテル の Itanium 系 CPU での動作を保証している。Itanium 系では、EPIC 採用のため PA-RISC 系とは CPU アーキテクチャが異なるが、エミュレータ(Aries バイナリトランスレータ)によりバイナリレベルの互換性を提供している。ただし、エミュレーションによるパフォーマンスへの影響を回避して Itanium 系本来のパフォーマンスを得るためには、ソースコードの再コンパイルが必要となる。またCPUアーキテクチャの変更によりオブジェクトサイズが大きくなる傾向がある。
大規模システムでは大容量かつ大量のデータを扱うため、高いレベルでの入出力データ処理能力や高可用性を要求される。システムが確保可能なディスク領域は、論理ボリュームマネージャ(LVM、VxVM)によって管理され、データエリアの柔軟な管理や障害発生時の代替処理に対応する。一方で、ジャーナル・ファイル・システム (VxFS) によって、大容量データの入出力や更新処理を効率よく行えるように最適化されている。また、障害発生時にもファイル構造の復旧を速やかに行えるようになっている。VxVM や VxFS は、かつて存在した VERITAS 社の商用パッケージを採用したものである。
日本のベンダである NEC・日立製作所・沖電気工業・三菱電機などが OEM 販売を、さらに NEC・日立製作所が自社開発による互換サーバを販売している。NEC はNX7700i シリーズやシグマグリッドを、日立は BladeSymphony の 1000 シリーズ、のうち IPF ブレードを製造している。
歴史
初期のバージョンは Apollo/Domain システムに対応していた。モトローラ 68000 シリーズのプロセッサに基づいた HP 9000 シリーズ 200、300、400 システムや、HP の FOCUS アーキテクチャに基づいた HP 9000 シリーズ 500 システムでも用いられていた。
2009年現在は PA-RISC レンジのプロセッサと IA-64 プロセッサに対応している。バージョンは HP-UX 11i v3 (B.11.31) である。11i とは 11.0 のインターネット対応機能強化版の位置付け。11i v1 (B.11.11) において、NTT DoCoMo の i モードゲートウェイシステム (CIRCUS) の提案を行う際に強化した機能を標準化し、その上にスレッド動作を N:M スレッドに変更している。
出典
関連項目
- UNIX
- ヒューレット・パッカード (Hewlett-Packard, HP)