風雲ライオン丸

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:基礎情報 テレビ番組風雲ライオン丸』(ふううんライオンまる)は、1973年(昭和48年)4月14日から同年9月29日までフジテレビ系で毎週土曜日19:00 - 19:30に全25話が放送された、ピー・プロダクション制作の特撮テレビ番組。『快傑ライオン丸』の後番組。

概要

前作『快傑ライオン丸』の好評を受けて制作された作品。主人公である獅子丸役には、前作でも主人公を演じた潮哲也がキャスティングされた。主人公役の役者が後番組にも主人公として登板する変身ヒーロードラマが稀であると同時に、本作の場合は同じ名前の別人となっている[1]

また、第11話からはライバル役のタイガージョーJr.に福島資剛が起用され、主役・ライバルともに前作と同じ役者だがキャラクターは別人、という異例な作品となった。前作との関連は特に語られていないが、第9話に快傑ライオン丸の登場シーンがある。

ヒーローものではあるが「時代劇」というスタイルを守っていた前作とは違い、各所に独自性が盛り込まれている。獅子丸はポンチョ風の服をまとい、志乃と三吉は幌馬車で旅をするなど、西部劇を強く意識した作りになっているが[2][3]テンプレート:Sfn、時代考証を完全に無視したこの設定は視聴者に違和感を覚えさせることとなった。ライオン丸のデザインは兜を被った精悍なものだったが、兜によってタテガミが隠れてしまったため、兜は第11話で割られ、以後はタテガミを見せるようになった。

ストーリー展開は極めてハードなものとなっており[2][3]、「兜なし」などの路線変更後もさらにエスカレートしてゆき、ストーリーには随所に戦乱に翻弄される人間のエゴや弱さを盛り込んでいる。最終回も獅子丸はマントルに勝利したものの、同時に戦乱を止められない自分の無力さを知り、厳しい表情で去っていくというものである。ほかにも従来のヒーローものとは違う重い話が作られたが、年少の視聴者の人気は得られず、さまざまな不評も重なった結果、番組は半年で打ち切りとなる。

ストーリー

時は戦国時代。西日本の地下に潜むマントル一族は日本征服を企み、怪人や地虫忍者を使って次々と町や村を滅ぼしていた。若き忍者・弾獅子丸の兄・影之進もマントルの怪人の手にかかり瀕死の重傷を負う。彼は獅子丸にマントル帝国の野望を教え、その野望を阻止することを願い、息絶えた。 たった一人の兄を殺された獅子丸は打倒マントルを決意する。父から学んだ秘術・弾丸(ロケット)変身を用いてライオン丸に変身し、マントルの怪人と戦う旅に出る。

戦いを続ける獅子丸の前に、生き別れの父を探す志乃と三吉の姉弟が現れる。三人は時に道連れとなり、時には別れ、過酷な旅を続ける。そしてついに獅子丸はマントルの本拠地にたどりつく。そこで彼を待っていたのは強大なマントル一族の支配者・マントルゴッドだった。

キャラクター

弾獅子丸/風雲ライオン丸
相模出身。21歳[2]。兄影之進をマントル一族に殺された為、復讐を誓って旅に出た。背中のロケットで風雲ライオン丸に変身する。冷静になりきれず悩む事が多い。
ライオン丸に変身した時、必殺技「風返し」で怪人を爆破するが、剣術だけでなく格闘技で相手にも立ち向かう。11話でザグロに兜を割られ、13話から兜を外して戦う様になる。
志乃
行方不明の父勘介を探し、弟の三吉と共に幌馬車ビックリ号で旅をする。16歳[2]。楽器を奏でて数え歌を常に歌っており、敵に出くわすとビックリ号を走らせて逃げる。弟思いで芯が強い。3話ではビックリ号を走らせてモチナシ草を運んだ。双子の姉妹に志津がおり、マントル要塞で暮らしている。
志津から春の短刀、父勘介から夏の櫛、京都の教会で秋の十字架、父の相弟子小吉から冬の太刀を手に入れる。これらが揃うと地図になり、マントル怪人の生産拠点とマントルゴッドの本拠地が示される。
三吉
志乃の弟。7歳[2]。力はないが知恵があり発明が大好き。4話ではシトシト爆弾を作った。ビックリ号も彼が作った。好奇心が旺盛で、珍しいものを天眼鏡でのぞく癖がある。温厚だが一途なあまり無茶もする。獅子丸を兄の様に慕い、カタツムリが苦手。
黒影豹馬/ブラックジャガー
秘法(ひっぽう)豹変でブラックジャガーに変身する剣士。強いものと戦う事を生きがいとしており、獅子丸に挑戦しようとするが相手にされない。根はいいがお金に汚く、自信家で血の気が多く、後先を考えずに動く。10話でマントル一族の卑劣さを知り、金銭関係ぬきで獅子丸一行に協力する様になるが、11話では単独でザグロに挑み、倒された。
ブラックジャガーに変身した時、必殺技「ジャガーつばめ落とし」を使う。
虎錠之助/タイガージョージュニア
11話から登場する剣士。なにかと獅子丸に関わり助言をする。タイガージョージュニアとなって風雲ライオン丸と共に戦うが、考え方は合理的で、命よりも誇りを重視する。
タイガージョージュニアに変身した時は、刀と銃を使う。
七色虹之助
17話から登場する甲賀忍者。獅子丸達が西のマントルゴッドの国に行こうとした時に出会い、マントル一族打倒に燃えていた為、同行する。忍者なのに泳げずカタツムリが苦手、おっちょこちょいだが、正義感は強く、変装術や忍術も使う。24話ではわざとマントル一族に捕まり、獅子丸を手がかりで誘導するが、勘介に人間大砲の砲弾とされた。飛ばされた時向きを変えて地虫忍者にぶつかって壮絶な最期を遂げた。

