流水算

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流水算(りゅうすいざん)は、算数文章題のパターンの一つで、流れる川を上下する船の速さに関して出題されるものをいう。 割合の量は、一般に単純にたしひきできない量である。 速さは割合の量であるから、速さの平均などの問題では、速さどうしを単純にたして2で割るなどの方法は取れない。 一方、速さどうしが単純にたし引きできる場合がある。 それが旅人算とこの流水算である。これは、時間の同時性による。時間は2つの動くものに同時に経過するので、相対的な距離が単純に速さの和や差に依存するからである。 割合の量は常に単純にたしひきしてはならないとする、遠山啓の提唱する水道方式では、旅人算と流水算の指導が省かれている。

考え方

特に問題文に断りがない限り、静水での船速・川の流速がそれぞれ一定であり、上りの船速がこれらの差、下りの船速がこれらの和になるものとして解く。上りと下りの船速が与えられ、静水での船速と川の流速を求めさせるのが最も単純な形式で、これは実質的に和差算と変わらない問題である。

上りの速さ=静水時の速さ-流れの速さ
下りの速さ=静水時の速さ+流れの速さ

の理解が前提となる。


例題
10km離れた川上と川下に船着場がある。
ある船が船着場からもうひとつの船着場まで、その川を下るときは1時間、川を遡るときは2時間かかる。
船の速度と川の流れの速さは常に一定だとする。
船の速さ、及び川の流れの速さはいくらか?
解答
上りの速さ:10km÷2時間=5km/h
下りの速さ:10km÷1時間=10km/h
流れの速さ:(10km/h-5km/h)÷2=2.5km/h
船の速さ:5km/h+2.5km/h=7.5km/h

発展問題

代表的な発展問題に、上りと下りの船速比とともに、静水での船速・川の流速のうち一方を与えもう一方を求めさせる問題がある。船速比の代わりにある区間の上りと下りの所要時間を与えれば、静水での船速・川の流速のうち一方からこの区間の距離を求める問題にすることもできる。

旅人算と組み合わせ、静水で同じ速さを持つ2隻の船を流水上で向かい合わせに運行し、これらがすれ違う位置や時刻を求めさせる問題もある。 これを、区別して、流水旅人算ということもある

文章で情報を与える代わりに、横軸に時間、縦軸に位置をとったグラフ(運行ダイヤグラム)を示した出題も多い。逆に文章により情報が与えられる場合でも、複雑な問題ではグラフを描いて考える方が理解しやすい場合もあり、このグラフを描き、読み取る訓練をすることは流水算の学習に有効である。