新潟市西堀地下商店街

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ファイル:西堀ローサ1.JPG
西堀ローサ 18番出入口
(2007年10月13日)

テンプレート:要出典範囲(にいがたし にしぼりちかしょうてんがい)は、新潟県新潟市中央区西堀通(新潟市道)地下にある地下街[1]。愛称は「西堀ローサ」。新潟市が運営する第三セクター「新潟地下開発」が運営管理を行っている[2]

概要

西堀通の地下1階にある地下街。柾谷小路と交差する西堀交差点地下を中心に、南南西側の新津屋小路・営所通交差点から北北東側の新堀通交差点に向かって延びる幅6m、延長330mの地下通路[3]に、46のテナント区画が設けられている[2]

地下街としては日本海側では随一の規模といわれる[1]。また地下街でありながら鉄道駅などの公共交通施設には全く近接していない、全国的に珍しい形態の地下街である[1]。最寄りのJR駅は新潟駅であるが、直線で約2km、バス・タクシーで約5分と離れている。

西堀交差点地下の中心部にはパブリックスペース「出逢いの広場」がある。普段は休憩スペースだが、イベント等への貸し出しも行っている。広場中央にはかつて噴水が設けられていたが、老朽化のため現在は撤去されている。この出逢いの広場を中心に、南南西側の通路を6th Avenue(シックス・アベニュー、6番街)、北北東側の通路を7th Avenue(セブンス・アベニュー、7番街)と呼ぶ。これは地上部の西堀前通の地番がそれぞれ「六番町」「七番町」となっているのに倣ったものである。

テナント構成は、レディース向けのファッションブランドメンズ向けブランド、雑貨店など主に10~20代の若者をターゲットにしている。以前はレストラン、うどん店など飲食店が複数あったが、現在飲食店は喫茶店が1店舗あるのみである。

地上からの出入口は西堀通沿いに計19箇所。この他西堀六番館ビル(新潟地下開発が運営する商業・オフィスビル)、NEXT21ラフォーレ原宿が入居)、三越新潟店、大和新潟店(2010年(平成22年)6月25日閉店)[4]のそれぞれ地下1階で連絡している。さらに階下の地下2階には市営西堀地下駐車場があり、連絡階段で接続している。トイレは6th、7thに各1箇所、公衆電話は出逢いの広場に1箇所設けられている。また、広場内には設備管理を担当する防災センターが設置されており、自動体外式除細動器(AED)が備えられている。

営業時間は、西堀ローサが午前10時00分から午後8時00分まで(年中無休。但しテナントによって定休日あり)。地下駐車場が午前7時30分から午前2時00分まで(入庫は午前0時00分まで)、料金は30分180円、1泊900円(19:00~10:00)。古町・本町地区で買い物をした場合には割引制度があり、買上額が税込1,000円ごとに付与されるサービス券2枚(2,000円買上)で1時間、4枚(8,000円買上)で2時間無料となる。

なお、サイン類には「ROSA」と表記されている。県外からの来訪者がしばしば「ロー」と誤読するケースがあるが、正しくは「ロー」である。

歴史

1970年代当時、新潟市の中心繁華街である古町では急速なモータリゼーションの進捗から駐車場不足が深刻化しつつあった。そこで市は、西堀通の地下を開削して地下駐車場を建設する計画を立案し、新潟県は都市計画道路「西堀地下道」として1973年(昭和48年)5月11日付で計画決定を告示した[3]。しかし「せっかくの地下空間だから地下街も作ってはどうか」という意見が寄せられたのをきっかけに計画が変更され、地下1階に地下街が、地下2階に駐車場が整備され1976年(昭和51年)秋に竣工、10月16日に駐車場と同時オープンした。建設費は、1972年(昭和47年)の当初計画では21億円だったが、オイルショックによる狂乱物価の影響で、完成時には68億円にのぼった[5]

テナントの総売上高[6][7][8]
年度 総売上高
1991年 50億円
2006年 22億8086万円
2007年 16億4326万円
2008年 12億0888万円
2009年 テンプレート:05億0973万円
2010年 テンプレート:04億9299万円
2011年 テンプレート:03億7664万円
2012年 テンプレート:03億5985万円