マントル一族

マントルゴッド
マントル一族の長。地底に顔だけを広げており、アグターに怪人や地虫忍者を指揮させる。冷酷な性格で人間の心を一切拒否する。25話では不死身の怪人マントルテロスに自分の眉間(弱点)を守らせるが、風雲ライオン丸に眉間を刺されて倒された。
アグター
怪人や地虫忍者を指揮するが、足が不自由なため六能陣車で移動する。23話では冬の太刀を風雲ライオン丸から奪うが、志乃が春の短刀を投げて雷を発生させた為、手放してしまう。六能陣車で風雲ライオンを苦しめるが、遂に敗れた。
志津
志乃の双子の姉妹。マントル一族からは地虫の神と崇められている。18話で獅子丸達を助けた為にズガンクに槍で刺されて、瀕死となった時、春の短刀を志乃に渡すが、マントルゴッドの怒りに触れ、石仏に姿を変えられた。
勘介テンプレート:Refnest
志乃と三吉の父で、マントル一族の一味。24話で志乃と三吉はこの事実を知り、問いかけた事がきっかけで改心し、地下帝国の図を渡すが、処刑された。

キャスト

スタッフ

主題歌

  • 主題歌:「行け友よ ライオン丸よ」(作詞:中村しのぶ、作曲・編曲:筒井広志 、歌:浜ジョージ、コーラス:ブルーエンジェルス)
  • エンディングテーマ:「行くぞ! ライオン丸」(作詞:中村しのぶ、作曲・編曲:和田昭治、歌:和田昭治とヤングエコーズ)
  • 挿入歌「さすらいの誓い」(作詞:中山千夏、作曲:はしだのりひこ、編曲:青木望、歌:ブルーエンジェルス)
「志乃の数え唄」(作詞:中山千夏、作曲:はしだのりひこ、編曲:青木望、歌:宮野涼子)

放映リスト

参照テンプレート:Harvnb

話数 放送日 サブタイトル 登場怪人 脚本 監督
1 1973年
4月14日
飛び出せ弾丸(ロケット)変身! ネズマ(声 - 岡部政明[4] まつしまとしあき 石黒光一
2 4月21日 荒野を走る黒豹(ブラックジャガー) バラチ しのだとみお
3 4月28日 火を吹く亀甲車 ドカゲ まつしまとしあき
4 5月5日 シトシト爆弾を守れ! シャゴン しのだとみお 手銭弘喜
5 5月12日 燃える水を奴らに渡すな ガー まつしまとしあき
6 5月19日 黒豹よ 三吉を助けろ! ケカビー(声 - 増岡弘 山崎晴哉 大塚莞爾
7 5月26日 最後の砦 マジン(声 - 増岡弘) 高際和雄
8 6月2日 謎の新兵器 ローク車 ガズラーテンプレート:Refnest
三色仮面
山崎晴哉[5] 石黒光一
9 6月9日 蛇ケ谷にライオン丸を見た ガムジン(声 - 増岡弘) 大塚莞爾
10 6月16日 うなる大砲 怪人ズク ズク 石黒光一
11 6月23日 生きていたタイガージョー! ザグロ しのだとみお
12 6月30日 地獄谷に恨みをはらせ! ガン(声 - 増岡弘) 山崎晴哉 大塚莞爾
13 7月7日 たてがみかがやくライオン丸 ペルソナ 高際和雄 石黒光一
14 7月14日 父のかたきライオン丸! キツネバ 大塚莞爾
15 7月21日 脱獄囚を追跡しろ! ゾリラ まつしまとしあき
16 7月28日 忍者(しのび)の掟に明日はない!! ヤゴ 高際和雄
17 8月4日 西から来た男 ヤリコウモリ まつしまとしあき 石黒光一
18 8月11日 マントルゴッド 悪魔の要塞 ズカング
19 8月18日 よみがえれ弾丸(ロケット)変身!! オニグモ 高際和雄 大塚莞爾
20 8月25日 敗れたり! ライオン丸 ゲジム 山崎晴哉 石黒光一
21 9月1日 危うし! 伊賀の三兄弟 ザソリ
22 9月8日 南蛮寺の秘密 ヒトデロ まつしまとしあき 松本喜隆
23 9月15日 ライオン丸 アグダーを斬る!! トビゲラ 高際和雄 大塚莞爾
24 9月22日 悲運!! 父との再会! アブ 石黒光一
25 9月29日 マントル地下帝国最後の日!! マントルテロス

