第一世代抗ヒスタミン薬

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第一世代抗ヒスタミン薬(だいいちせだいこうひすたみんやく)とは、抗ヒスタミン薬のうち、第二世代抗ヒスタミン薬の開発以前に開発された薬剤で、眠気などの中枢神経抑制作用や、口渇や胸やけなどの抗コリン作用などの副作用が比較的あらわれやすいものを言う。

第一世代抗ヒスタミン薬の多くは、「抗ヒスタミン剤」(日本標準商品分類番号:874411・874412・874413・874415・874419)に分類されるが、一部の薬剤は、精神安定剤としての効果もあるため、「精神神経用剤」(日本標準商品分類番号:871179)に分類される。

第一世代抗ヒスタミン薬は、エタノールアミン系、プロピルアミン系、ピペラジン系、ピペリジン系の四種類に大別される。また、上記の「抗ヒスタミン剤」は、日本標準商品分類番号では、更にジフェンヒドラミン系(874411)・トリペレナミン系(874412)・フェノチアジン系(874413)・ジフェニルピラリン系(874415)・その他(874419)の五つに分類されている。

第一世代抗ヒスタミン薬は、抗コリン作用があらわれやすいことから、緑内障患者や、前立腺肥大等、下部尿路に閉塞性疾患のある患者は服用を避けるべきである。

エタノールアミン系抗ヒスタミン剤の例

エタノールアミン系は、抗ヒスタミン作用が非常に強力であるが、それと同時に中枢神経抑制作用や抗コリン作用も強い。

ジフェンヒドラミン系

本剤はドリエルが睡眠改善薬として使われているように、中枢神経抑制作用が非常に強いため、内服薬が医療用に用いられることは稀である。一方でかゆみ止めの作用が強いため、外用剤としては、ベナパスタをはじめとして頻用される。

ジフェニルピラリン系

その他

本剤はd-マレイン酸クロルフェニラミン製剤(商品名:ポララミン)に次いで、第一世代抗ヒスタミン薬のなかでは、医療現場で頻要されている薬剤である。一般用医薬品の風邪薬等に含有されることも多い。本剤は、他の第一世代抗ヒスタミン薬と比較して、持続性が高い点が特徴的である。

プロピルアミン系抗ヒスタミン剤の例

トリペレナミン系

その他

本剤は第一世代抗ヒスタミン薬としては比較的眠気の発現が少ないほうであるため、第一世代抗ヒスタミン薬のなかでは、最も医療現場で頻用されている薬剤である。また、一般用医薬品の風邪薬にもっとも含有されることの多い抗ヒスタミン薬でもある。

フェノチアジン系抗ヒスタミン剤の例

本剤は、抗ヒスタミン作用のほか、抗パーキンソン作用(手のふるえなどのパーキンソン病の症状を抑える作用)や吐き気を止める作用、めまいメニエール病)を抑える作用がある点で特徴的である。抗精神病薬副作用であるパーキンソン症状を改善する坑パーキンソン薬としても使われる。

なお、メキタジン製剤(商品名:ゼスランニポラジン)は、上記二つの薬剤と同じフェノチアジン系抗ヒスタミン剤に分類されることから、第一世代抗ヒスタミン薬であるとの論者もいるが、一般的には、第二世代抗ヒスタミン薬であるとの認識がなされている。

ピベラジン系抗ヒスタミン剤の例

抗アレルギー性緩和精神安定剤

本剤は2005年3月まではドラッグストア等で広く零売されており、ブロムワレリル尿素製剤(商品名:ブロバリンリスロンSなど)とともに、医師等の指示によることなく、一般用医薬品と同様に、市中で容易に購入が可能であった。零売による安易な医療用医薬品の使用を抑制し、続発する自殺未遂を未然に防ぐべく、上記二剤は同年4月、処方せん医薬品に指定され、これらのドラッグストア等での零売は不可能となった。

その他

本剤は、ブラディキニン(疼痛誘発物質の一つ)拮抗性・抗アレルギー剤であり、抗ヒスタミン作用のほか、抗セロトニン作用・抗アセチルコリン作用を有する点で特徴的である。

ピレリジン系抗ヒスタミン剤の例

本剤は抗ヒスタミン作用のほか、抗セロトニン作用を有する点が特徴的である。テンプレート:Pharm-stub