秋山ちえ子

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秋山 ちえ子(あきやま ちえこ、1917年(大正6年)1月12日 - )は、ラジオパーソナリティエッセイスト評論家。旧姓名・橘川ちゑ(きつかわ)。宮城県出身。

来歴・人物

東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)を卒業後、聾唖学校の教師となる。この時、取材に訪れた川端康成と知り合い、北条誠を川端に紹介する。結婚後、中国に4年滞在。1948年(昭和23年)から1956年(昭和31年)まで、NHKラジオ番組『私の見たこと、聞いたこと』のレポーターを担当し、主婦の視点から見た日本の現状をわかりやすく説明した。1954年(昭和29年)にラジオ番組「私の見たこと聞いたこと」で第2回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(書籍ではなく、ラジオに対しての授与)。その後ラジオ東京(現TBSラジオ)で『昼の話題』→『秋山ちえ子の談話室』のパーソナリティ1957年(昭和32年)から45年間毎日担当。

1970年、ジョージ秋山の問題作『アシュラ』に「絵がお粗末、絵が悪ければ美しい物も美しく感じません。作者の意図も通じないのでしょうか。」と批判的なコメントを出している。 2002年(平成14年)に帯番組終了後も毎週日曜日に放送している続編『秋山ちえ子の日曜談話室』として続いていたが、それも2005年(平成17年)10月2日をもって終了した。この番組について報道機関各社の説明では「当初から3年間限定と決めていましたし、どこかでパッとやめた方が自分の信条に合っています」としている。このラジオ番組の回想録「風の流れに添って(ラジオ生活57年)」が2005年(平成17年)10月2日の放送最終日に講談社より出版された。現在は後進の師弟の訓育などに尽力。ラジオパーソナリティは引退したが、毎年8月15日(終戦記念日)に童話「かわいそうなぞう」をラジオで朗読することを『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ)で継続している。

また、古巣のNHKでも2005年(平成17年)12月NHKラジオ第1放送きょうも元気でわくわくラジオ」に出演したことが縁で、2006年(平成18年)4月から2008年(平成20年)3月の放送終了まで、村上信夫アナウンサー司会週の放送回に不定期ながら出演している。この出演から、童話「かわいそうなぞう」の朗読も毎年8月NHKで行われるようになった(2011年は急病のため、出演を断念し朗読CDが流されている)。

文章にも定評があり「喋るエッセイスト」とも称されている。

1991年(平成3年)に第39回菊池寛賞1997年(平成9年)には東京都文化賞を受賞。

福祉活動

大分県別府市を中心として障害者の支援を行っている社会福祉法人 太陽の家の活動を応援しており、自らを「太陽の家応援団」と称して多くの支援を行っている。特に障害者の就労において、ソニーの創業者井深大本田技研工業の創業者本田宗一郎オムロンの創業者立石一真を紹介し、それぞれソニー・太陽株式会社、ホンダ太陽株式会社、オムロン太陽株式会社という社会福祉法人 太陽の家の共同出資会社の設立がなされた。

平和活動

1967年(昭和42年)から毎年8月15日の終戦記念日には、戦争中に餓死させられた動物園のゾウの話「かわいそうなぞう」の朗読を続け、戦争の悲惨さと憲法九条の大切さを訴えている。秋山ちえ子は「生きている限りはTBSラジオで毎年読ませてくださいとお願いしている」と語っており、生涯をかけた自分の仕事の一つとして今も朗読を続けている。

九条の会」傘下の「マスコミ九条の会」呼びかけ人を務めている[1]

著書

  • 私の社会見学 牧書店 1955(学校図書館文庫)
  • お勝手口からごめんなさい 春陽堂書店 1957
  • 日本人の住まいと暮らし 筑摩書房 1959 (新中学生全集)
  • 幸福へのささやき 知性社 1959 (知性選書)
  • しあわせな子どものゆくすえ 文芸春秋新社 1962 (ポケット文春)
  • 夫とつきあう法 文芸春秋 1966 (ポケット文春)
  • 妻の孤独 主婦の友社 1966
  • 町かどの福祉 柏樹社 1976
  • 大晦日のローストビーフ 23の物語 文化出版局 1976 のち文春文庫
  • おそい目ざめ 文化出版局 1977.10
  • 十年目の訪問 文化出版局 1979.3 のち文春文庫
  • 蜃気楼 潮出版社 1980.10
  • いぶし銀のように 秋山ちえ子の歳時記 潮出版社 1981.11
  • われら人間コンサート 暮しの手帖社 1985.12
  • 雨の日の手紙 文化出版局 1986.4 のち文春文庫
  • 秋山ちえ子の暮しの覚え書き 文化出版局 1986.6
  • 女の食卓 春・夏・秋・冬 海竜社 1988.11
  • 野菜の花 随想集 文京書房 1988.12
  • まわり道 マガジンハウス 1991.11
  • 近くなった町 それぞれに大人の物語 ネスコ 1992.12 のち文春文庫
  • 冬の薔薇 三月書房 1994.8
  • 九十九歳の恋うた 小さな町の物語 岩波書店 1994.12
  • さよならを言うまえに 岩波書店 1997.1 のち現代文庫
  • 二人静 女と男五つの小さな物語 小池書院 1998.9 (道草文庫)
  • 八十二歳のひとりごと 岩波書店 1999.9
  • 風の流れに添って ラジオ生活五十七年 講談社 2005.10
  • 種を蒔く日々 九十歳を生きる 講談社 2008.1

共編著

  • 少年少女教養全集 1(思想編) 宝文館 1961
  • 家庭教育の疑問に答える 早川元二共編 1964 (三一新書)
  • われら人間 自立に向って生きる 大和書房 1981.11
  • わたしの家族 家の光協会 1995.4
  • 日本の名随筆 別巻 59 感動 作品社 1996.1
  • 元気よすぎる息子へのラブレター 親から子に贈る愛のメッセージ 漆原智良千葉剛共編著 KTC中央出版 1998.4
  • ラジオを語ろう 永六輔 2001.10 (岩波ブックレット)

脚注

  1. マスコミ九条の会(よびかけ人はだれですか)

関連項目

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