ネット局・放送時刻

ほか テンプレート:節stub

補足

快傑ライオン丸のゲスト出演について

第9話Bパート開始直後に快傑ライオン丸が登場するのは、弾獅子丸が気を失っている間である。このことを受け「快傑ライオン丸は、弾獅子丸の夢の中に出て来たのでは?」という指摘もあるが、結局快傑ライオン丸が登場したという根拠は、彼の授けた刀だけである。なお、スーツアクターは『快傑ライオン丸』と同様、鴨志田和夫が担当した。

快傑ライオン丸の登場は脚本にもなく、次回予告にもない。現場で急遽決定されたようである[12]

当時の雑誌掲載の漫画版『風雲ライオン丸』には、快傑と風雲の両ライオン丸が共闘し、会話を交わすストーリーとなっているものがあった。

タイガージョーJr.の本名・素性について

初登場となる第11話のエンディングテロップでは「虎錠之進」であるテンプレート:Refnest。劇中では「俺の兄貴は虎錠之介とか言っていたが、あいにく俺は名前を忘れてしまった」と言っている。第12話は未登場、第13話はテロップなし、第14・15話は「〜進」、第16話は「〜助」、第21話は「〜介」、第25話では「〜助」になっている。第17 - 20話と第22 - 24話は未登場。弾獅子丸をはじめ、劇中の登場人物は一貫して「錠之すけ」と呼んでいる。

第13話のタイガージョーJr.は次回予告には登場しているが脚本にはない。現場で急遽決定されたようである[12]

ライオン丸の兜・タテガミについて

第11話で兜を割られてタテガミを見せるが、以後は必ずしもタテガミを見せたままではない。

第13話では第11話同様、最初は兜を被って登場するが、途中でタテガミを見せている。

第12話、第20 - 25話では兜を被ったままで、最初からタテガミを見せているのは第14 - 19話のみである。

第12話「地獄谷に恨みをはらせ!」にはタイガージョーJr.が登場せず、ライオン丸の兜も元のままである。これは放送順を変更し、既に完成していた「地獄谷に恨みをはらせ!」を後ろにずらし、後で完成した「生きていたタイガージョー!」を第11話として先に放送したためである[12]

タイガージョーJr.のスーツについて

初登場の第11話では、前作のタイガージョーのものを修復して使用した。第13、15話も同様である。

第14話で新調され、以後こちらが使用される。

その他

  • 七色虹之助はコメディリリーフだが、剣の腕も一定の水準をクリアしており、単なるお笑い担当ではない。自ら縫ったライオン丸のマスクを被り、陽動を行ったこともある。

漫画

映像ソフト化

  • 2000年4月25日に発売ニューライン・販売エスモックにより全話収録のLD-BOXが発売された[13]
  • 2005年3月25日に全話収録のDVD - BOXが発売された。

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:前後番組
  1. 主演俳優が後番組でも主演したのは『イナズマン』→『イナズマンF』渡五郎役の伴直弥や、『仮面ライダーBLACK』→『仮面ライダーBLACK RX』南光太郎役の倉田てつをなどがあるが、この2作品は前後番組で主役キャラクターも同一人物である。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 テンプレート:Harvnb
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite book
  4. 以下、特に記載のない怪人は岡部が演じた。
  5. 會川昇映画秘宝Vol.5『夕焼けTV番長』(洋泉社・1996年)の37 - 39頁で、第9話の脚本を手がけたのは高際和雄であると断定している。
  6. 快傑ライオン丸』まで同時ネットだった仙台放送では、1973年4月〜1974年3月までの土曜19:00 - 19:30枠で自社番組『東北新幹線クイズ プラザQ』を放映(同時ネット再開は『電人ザボーガー』から)。
  7. 仮面ライダーシリーズ』(毎日放送制作、NET系列)を放送したため時差ネット。
  8. 日本テレビ系列とのクロスネットによる番組編成の都合により、番組販売扱いで広島県マツダ会の一社提供番組として放送。
  9. ジャンボーグA』(毎日放送制作、NET系列)を放送したため時差ネット。
  10. 歌まね合戦 スターに挑戦!』(日本テレビ)を放送したため時差ネット。
  11. 守れ!ジャングル』を放送したため時差ネット。
  12. 12.0 12.1 12.2 DVDの解説より。
  13. テンプレート:Cite book