東京純心女子大学

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テンプレート:Infobox 東京純心女子大学(とうきょうじゅんしんじょしだいがく、テンプレート:Lang-en、公用語表記: 東京純心女子大学)は、東京都八王子市滝山町2丁目600番地に本部を置く日本私立大学である。1996年に設置された。

概説

大学の全体像

設立母体はキリスト教カトリック)の女子修道会であり、短期大学から発足した。1996年に4年制大学として開学。入学定員120名という小規模女子大で、もともと音楽と美術の芸術教育を特色とした。近年では英語教育、国際人養成、保育士養成、幼稚園・小学校教諭養成などにも成果を発揮してきた。

弱者へのあたたかいまなざし、全人教育、人間的な豊かさの習得、こうした考え方の結果としての少人数教育、学生個人のニーズに合わせた手作り教育などに特色をもつ。偏差値や高校時代の成績よりも、個人のユニークな特徴や向上心に重点を置く教育を行なっている。東京都八王子郊外の滝山の自然の中にあり、同系列の中学校、高等学校が敷地内にある。


建学の精神

大学は「学校法人東京純心女子学園」の一部であり、学園全体はカトリック教育修道会「宗教法人長崎純心聖母会」を設立母体とする。「キリストの教えに基づいて真善美を探求するために、聖母マリアを理想とすること」を建学の精神とし、豊かな情操と高い知性を育み、責任ある奉仕の精神に富む女性を育成することを教育の目的とする。大学のモットーはラテン語で「Sapientia in Caritate Fundata 愛に根ざした真の知恵」と定めている。

女性の自立、教養、自由などが教育の理念としてかかげられ、個人的な指導を中心とした人間教育がおこなわれる。ただし宗教が強要されたり、礼拝の時間が定められたりしているわけではない。


教育・学風

欧米の大学によく見られる総合的な教養教育(リベラルアーツ教育)を特色とし、ユニークな授業形態をとっている。ほとんどの専任教員が学生とともに「とっておきの一冊」を読み込むという「読書論」を展開。これが「パン教=一般教育」の代わりをなす。また「セメスター制度」をしいており、原則として1週間に2回の授業がおこなわれる。そのため極めて集中的な学びが展開される。

専門の分野の勉強では、教員の専門領域の授業のほかに、2年次から4年次までゼミ(セミナー)に参加することが可能で、徹底した個人指導のもとで、それぞれの専門分野の勉強を深める仕組み。

「国際教養学科」では世界の英知に関する広く深い学びを目標としており、アメリカ映画や歴史、美術史、音楽や絵画の専門家がいる。「こども文化学科」は、けがれのない子どもの精神に学びながら、幼稚園、保育所、小学校の教員になろうとする学生が多い。

国際教養系の学生は幅広い知識に関心を有する傾向があり、こども文化系は元気が良く実行力に富む。美術や音楽系の学生は芸術全般や人間の生き様に関する関心が高いなど、個人の専門領域によって学生のふんいきが異なる。一般的には自由で、のびのびとした学風がある。

また座って「学問」をするだけではなく、体を動かして何物かをつかもうとする学園伝統(労作)があり、大学では「学外研修」と称して、海外留学、海外語学教育、NPOなどでのボランティア活動、企業研修(インターン)などをすすめている。2010年には巨大ホテルでの研修や、日本の離島での生活体験などを経験した在学生がでている。大学が斡旋する海外の提携大学もいくつかある。こうした大学外の活動に対しては最高30単位(年間)までの単位が与えられる仕組みがある。

後述のように上智大学との学生交流制度を有しており、純心大学に籍を置きながら上智で学ぶということが可能。授業料は余分にかからない。同様な制度で、八王子周辺の他大学との交流も始まった。


キリスト教系の大学はミッションスクールと呼ばれ、上流階層の娘を教育する傾向が見られるが、この大学は必ずしもそのような伝統にこだわっていない。むしろ通常の家庭の子女の教育を特色としている。入学者の偏差値も高い方ではないが、大学内には和やかで、のんびりした、家族的な雰囲気が流れる。少人数ゆえに、ほとんどの学生の名前と顔が一致し、教員と学生の関係も友好的である。挨拶を交わし、教員研究室を訪ねて雑談したり、お昼ごはんを一緒にとる風景もみられる。 [1]

