稲見一良

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稲見 一良(いなみ いつら、1931年1月1日 - 1994年2月24日 )は、日本小説家放送作家大阪府大阪市出身。

記録映画のマネージメントを務める傍ら、1968年文芸誌の新人賞に入選、しかし多忙のため作家活動に専念しなかった。1985年肝臓癌の手術を受けるが全摘ができないと分かると、生きた証として小説家活動に打ち込むと周囲に宣言し、1989年『ダブルオー・バック』にて本格的に小説家デビュー。1991年『ダック・コール』にて数々の賞を受賞し期待されるも、1994年わずか9冊を残して癌のため没した。

作品は自身の趣味であった猟銃の知識を生かしたハードボイルド推理小説で、少年の視点・目線やニヒリズムを取り入れたものであった。

年譜

また“その全ての愛しき名作”に対し、第12回日本冒険小説協会大賞内藤陳特別賞が贈られた。
  • 1994年 10年に渡る闘病生活の末、死去。享年63。

著作

山本周五郎賞受賞作品「ダック・コール」を除いて永らく絶版の状態が続いたが、2006年光文社より「猟犬探偵シリーズ」「男は旗」、2008年角川書店より「ソー・ザップ!」が再刊された。

小説

  • 凍土のなかから (『ミステリマガジン』1994年5月号)
  • ダブルオー・バック (1989年5月大陸書房より書き下ろし)
  • ソー・ザップ! (1990年1月大陸書房より書き下ろし)
ギャビン・ライアル「もっとも危険なゲーム」を意識している。
  • ダック・コール (1991年2月早川書房より書き下ろし)
    レイ・ブラッドベリ刺青の男」から構成のヒントを得ている。
    • プロローグ
    • 1.望遠
    • 2.パッセンジャー (『ミステリマガジン』1990年6月号)
    • 3.密猟志願
    • モノローグ
    • 4.ホイッパーウィル
    • 5.波の枕
    • 6.デコイとブンタ (『奇想天外』1989年第10号「いやな世の中だなぁ」を改稿)
    • エピローグ
  • 猟犬探偵シリーズ
    • セント・メリーのリボン
    • 猟犬探偵
      • トカチン、カラチン
      • ギターと猟犬
      • サイド・キック
      • 悪役と鳩
  • 焚火
  • 花見川の要塞
  • 麦畑のミッション
  • 終着駅
  • 男は旗 (1994年2月新潮社より書き下ろし)
  • 石の鳥獣
  • オクラホマ・キッド
  • マリヤ
  • 不良の旅立ち
  • 花の下にて (『野性時代』1993年6月号)
  • 花見川のハック (『野性時代』1994年1月号)
  • 煙 (『野性時代』1994年3月号)
  • シュー・シャイン (『野性時代』1994年4月号)
  • 曠野 (『野性時代』1994年5月号)
  • 鳥 (『野性時代』1994年5月号)
  • 十円玉 (『野性時代』1994年5月号)
  • 白熱 (『野性時代』1994年5月号)
  • 森の生活 (『野性時代』1994年6月号)
  • 栄光何するものぞ
  • 男結び

随筆

共著

  • 『孤愁』 (1994年12月角川書店刊、「曠野」収録)
  • 『ディック・フランシス読本』 (1992年11月早川書房刊、「利腕に鞭とペン」収録)

海外への翻訳

中国大陸(簡化字)

  • 鸭哨 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)-ダック・コール
猟犬探偵シリーズ
  • 圣玛丽的蝴蝶结 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)-セント・メリーのリボン