電話番号案内

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電話番号案内(でんわばんごうあんない)とは電話番号を加入者名・住所業種から調べるサービスである。なお市外局番などの案内は可能であるが、電話番号から具体的な住所と名義を調べることはできない。

電話による案内

日本では、電話番号「104」が番号案内用として割り振られている。NTT東日本NTT西日本NTTドコモワイモバイルの電話からは発信地最寄りのNTT東西回線を通じて接続されるNTTタウンページが案内をしている。また、キャリアごとに日本マルチメディアサービス[1]ソフトバンクモバイルウィルコムYahoo!BBおとくライン。かつては平成電電ツーカーも)、KDDIエボルバ[2] (au) など一部の回線はNTTとは別の事業者が事業を行っている。そのため一部の直収電話IP電話においては、固定電話でもNTTとは別の事業者に接続されるケースもある。

かつて、日本における電話による電話番号案内は自動交換化された後に加入者自身でダイヤル操作を行う代替として無料で提供されていた。案内人(コミュニケータ)は、元交換手が多かったという(雇用維持の意味合いも考えられる)。しかしながら、1990年に次のような理由で有料化が行われた。

  • 利用が一部の加入者に偏っている。
  • 電話料金の引き下げを行うための障害となっている。
  • 有料で提供されている国も多い。

また利用者数のピークであった1990年頃を境に有料化されたことや90年代後半のインターネットの普及などで利用者数はゆるやかに減少しており、利用件数は2003年度には約5億3000万件であったものが2008年度では2億6000万件と5年間で半減している[3]。その一方で、番号案内のスピーディな検索を求める需要も依然高い。

料金はNTT東日本・NTT西日本の一般電話の場合、月に1案内の場合1回あたり60(以下全て消費税抜き)、2案内以上の場合1回あたり90円かかる。深夜・早朝(日本時間23時 - 翌8時)の場合には1回あたり150円とさらに跳ね上がる。公衆電話からは利用時間帯にかかわらず1回あたり一律(税込)100円である。携帯電話PHS直収電話IP電話からは電話会社ごとに料金が異なり、現在はおおむね(税抜き)100 - 150円(電話会社・利用時間帯により異なる)である。

緊急通報用電話番号NTT電報受付といったNTT東西の3桁特番については、オペレータが口答によって無料で案内されている(NTT-BJの場合。番号データベースを参照しないため)。

業者により適用範囲や申込み・利用方法は異なるものの、視覚障害者精神障害者など電話帳の利用が困難な一部の障害者は程度により事前に登録することで無料利用が可能である。障害者割引項、東西NTTはふれあい案内の項を参照。

スカイプアウトからは+448006312001で無料でKDDIのオペレータにつながり、番号案内をすることができる。また、IP電話からは010-1-877-533-0051でKDDIのオペレータにつながり、アメリカまでの通話料が適用され1分9円(BBフォンの場合は3分7.99円)で番号案内サービスを利用することができる。ただし、海外からkddiの国際電話を使ってかけることを前提としての番号案内なので、フリーダイヤル・ナビダイヤルなどは案内されない。

接続サービス

DIAL104

2007年7月より、NTT東西では番号を案内した後で希望によりその番号に直接つなぐ「DIAL104」サービスが開始された。案内された電話番号をユーザーがメモへ転記させる必要無く相手先に繋がる利便性が一定の評価を得ているが対象となるのは基本的にNTT固定回線からの発信のみであり、公衆電話携帯電話直収電話は対象外となっている。

「DIAL104」は番号案内に100番通話等のようなオペレータを介して半手動交換で中継接続させる形態であり、県内通話は東西NTT・県外通話はNTTコミュニケーションズへ接続され番号案内料に加えて各社が定めたアクセスチャージと通話料金が適用される。中継接続のため、マイラインの優先接続や「ケンタくん」「タイムプラス」「エリアプラス(県内)」「プラチナライン(県外)」といったNTTグループの通話料割引サービスは適用外である。

この「DIAL104」利用料金について上述のようにマイラインの優先通話や割引サービスが適用されないため、それらのサービスを利用しているユーザーにとって特に長時間通話や県外通話を行った場合、大きな不利益(概ね2001年4月の料金改定前のNTT通話料が請求される)を被ることとなる。

2007年のサービス開始当初にNTT番号情報(現在はNTTタウンページ)によるテレビCM交通広告が全国的に展開された際には「通話料が高くなる場合があります」などと通話料の仕組みやアクセスチャージについて具体的な費用を明記しなかった為、NTTへの苦情が寄せられる事となり同年秋には新聞などで報道されていた。そしてDIAL104サービスの業務委託元であるNTT東日本NTT西日本両社に対して、2008年3月14日公正取引委員会が料金について不当表示(有利誤認)であると排除命令を発し、総務省も同時に料金について行政指導処分を行った。

ソフトバンク系

2007年12月からは、ソフトバンクの一部の電話からも番号案内の後に直接案内した番号に転送される「番号案内転送サービス」が行われている。ただし日本マルチメディアサービスの提供するサービスではなく、ソフトバンクモバイルが提供するサービスとなる。

パソコン通信・Webによる案内

日本におけるWebによる電話番号案内は小売店飲食店企業など業務用の契約回線が検索できるものが後述外部リンクの「iタウンページ」を始め各ポータルサイトや#で始まる特殊番号で提供(「iタウンページ」等により提供)されている。

