田中熊五郎
テンプレート:Pathnav 田中 熊五郎(たなか くまごろう)は、必殺シリーズの登場人物で、南町奉行所の筆頭同心であり、中村主水の上司である。山内としお(登場初期の芸名は山内敏男)が演じた。必殺シリーズのエンディングにおける役名のクレジットは、筆頭同心田中となっている。
概要
『新・必殺仕事人』から1990年放送のスペシャルまでの中村主水シリーズに登場した主水の上司である。
『新仕事人』第13話において、左遷させられた前任者の後任として南町奉行所に着任し、筆頭同心となる。初期の設定は、将来を嘱望された若手エリートであり、親子ほども年の離れた部下である主水を叱咤する(主水から見れば、親子ほども年の離れた若造に馬鹿にされる)という役回りであった。やがて、仕事人シリーズが人気を博したことで舞台(特に京都南座での「納涼必殺祭り」)が企画されると田中も舞台に登場、そこでのオカマ調演技が好評を得たため、以後本編でもオカマのような言動をとるようになり、『必殺仕事人III』からは「オカマの田中様」という人物設定で知られるようになった。この頃になると若手エリートという設定も薄れていった。
主水の上司は、シリーズを通して与力もしくは筆頭同心という役職で登場し、田中に限らず様々な人物が登場した。しかしながら、田中は、その中で最も長くシリーズに登場し、主水の上司としてのイメージを確固なものとした。
なお、上記のようにエンディングのクレジットでは、田中熊五郎ではなく「筆頭同心田中」と表記されている。また、主水からの呼び方に由来して、しばしば「田中様」とナレーションされたり、表記されることもある。
人物
八王子に左遷させられた筆頭同心・内山(演・須賀不二男)の後任として南町奉行所に着任。いずれ勘定奉行所の重役に付くことが約束された若手エリートであり、南町奉行所は一時的なものという予定であったが、結局長く南町奉行所に勤めることとなる。着任早々に主水に目をつけ、軽んじたり嫌味を言うことが多く、部下とはいえ年上である主水のことを「あんた」呼ばわりしていた。
性格はことなかれ主義の、いかにも役人といった人物であり、幕府や藩が関わるような案件は「厄介ごと」として追及しないように命令したり、上からの圧力にも簡単に屈する。捜査能力もかなり低く、安易に事件の全体像を決め付け、悪人達が狙った筋書き通りに動くことが多い。主水が有力な手掛かりを発見しても、その意味に気付かないか、主水が発見したから大した物ではないと決め込むことが多かった。また、剣術・武術の腕前もなく、特にオカマ調のキャラクターが確立してからはそれが顕著となる。
先述のように、シリーズを経ることに、いわゆるオカマ口調のようなコミカルな言動を取るようになり、必殺シリーズの作風変化もあって、コメディリリーフ的な役回りになる。以後は、役人的な性格の部分に変わりは無かったが、主水のことを「中村さん」と呼び、(嫌味は言うものの)敬語で接するなど、主水に対する接し方が変わった。初期のように首尾一貫して主水を軽んじるのではなく、時と場合によっては古馴染みとして主水を頼ったりもした。主水も、しばしば田中が悪人達の罠に嵌って危機に陥った際には、仕事人として陰から田中を助けていた。
『必殺仕事人IV』第35話「田中筆頭同心見合いする」で上司のすすめでお見合いをすることになったが、彼は乗り気では無いことを主水に吐露している。この回において彼の自宅が始めて登場したがピンクの壁に雛人形などが置かれたかわいらしい部屋で、家を訪れた主水が驚いていた。その際彼の両親は既に他界していることが語られており、見合いでは主水&りつ夫妻が彼の親代わりを務めたが、相手の女性(演・かわいのどか)の姿に驚き(相手の女性からも「こんなオカマみたいな人イヤ」と言われた)失敗に終わった。
