新幹線955形電車

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955-6形 ラウンドウェッジ型先頭車の側面エンブレム(2006年7月23日)
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955-6形 ラウンドウェッジ型先頭車の速度記録エンブレム(2006年7月23日)
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鉄道総合技術研究所風洞技術センター(滋賀県米原市)に静態保存されている新幹線955形電車のカスプ型先頭車(2006年10月7日)
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955-6形ラウンドウェッジ型先頭車(リニア・鉄道館 2013年)

新幹線955形電車(しんかんせん955がたでんしゃ)とは、東海旅客鉄道(JR東海)が300系に続く次世代の新幹線関連の技術を実験するために1995年平成7年)に製作した高速試験用電車である。通称は、300X編成記号A

構造

車体はアルミニウム合金製のボディーマウント構造を採用しているが、次世代の車両製造時のデータ収集のため車両ごとに製造方法を変えて製作された。また、先頭車形状が東京寄りと博多寄りで異なり、それぞれラウンドウエッジ型、カスプ型と呼ばれ、比較のため入れ替えることができるようになっていた。

力行主回路はVVVFインバータ制御で、素子GTOサイリスタを採用し連続定格出力405kWの主電動機を駆動する。主変圧器は軽量化のためアルミニウム製のコイルを使用。6両編成で全車両電動車である。

台車セミアクティブサスペンション付きのボルスタレス台車を採用し、一部車両(3,6号車)には油圧シリンダ式の車体傾斜装置も搭載していた。なお、台車支持位置が高い(空気バネ支持高さ:レール面上1,700mm)ため車内床の一部が盛り上がっていた。

なお、パンタグラフから発生する騒音を低減するため、ワイングラス型の大型のパンタグラフカバーが装着されていた。このタイプのパンタグラフカバーは、700系9000番台で、「300X」で試作されたタイプから脚部を省いたタイプのカバーを採用したが、カバーが逆に騒音源となっていたことが試験の過程で判明し、量産車では不採用となった。955形の試験走行の過程ではシングルアームパンタグラフなども試され、その他様々な形状のカバーが試されている。

仕様

955-1
1号車。博多寄りの制御電動車。空気抵抗を減少させるため、風洞実験とCFDによって先頭形状はカスプ型とされた[1]。車体は航空機の技術をベースとし、ジュラルミンリベット結合で製作した[1]。製造は三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所が担当した[1]
955-2
2号車。中間電動車でパンタグラフを搭載。車体はアルミ中空大型押出形材を使用(後に700系に採用)。ダブルスキン構造。4号車955-4とともに日本車輌製造が製造を担当。
955-3
3号車。中間電動車。車体はアルミ大型押出形材をスポット溶接で製作(=300系と同じ)。シングルスキン構造。製造担当は川崎重工業
955-4
4号車。中間電動車。車体はアルミ中空大型押出形材を使用。ダブルスキン構造。
955-5
5号車。中間電動車でパンタグラフを搭載。車体はアルミハニカムパネルを使用(=500系と同じ)。955-6とともに日立製作所が製造。
955-6
6号車。東京寄りの制御電動車。先頭形状はラウンドウェッジ型。車体はろう付けアルミハニカムパネルを使用。

運用実績

1996年平成8年)7月26日未明、東海道新幹線米原駅 - 京都駅間で日本国内最速記録(超電導リニアを除く)443.0km/hを記録している(速度試験当時東京寄り955-6形ラウンドウェッジ型が進行した)。その後廃車予定だったが、700系やN700系関連の技術開発、デジタルATCの試験などに使用され2002年(平成14年)年1月に運用を終了し、同年2月1日付で廃車となった。

スラブ軌道の走行試験を行うため、山陽新幹線に乗り入れたことがある。

保存状況

中間車はすべて解体されて現存していないが、先頭車2両が保存されている。

脚注

テンプレート:Reflist テンプレート:脚注ヘルプ

テンプレート:日本の新幹線

  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:PDFlink 三菱重工技報 第32巻第4号(1995年)、三菱重工業