ローサはオープン以来、前述の通り若者向けに特化したテナント構成を執っており、ピーク時の1991年(平成3年)度の総売上高は約50億円を記録した[6]。だが、バブル崩壊以降は業績が急速に悪化。さらに市内ではローサ以降、新潟WITHやプラーカ新潟、NEXT21、ビルボードプレイスなど、ローサ同様に若者向けのファッションブランドを集積した複合商業施設が相次いで整備された影響で売上は伸び悩み、1997年(平成9年)度の総売上高は30億円を割り込んだ。

慢性的な経営不振に陥った新潟地下開発は、2001年(平成13年)に駐車場を20億円で市に売却。さらに整理回収機構の支援を受け、2006年(平成18年)には10箇年の経営改善計画を策定し、市からも9億円の融資と増資(現在、約55.2%の株式を保有[2])の支援を受けているが、その後もラブラ万代などの複合商業施設やイオン新潟南ショッピングセンター(現・イオンモール新潟南)など郊外型ショッピングセンターが相次いで進出した[2]ことも相俟って、2007年(平成19年)度の総売上高は過去20年間最低の16億円台にまで落ち込んだ。

またテナント構成は現在も若者向けとなったままだが、ローサの通行客の中心層はここ数年、若者中心から40~60代にシフトしており「通行客とテナント構成が合致していないのが業績不振に繋がっている。地上の路面店と連携するような幅広い年齢層をターゲットにすべきではないか」という指摘がかねてから寄せられていた。

新潟地下開発では経営改善計画を策定した2006年(平成18年)当時「好調な売上を挙げる店舗もあり、今のコンセプトを変える必要はない。古町周辺の各商店街が客層を棲み分けしながら連携することが重要だ」としてテナント構成の変更には否定的で、実際2007年(平成19年)春までは全区画が埋まっていた[9]

しかし、その後もローサ内に入居していたテナントが個店舗を構えたり、他の複合施設へ移転するなどして撤退が相次いだため、2009年(平成21年)5月末に3店舗が撤退して6月時点では全全46区画中半数の23区画が空店舗となり[2]、特に7thの大和連絡通路以北で営業しているのは僅か1区画のみで、空き店舗の増加で更に客足が遠のくという悪循環が続き、深刻な空洞化にさいなまれていた。

加えて既に築30年を越えて設備の老朽化も著しく、各出入口は階段のみとなっているなどバリアフリー対策の立ち遅れも指摘されており[2]、施設の維持と幅広い客層を確保できるテナントの誘致が大きな課題となっている。エスカレータは6th西端の西堀六番館ビルに1基設置されているのみで、エレベーターは設置されていない。特に車椅子利用者は、三越店内のエレベーターを経由しないとローサに入館できないため、三越の休業日には必然的に自力来店が不可能となる。

こうした状況を受けて、新潟市は2009年(平成21年)6月、追加経済対策の一環として「中心市街地活性化事業」に総額1億7000万円を計上[2]。ローサの7th側の10区画を改修し、観光インフォメーションセンターと保健所の窓口などを開設する方針を明らかにした[2]。市長の篠田昭は6月5日の定例記者会見で計画を発表し「今年は観光交流年であり、新潟市の食や農業をアピールする場にしたい」と話した[2]。また老朽化した施設について「市が思い切った支援をする必要がある」と将来的には大規模な改修が必要であるとの見方を示し[2]、さらにテナント構成についても「三越や大和に来店する客層を対象にした構成にシフトする必要がある」[2]と、旧来の方針を転換するよう求めた。