『必殺仕事人V・激闘編』最終話において書庫番へと人事移動(本人は左遷も同然と嘆いていた)となるが、後任の筆頭同心小堺(演:藤堂新二)が上方の仕事人組織との抗争で殺害されてしまったため、すぐに再度南町奉行所の筆頭同心へと戻った。『必殺スペシャル・秋! 仕事人vsオール江戸警察』を最後に姿を消すが、その後については本編中では言及されていない。
登場作品
テレビシリーズ
- 新・必殺仕事人(1981年、第13話~)
- 必殺仕事人III(1982年)
- 必殺仕事人IV(1983年)
- 必殺仕事人V(1985年)
- 必殺仕事人V・激闘編(1985年)
- 必殺仕事人V・旋風編(1986年)
- 必殺仕事人V・風雲竜虎編(1987年)
- 必殺剣劇人(1987年、第8話=最終回)
テレビスペシャル
- 必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合(1982年秋)
- (秘) 必殺現代版 主水の子孫が京都に現われた 仕事人vs暴走族(1982年大晦日、田中の子孫という設定で「田中係長」役)
- 年忘れ必殺スペシャル 仕事人アヘン戦争へ行く 翔べ!熱気球よ香港へ(1983年末)
- 必殺仕事人意外伝 主水、第七騎兵隊と闘う 大利根ウエスタン月夜(1985年正月)
- 新春仕事人スペシャル 必殺忠臣蔵(1987年正月)
- 必殺仕事人ワイド 大老殺し 下田港の殺し技珍プレー好プレー(1987年秋)
- 必殺ワイド・新春 久しぶり!主水、夢の初仕事 悪人チェック!!(1988年正月、本作では山内自身、本人(現実)役でも2役出演)
- お待たせ必殺ワイド 仕事人vs秘拳三日殺し軍団 主水、競馬で大穴を狙う!?(1988年秋)
- 必殺スペシャル・新春 決定版!大奥、春日野局の秘密 主水、露天風呂で初仕事(1989年正月)
- 必殺スペシャル・春一番 仕事人、京都へ行く 闇討人の謎の首領!(1989年春)
- 必殺スペシャル・秋 仕事人vs仕事人 徳川内閣大ゆれ! 主水にマドンナ(1989年秋)
- 必殺スペシャル・新春 大暴れ仕事人! 横浜異人屋敷の決闘(1990年正月)
- 必殺スペシャル・春 勢ぞろい仕事人! 春雨じゃ、悪人退治(1990年春)
- 必殺スペシャル・秋! 仕事人vsオール江戸警察(1990年秋)
舞台
- 納涼必殺まつり(1982年~1987年、京都南座)
- 「必殺・鳴門の渦潮」(1982年、それに先がけて名鉄ホールで上演された)
- 「必殺ぼたん燈籠」(1983年)
- 「からくり猫座敷」(1984年)
- 「琉球蛇皮線恨み節」(1985年)
- 「女・稲葉小僧」(1986年)
- 「地獄花」(1987年)
- 南座8月公演「必殺/中村主水、大奥に参上!」(1996年、京都南座)
- 藤田まこと特別公演「必殺仕事人/主水、大奥に参上!」(1997年、新宿コマ劇場⇒1998年、中日劇場→劇場飛天⇒1999年、全国巡業⇒2002年、明治座)
映画
- 必殺! THE HISSATSU(1984年)
- 必殺! ブラウン館の怪物たち(1985年)
- 必殺! III 裏か表か(1986年)
- 必殺4 恨みはらします(1987年)
パチンコ機
いずれも京楽産業.から発売。
- CR必殺仕事人激闘編(2003年)
- CRぱちんこ必殺仕事人III(2007年)
- CRぱちんこ必殺仕事人III桜バージョン(2008年)
- CRぱちんこ必殺仕事人III祭バージョン(2009年)
- CRぱちんこ必殺仕事人IV(2011年)