高松琴平電気鉄道20形電車

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高松琴平電気鉄道20形電車(たかまつことひらでんきてつどう20がたでんしゃ)は、高松琴平電気鉄道の電車である。この形式は3度にわたって使われており、本項に記す下記の車輛が存在した。

  1. 初代(1943年 - 1945年
  2. 2代(1952年 - 1962年
  3. 3代(1962年 - )

20形 (初代)

長尾線の前身である高松電気軌道が1912年と翌年に9輛新造した四輪単車の1形で、1943年の高松琴平電気鉄道発足に伴い20形21~29に改番した。

1945年、長尾線の改軌に伴い本形式も国鉄多度津工場で標準軌に改軌され、志度線市内線でも使用されるようになったが、同年7月4日の高松への空襲により4輛を焼失し、残り5輛も戦後の早い時期に廃車された。

この廃車体は一部が志度線、長尾線の駅で待合室に使われていたが、現存するものはない。

20形 (2代)

もと京浜急行電鉄のデハ113で、1924年京浜電気鉄道自社川崎工場製。1952年に入線した。もともとは京浜電気鉄道デ13であるが、この車輌は1906年製の京浜電気鉄道1形の車体新造車である。窓配置はC5-D4.4.4.4Dで、客用扉は外吊り、窓は1段下降式で、その上に明り窓があった。のちに中央にも外吊りの客用扉を設けている。1942年の東京急行電鉄への合併に際しデハ5113に改番、1948年の京浜急行電鉄独立時にデハ113となった。琴電入線後も車体に手が加えられることは一切なかった。

1962年20形 (3代)の登場に伴い、60形に編入して66となった。その後、志度線の昇圧で余剰となり、木造のまま1968年に廃車された。

20形 (3代)

ファイル:Kotoden 22 kawaramati b.jpg
22(1988年以降の車体更新前、瓦町)
ファイル:Kotoden 24 kasugagawa 20x3.jpg
24+23+22(22と24は1988年以降の車体更新前、春日川付近)
ファイル:Kotoden 23.jpg
現在の23の運転台 2011年5月

もと近畿日本鉄道南大阪線のモ5620形で、1925年川崎造船所製。1961年に譲受し、翌1962年に使用開始した。両運転台の制御電動客車21 - 24の4両からなるが、2006年9月に21, 22, 24が廃車され、現在は23のみ在籍する。

車体は14m級の半鋼製で、窓配置はF3'-1D2.2.2D2.2.2D1である。客用扉間にのみウィンドウシルがある。パンタグラフは長尾・琴平側(志度線では瓦町側)にある。車内は23・24の内装がニス塗り、また23は車内の側扉脇に彫刻を施された飾り柱が残っている。

元々は近鉄南大阪線の前身である大阪鉄道が新造したデロ20形21 - 24)である。近鉄の前身である関西急行鉄道に合併された時にモ5620形に改番された。

琴電への入線にあたり、軌間が異なるため台車を信貴生駒電鉄(現在の近鉄生駒線)の中古品に交換。車体は前面を5枚窓の丸妻から、3枚窓で平妻の貫通形に改造した。なお、この時点で、22と24は側窓上に半円形の飾り窓の跡が残っていた。

当初、志度線での使用を想定して20形となったものの、主電動機出力が高かったことから琴平線で使用されることになった。制御車の8000形950形等と編成を組むことが多かった。なお、20形の代わりに3000形が志度線に転属している。

この後、24の飾り窓跡は撤去され、1976年には老朽化が激しかった23の車体が更新された。現在、23のみ車番が切り抜き文字ではなく、ペンキ書きなのはこのためである。

また、1975年から1983年にかけて志度線と琴平線の転属を繰り返した。この頃、老朽化のために廃車候補になっていたが、結局志度線(および長尾線)で引き続き使用されることになった。1988年から1991年にかけて、21・22・24も車体更新を受けている。この時に22に残っていた飾り窓の跡が撤去された。また乗務員室の窓形状が上段Hゴム支持の2段上昇窓から、1段下降窓に変更されている。ウィンドウシルも段つきから平板となった。

志度線・長尾線では20形同士の重連で使用されることが多かった。1994年の志度線分断後は、同線の専属となり、主にラッシュ時の増結運用に充当されるようになった。

2006年9月に長尾線所属の600形が800番台に改造の上増結用として志度線に転属し、代替として21・22・24が廃車となり、23は志度線全車冷房化後も動態保存予定車となることが決定した。なお、この保存車両には当初21が予定されていたが、ニス塗り・飾り柱など内装が原型を残すことから保存要望が高かった23に変更されたとの経緯がある。2007年8月、600形および700形の志度線転属に伴い、長尾線に転属した。 現在は正面向かって左側にサボを付けているが向かって右側につけられている時代もあった。

なお、近鉄からの移籍車両は全国的にも珍しく、現役の車両は他に大井川鐵道に移籍した16000系6421系(後者は休車中)が存在するのみである。

テンプレート:高松琴平電気鉄道の車両