その後改修を経て同年8月1日、「まちなか情報ひろば」がオープンした。ひろばは新潟市の観光情報を案内・展示する「にいがた文化・観光お尋ね処」、市内の博物館・美術館を紹介する「ミュージアムNOW」、同年の“新潟県大観光交流年”に関連する展示に加え、民放4局による新潟市の広報番組を放映する「大観光交流年広場」、市内8行政区を紹介する「8区のお宝広場」、市保健所の情報コーナー「けんこう広場 ROSAぴあ」、新潟市出身やゆかりのある著名人・団体を紹介する「にいがた宝人館」、ライブスペースを備えたジャズに関する展示コーナー「まちなかステージ Piano Piano」の7つのスペースから成り、それぞれ開館時間は午前9時30分から午後8時までとなっている(ROSAぴあ、Piano Pianoは午前10時開館)。ただ前述の問題もあって、市の公共スペースをバリアフリー対策が為されていない地下街に開設することに対しては疑問の声も多く、バリアフリー化なども含めた施設の維持・改修が喫緊の課題となっている。このため市ではバリアフリー化についても同年度から検討を進め、2010年(平成22年)度に柾谷小路周辺にエレベーターとエスカレータ、多目的トイレなどを増設する改修事業の実施を目的に、市の同年度予算に約5億円を計上し事業に着手した。ところが設置予定箇所の準備工事を行ったところ、地中にガス管が埋設されていることが判明し、同年度中の着工が事実上不可能となったため完成時期は大幅に遅延することとなり、供用開始時期も未定のままとなっている。

加えて、古町・本町などの周辺地域を含めた誘客策の開拓も大きな課題となっているが、新潟地下開発はテナントの新規開拓に注力し、同年1月下旬までに計23社の新規テナント誘致に成功。このうち約6割が県外資本で、いずれも新潟県内初出店[9]。これら新店舗は4月23日に一斉オープンし、全46区画が2007年(平成19年)春以来約2年ぶりに埋まった[9]。新潟地下開発では「多数の空き区画がある中で五月雨式に順次出店した場合、テナント側にも来客者側にも悪印象を与える恐れがある。全店舗を一斉に出店させることで、古町周辺地域も含めた誘客効果を図った」としている。この一斉出店が奏功し、同日から5月9日まで開催した「バージョンアップフェア」では来客者・売上とも大幅に増加した。6月25日には隣接する大和新潟店が閉店し一層の誘客策が求められる中、新潟地下開発では「定期的なテナント入れ替えによって活性化を図りたい」と今後の展望を述べている。

チャレンジショップ

古町周辺ではローサのみならず、店舗経営者の高齢化や郊外大型店の台頭等によって、空き店舗の増加が深刻化している。新潟商工会議所の「まちづくり支援課」が中心となって運営する新潟市中心市街地活性化協議会(にいがたTMO)は、独立開業する意欲を持つ若者の起業家育成を目的に、市から補助金の交付を受けて6thの西堀六番館連絡通路横の区画を借り上げ、2001年(平成13年)10月5日に「にいがたミニチャレンジショップ『ヨリナーレ』」をオープンした。「ヨリナーレ」は新潟弁の「寄りなれ(=寄っていらっしゃい)」をもじったもの。さらに「店舗・事業がより大きくなれ」という願いも込められている。

ヨリナーレは63坪の区画内に、1店舗あたり2坪のスペースを20ブース設けたミニショップの集合体。1ブースあたりの家賃は共益費・光熱費込みで25,000円と低廉に設定されている。ブース内に店舗を設けた入居者は、TMOの担当者から仕入れや販売、開業のノウハウ等の指南を受ける。TMOはこのシステムによって将来商店街の担い手となる起業家の育成を図り、独立開業を推進することによって新潟市内の商店街の活性化・商業振興を目指している。

入居可能期間は原則として半年間、最長で1年間と短いが、これまでに古町周辺や市内各地で店舗開業を果たした「卒業生」を12店舗輩出しており(2008年(平成20年)12月末現在)、一定の成果を上げている。

脚注

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注釈

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出典

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外部リンク

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  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite report
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 テンプレート:Cite news
  3. 3.0 3.1 テンプレート:PDFlink(新潟県土木部都市局都市政策課 2012年3月)
  4. テンプレート:Cite news
  5. 平成13年 3月定例会本会議-03月22日-05号(新潟市議会)
  6. 6.0 6.1 テンプレート:PDFlink(横浜市)
  7. テンプレート:PDFlink(新潟市)
  8. 外郭団体評価の概要・実施要領(新潟市)
  9. 9.0 9.1 9.2 テンプレート:Cite news