沿革

  • 1934年 設置母体である長崎純心聖母会創立。
  • 1940年 純心女学院を長崎市に創立。
  • 1963年 学校法人東京純心女子学園を創立。
  • 1964年 東京純心女子高等学校開設。
  • 1967年 東京純心女子短期大学開学。
  • 1986年 東京純心女子中学校開設。
  • 1996年 東京純心女子短期大学を改組して、東京純心女子大学を開学し、現代文化学部を設置。
  • 2004年 現代文化学部を改組し、現代英語学科・こども文化学科・芸術文化学科となる。
  • 2008年 現代文化学部を改組し、国際教養学科・こども文化学科・芸術文化学科となる。
  • 2010年 現代文化学部を改組し、国際教養学科・こども文化学科の2学科となる。同時にセメスター制度などの新教育体制を整備。

基礎データ

所在地 東京都八王子市滝山2-600。 八王子市郊外の丘陵地帯の中にあり、緑豊かな自然林を背景とする。八王子駅(JRまたは京王八王子)からバスが出ているが、所要時間は20分弱。タクシーだと¥2000弱で10分。 [2]

学生数 1学年の定員120名。4学年合計で480名。同じ敷地内に中・高が併設されているため、こちらの生徒数が多い。

施設 校舎、図書館、学生食堂、学生ホール(校舎2階)のほかに、講堂、美術品展示場(ギャラリー)、大学クラブ棟、テニスコート、学園聖堂、学生寮(特別契約施設)などがある。

教育組織

  • 現代文化学部
    • 国際教養学科(定員40名)
    • こども文化学科(定員80名)

2つの学科のもとに「国際教養コース」「英語文化コース」「美術・デザインコース」「キリスト教芸術文化コース」「あそび文化コース」「初等教育コース」「保育コース」などの「コース」があり、いくつかのコースをかけ持ちすることが可能。ただし初等教育コースは国際教養学科とこども文化学科の学生が受講できるが、保育コースは政府の規定などがあり「こども文化学科」の学生のみが受講できる。

保育所の保育士幼稚園教諭、小学校教諭、中学校英語教諭、高等学校英語教諭などの免許が取れる課程を有する。

教員数は30名程度で、名の通った美術家や美術評論家、音楽家などがいる。ほとんどの教員が「読書論」や「ゼミ」を開講し、どの学生にもコースを開放しているため、学科や「コース」の枠を超えた自由な履修が可能となっている。また「必修」は最低限に抑えられ、個人のニーズにあった自由な学びを奨励。

2010年4月から上智大学との「学生交流」が始まり、それぞれの大学から相手の大学へ年間5名が出向いて授業を受けることができるようになった。純心に籍を置きながら上智の授業に参加して視野や学問領域を広げる機会が提供されている。現在5名の学生が上智大の授業に参加中。またこれと似た「単位互換制度」が八王子近辺の大学間で実施され、数名の学生が他大学の授業に参画中(大学コンソ-シアム八王子)。

附属機関
  • 国際教養研究センター
  • こども文化研究センター
  • 芸術文化研究センター
  • キリスト教文化研究センター

学生生活

学園祭 毎年秋に学生会が主体となって「聖母祭」と称する学園祭を催す。研究発表もあるが、他大学並みの模擬店などが出店しするほか、ギャラリーでは絵画展が開かれるなどの特色も。

クラブ活動 アートワークス、写真部、茶道部、陶芸部、軽音部、手話サークル、テニスサークル、フットサル、聖歌隊、美術部、ダンス部、オールラウンド、吹奏楽クラブなど。新設の音楽部は2009年全日本合唱コンクールで「銀賞」を受賞した。

学内奨学金

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給付型
  • 江角記念奨学金
  • 東京純心女子大学後援会奨学金

教員(一部)

などその道では知る人ぞ知る専門家がそろっている。

   手嶋龍一  田崎清忠 馬越恵美子 小林能成 パンツェッタ・ジローラモ 松平頼暁など

関連校

他大学との協定

  • 上智大学との「学生交流制度」
  • 日本カトリック大学連盟加盟
  • アメリカ Elmira College, Doan College, Gonsaka Collegeと提携
  • イギリス、オーストラリアの機関とも交流
  • 大学コンソーシアム八王子(八王子市近辺の23大学と単位互換制度など)

外部リンク

テンプレート:大学コンソーシアム八王子 テンプレート:八王子学園都市大学 テンプレート:八王子未来学 テンプレート:日本カトリック大学連盟