機動戦士ガンダム (冒険王版)

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テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer機動戦士ガンダム』(きどうせんしガンダム)は、アニメ作品『機動戦士ガンダム』を原作とし岡崎優が漫画化した作品。秋田書店の雑誌「冒険王」付録「冒険王コミック文庫」に1979年5月号から1980年2月号まで連載、その後1982年4月に映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』を原作とした「めぐりあい宇宙編」が「別冊冒険王」1982年春の号に掲載された。

本作の特徴

リアルロボット物というアニメの新しい形を切り開いた『機動戦士ガンダム』だが、漫画化するにあたって、従来のスーパーロボット的な表現法が用いられているため、原作との相違点が数多く存在する。

一話完結式の従来のロボットアニメとは異なり、『機動戦士ガンダム』は連続ドラマ式であるため展開が遅くなり、本編の方が打ち切りによって早期終了した際には、連載は地球でのエピソードが終結し、舞台が宇宙に移った直後であったが、それに合わせる形で連載も未完のまま打ち切りとなった。なお、後の『機動戦士ガンダム』の映画化にあわせ、「めぐりあい宇宙編」が同じ作者によって漫画化され、別冊冒険王に掲載された事で、結果的に完結している。

1998年になって『まんが秘宝 Vol. 3 まんがチャンピオンまつり ぶっちぎりヒーロー道・リターンズ』やガンダム専門ムック『ガンダム・トリビュート・マガジン G20 volume.1』で、原作との相違点が顕著かつ破天荒であったことが紹介され、一部の好事家にコアな人気を持つに至り、同年10月に大都社から単行本が復刻された。

1999年の『ガンダム・トリビュート・マガジン G2O Volume.3』に掲載された、大都社による復刻版単行本発売記念の作者インタビューでは、設定相違は作者自身がテレビを持っていなかったため原作を見ていなかったことと、それにも関わらず資料収集を行わなかった為であるとしている。「めぐりあい宇宙編」は試写を見せてもらってから描いたとのことで、実際の映画を殆どそのままなぞった内容となっている。また、復刻版の加筆修正については、「このままだと格好が悪いから」という理由で、自分から申し出て手がけたとの事である。

その後岡崎は、『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』のコミカライズを手がけ、かなりのダイジェスト版にはなったものの、リアルロボット的な原作を踏襲した作品となっている。

原作との相違点

前述の通り、1998年以降に出版された単行本では多くが修正されているが、以下のような相違が存在する。

  • ガルマ・ザビ国葬におけるギレン・ザビの演説を見た主人公アムロが、激昂してテレビのブラウン管を鉄拳で粉砕する。本来はナイーブなキャラクターであるアムロが熱血漢に描かれており、『まんが秘宝 Vol. 3』や『G2O Vol.1』等で話題となった。ゲーム『第2次スーパーロボット大戦α』でも小ネタとして使われている。
  • 水陸両用モビルスーツであるズゴックが宇宙空間でムサイから発進。
  • マ・クベが宇宙空間で水陸両用モビルスーツであるゾックで戦闘。
  • ジャブロー戦で、シャアがシャア専用ズゴッグではなくアッガイに乗って戦闘。本シーンは改定後も残っている。
  • めぐりあい宇宙においてドレンの名前がトクワンになっている。

単行本

サンデーコミックス
1982年4月10日に第1巻が、同年5月30日に第2巻がそれぞれ秋田書店より出版。ただし雑誌連載当時の回のうち第5回「アムロ脱走」、第6回「ランバ・ラル特攻」は未収録となっている。
第1巻カバーの作者コメントにおいて、作者は「私の気に入った作品の一つ」と語っている。
大都コミックス
1998年10月1日に大都社から復刻版が全1巻で発売。この際作者自らにより、当時の原稿に大幅な加筆修正がなされている[1]。なお、上記の第5回、第6回に加えて第10回「果てしなき攻防戦」も収録されていない。
AKITA TOP COMICS
2003年3月25日に秋田書店からコンビニコミック版として全1巻で改めて発売。以前のものにて割愛された回を含め全10回、合わせて「ガンダムIIIめぐりあい宇宙」が収録され、上記大都社からの復刻版と同じく大幅な加筆修正がなされている原稿を使用している。
サンライズ・ロボット漫画コレクションシリーズ(マンガショップ)
2011年2月20日にマンガショップから完全復刻版が全1巻で発売。紹介ページでは「冒険王」連載当時の紙面を可能な限り再現すると記載されている[2]。全10回と「ガンダムIIIめぐりあい宇宙」を全て収録。大都社や秋田書店の復刻版同様にスクリーントーンやベタによる加筆修正された原稿を使用しているが、大都社からの復刻版で差し替えられたコマがサンデーコミックス以前のものに、サンデーコミックスの単行本収録時に変更されたサブタイトルや台詞が連載時のものに、いずれも戻されている。

参考文献

  • 「熱血アムロじゃただの別人!? 岡崎優の「機動戦士ガンダム」『まんが秘宝 Vol.3 まんがチャンピオンまつり ぶっちぎりヒーロー道・リターンズ』洋泉社、1998年4月
  • 「ガンダムに翻弄されたある漫画家の人生」『G2O Volume.3』アスキー1999年2月
  • 井上雅史「知られざる名作を追え! ガンダム・コミックの世界」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年、p.161
  • 岡崎優『機動戦士ガンダム』大都社STコミックス、1998年10月1日
  • 岡崎優『機動戦士ガンダム』秋田書店 AKITA TOP COMICS、2003年3月25日
  • 岡崎優『機動戦士ガンダム』マンガショップ サンライズ・ロボット漫画コレクションシリーズ 2011年2月20日

脚注

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関連項目

テンプレート:宇宙世紀

テンプレート:ガンダムシリーズの書籍
  1. 全体的にスクリーントーンやベタが加筆されている他、アムロ初登場時のコマが描き直されていたり、ザク発進時のジーンデニムが入れ替わっていたり、アムロがギレンの演説を映していたTVを殴り壊すコマが削除されているなど。
  2. テンプレート:Fukkan