責任主義

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テンプレート:複数の問題 テンプレート:日本の刑法 責任主義(せきにんしゅぎ)とは、行為者に対する責任非難ができない場合には刑罰を科すべきではないとする原則をいう。この原則は、罪刑法定主義と並ぶ近代刑法の重大な原則の一つである。

この原則の理論的根拠は一般に、近代刑法にあって、刑罰は復讐ではなく、社会一般に対する警告(一般予防論)と当該犯罪者の再犯の防止を主たる目的とするところ(特別予防論)、責任非難が出来ない場合に処罰することは、この双方の点から無意味である点にあるとされる。

この原則により、結果が生ずればたとえそれがきわめて偶然的に発生した場合であってもそれだけで刑罰を科すような結果責任や、一部の者の行為についてその者の所属する団体の構成員全員に刑罰を科すという団体非難が禁止される。

責任要素

責任阻却事由

原則として責任が認められる行為について、その有責性を否定する事由のことを責任阻却事由という。責任阻却事由がある場合、刑罰法規の構成要件に該当していても犯罪とはならない。

  • 責任能力を欠く者(責任無能力者) - 責任主義の原則を受けて、刑法は責任能力を欠く者の行為を処罰しないことを規定する。(責任能力の項目を参照)
    • 心神喪失者(刑法39条1項) - 心神喪失とは、精神上の障害により是非弁別能力または行動制御能力を欠く状態(判例)
    • 刑事未成年者(刑法41条)
  • 期待可能性を欠くこと

責任軽減事由

犯罪の成立は否定されないが、責任が低減している場合に、刑罰の減免が認められることがある。

  • 心神耗弱者(刑法39条2項)
  • 自首(刑法42条)
  • 中止未遂(中止犯、刑法43条但書) - 責任減少説の場合
  • かつては、唖者(旧刑法40条) - 1995年に削除

関連項目