なお住宅用(個人用)契約の回線については2006年1月現在、無料で検索できるWebサイトは確認できない。またNTT東日本・西日本では、パソコン通信モデムによる直接接続を用いた検索サービス「ANGEL LINE」を1990年12月より提供していたが、これも2011年1月末でサービスを終了した[4][5]。このため現在、配布される電話帳の記載地域外の住宅用契約の番号は、複数地域の電話帳が閲覧できるNTT東西の窓口や一部の図書館に足を運ぶ場合を除いて無料で調べることはできない。

外国の番号を調べる

日本国内からでは、KDDIの「国際電話についての問い合わせ電話番号0057」(KDDIエボルバ受託運営)で、海外の電話番号を無料で調べることが出来る。オペレーターに番号が知りたい国と企業名、正確な住所を伝えるとインターネットで、または相手国の電話番号案内に確認の上、希望の電話機に折返し案内の電話が掛かってくる。問い合わせは24時間可能であるが、国際電話を利用する上での便宜を図ることが主な目的のため、下記のようないくつかの利用条件がある。

  • 他の方法・手段を使って電話番号を調べられる場合はその方法を優先すること。(インターネットがある場合はインターネット、海外支店のある企業は日本のコールセンターにかけて問い合わせること)
  • KDDIの国際電話サービスを利用して調べた番号に実際に電話をすること(緊急時はDIAL104のように、取次で中継接続をして貰うことも可能)
  • 調べられない番号もあること
  • 全ての国に関して調べられる訳ではないこと
  • 調べるのに時間がかかること

業務の傾向

かつては番号案内を提供する企業がNTTだけであったこともあり年間12.8億件(1989年NTT-BJ広報数値。以下NTT公表データによる)の入電がNTTのセンターに集中していたため、全国各地に番号案内のセンターがあった。

現在はインターネット等の普及や有料化で年間3.6億件(2006年。NTTのみ)へ入電の総数が減ったこと、また番号案内を取り扱う企業が増えたことでNTT自体のセンターも集約化が図られている。

また以前は番号案内が電話の利用者の便宜を図ること自体が目的であったが、現在は利益を発生させることへと目的がシフトしたこともあり利益水準を上げるため効率化が最優先されている。

2008年現在、NTTの番号案内センターは各都道府県に残っているものの北海道や沖縄といった地方への分散化が行われている。これは人件費が安く、コールセンターを積極的に誘致している地方へセンターの大部分を移すことによりコストダウンを行ったり市町村から雇用維持のための補助金が出ることでサービスの品質を高水準に保つ意味合いがある。また、札幌や沖縄など比較的短時間で通勤できる圏内に居住区が集中している場所にセンターを配置することで安定的で効率よくオペレータを配置する目的もある。

現在ではNTT以外の企業でも、仙台や長崎など地方にセンターを分散化する動きが活発になってきている。

歴史

  • 1890年12月16日 : 東京 - 横浜間で電話交換業務が開始。同時に電話番号案内が開始。
  • 1896年 : 東京で案内受付用番号「500番」を設定。
    • 当時は手動交換で相手の電話番号を交換手に伝えなければ電話がつながらなかったため、あらかじめ自分で調べる必要があった。よってこの案内受付用番号は電話交換についての苦情や要望、各種の問い合わせが主体になっていた。
  • 1926年1月20日 : 自動化された地域で「100番」で電話番号案内が開始。
  • 1937年12月1日 : 電話番号案内の「100番」への統一が完了。
  • 1953年 : 市内を「104番」、市外を「105番」に変更。
  • 1972年10月1日 : 市外局番 +「104番」に変更開始。
  • 1984年 : 市外局番 +「104番」を全国拡大。
  • 1986年10月10日 : 東京でコンピューターによる案内業務が開始。
  • 1989年
  • 1990年12月1日 : 有料化開始(それまでは無料であった)。モデム利用の案内サービス「ANGEL LINE」(0190-104104) 開始。
  • 1997年
    • 4月14日 : 英語による案内サービス開始。
    • 12月25日 : 日本マルチメディアサービスがデジタルフォン、ツーカー、デジタルツーカー3グループ向けに電話番号案内を開始。
  • 1998年5月1日 : プッシュ音利用の案内サービス「あんないジョーズ」(0190-104555) 開始。
  • 2006年2月1日 : KDDIエボルバが、au向けに番号案内を開始(現在、auの携帯からの104はすべてKDDIエボルバが担当する)。
  • 2007年
    • 3月31日 : 「あんないジョーズ」終了。
    • 7月1日 : NTTが、接続サービス「DIAL104」開始。
    • 12月1日 : 日本マルチメディアサービスが、「番号案内転送サービス」を開始。
  • 2008年6月 : グーグル日本法人が新サービスとして電話番号案内事業に参入する予定と発表。
  • 2011年1月31日 : NTTのモデム利用の案内サービス「ANGEL LINE」(0190-104104) が終了[4][5]

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 日本マルチメディアサービス
  • KDDIエボルバ
  • テンプレート:Cite news
  • 4.0 4.1 NTT東日本「ANGEL LINE(エンジェル ライン)」サービスの提供終了について
  • 5.0 5.1 NTT西日本「ANGEL LINE(エンジェル ライン)」サービスの提供終了について