地獄甲子園

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テンプレート:Sidebar with collapsible lists地獄甲子園』(じごくこうしえん)は漫☆画太郎漫画作品、およびそれを原作にした映画作品。『月刊少年ジャンプ』で1996年5月号から1997年4月号まで連載された。2002年に映画化され、2009年に漫画家デビュー20周年企画としてOVAが発売された。

単行本は全3巻(ジャンプコミックス)。その後は映画公開にあわせて、番外編や本編とあまり関連性のないストーリーをオミットし1冊にまとめ『地獄大甲子園』のタイトルで単行本が再刊行されている。

物語

夏の甲子園を目指して張り切る星道高校野球部と校長の浅倉南太郎。しかし、予選一回戦の相手が外道高校と知って愕然とする。極悪非道のラフプレーを得意とする外道高校に、星道高校は過去にも試合放棄を余儀なくされたことがあったからである。一方、星道の一年玉拾いメガネは転校生の野球十兵衛に出会い、星道の番長との抗争に巻き込まれるが、十兵衛と番長は死闘の末、和解。打倒外道のため、喧嘩も野球もできるケンカ野球戦士を探しはじめるが、十兵衛は刑務所で息を引き取ったり、まったく関係ない話が入ったり、仕切りなおしたりで話は一向に進まない。最終話は十兵衛がケンカ野球戦士を引き連れて再登場するシーンで完結した。

単行本では試合結果を知る最後の生存者が、結末を語る前に他界して完結。その後に出た単行本『地獄大甲子園』でも、最終話は外道高校監督が通りすがりのばばあと一緒になって、「甲子園にいきたいかー!」「失楽園にいきたいぞー!」とシュプレヒコールを繰り返す結末になっている。

もともとは外道高校との試合の最後までのネームは連載開始するまでに完成していたのだが、連載開始早々、アンケートの結果が後ろから2番目だったため、試行錯誤として脈拍のないストーリーを挟んでいるうちに打ち切りとなった。作者の漫☆画太郎も、「連載中はいやな事ばかりの連続だった。思い出したくもないし、最初から描きたくもなかった」と、当初から制作意欲の希薄な作品であったことを認めている。しかしその反面、インタビューでは「僕は『地獄甲子園』に関しては、まったく後悔していません。本当に精一杯やって完全燃焼しましたから、大満足です!!!」とも答えている。

登場人物

星道高校

主要人物

野球十兵衛
星道高校に転校してきた少年。一見野球には関係が無い様だが、実の父親をキャッチボールの際に殺害してしまったことを悔やみ、投球することを封印した過去を持つ。魔球「スーパートルネード波」を繰り出す。
自分の名前を「十兵衛」としか言わなかったため苗字が不明だったが、単行本の3巻の登場人物紹介で「野球十兵衛」のフルネームが明かされた。
メガネ
チビで野球もてんで駄目な星道高校野球部の一年坊主の玉拾い。しかし義理人情に篤く、強靭な精神と根性、不死身の肉体を併せ持つ。外道高校戦でも、ミサイルバット、爆弾ボール(破片効果用に炸薬に釘を混入した対人殺傷力の高いもの)などに耐え、その後も試合を続行させるなど活躍をみせる。
映画版では十兵衛との関係が明らかにされる。

教師

浅倉南太郎
甲子園制覇を目指す星道高校校長兼同野球部監督。十兵衛の投法を「スーパートルネード投法」と名付けたが、この名称は大リーグロサンゼルス・ドジャースの投手(連載当時)野茂英雄のトルネード投法から回転してから投げるため。
メガネと双璧をなす精神力・肉体の持ち主で、外道戦においても、地雷、金属バットで後頭部を強打されるなどの外道プレイに耐えた。
人工呼吸にも長けており、眼球が飛び出し瞳孔が散大した十兵衛を蘇生させることに成功した。
校長でありながら十兵衛の名前はおろか転校自体を把握しておらず、十兵衛を終始「コブ男」と呼び続けていた。
教頭
星道高校教頭で、浅倉の腹心。十兵衛と番長の球速を測定している最中、スピードガンが爆発して重傷を負う。のちに甲子園大会地区予選一回戦で再登場するも、失踪した十兵衛を探す途中で喉が渇き、「のむべからず」とかかれた井戸の水を飲んでしまい、下痢・嘔吐を繰り返して死亡。
今際の際に幸せな幻覚を見たが、安らかな死に顔だったためその際のナレーション「あなたはこんな顔で死ねますか?」は単行本初版にて加筆部分に再使用されたのを皮切りに、映画版ほか、これ以降の画太郎作品(『世にも奇妙な漫画太郎』ほか)にも折々に使用されるフレーズとなった。
珍八
星道高校の教師。熱血漢で、星道高校と外道高校との試合観戦を厳禁する(理由は不明)。応援に行くコギャル隊を力ずくで止めようとするが、太郎の執念に敗れた。画太郎のデビュー作『DRAGON BALL外伝』から登場している古参キャラクター。

野球部員

番長
星道高校十年生の番長。とにかく巨大な体をしており、その大きさは自らの子分を掌に乗せ、片足で子分を踏み潰してしまうほど。天才的なキャッチ能力があるが、ピッチングも超一流。一度十兵衛と戦って死亡した後、あの世で十兵衛の親父に諭され生まれ変わった。十兵衛と共に「ケンカ野球戦士」の探索にあたるため失踪する。その直後に十兵衛が投獄されているが、番長に関しては記述が無いため、どうなったかは不明。
松井ゴリラ
星道高校野球部キャプテンで4番。止める校長を叩きのめして外道高校との試合に挑むが、全身黒焦げの重傷を負い、校長の腕の中で死亡。
チクワブ
145Kmの豪速球を投げるピッチャー。
イタロー
打率は五割の打者。同上。
ハヤミ
盗塁成功率が99%と驚異的な選手。同上。
デブ山
サル島
ともに星道高校の球拾い。松井の命令で試合場の門番をした。

生徒

これらの人物は、『地獄大甲子園』に未収録の話に登場。

山田太郎
星道高校生徒で、坊主頭の少年。三年B組珍八先生でエロ本を取り上げられる。コギャル隊を先に行かせるため、道をふさぐ珍八に戦いを挑む。
おっかけコギャル隊(コミックスではおっかけコギャルズ)
チャバネ
チャバネゴキブリの名を冠しているが、コギャル隊の中では最も女子高生らしい風貌をしている。松井の熱烈なファンだったが、太郎と結ばれる。夢見る夢子。
パトラ
エジプトの壁画のような顔。気高い。口癖で「超~」を付ける。
つる子
女子高生ながら頭が禿げ上がっている。母親は部分的に毛がある。おきゃん。当時ギャル語だった「チョベリバ」(超ベリーバッド)の他「超疑問」を略した「チョギモー」「超万事休す」を略した「チョバキュー」を使う。
珍太バネ
太郎とチャバネの間に出来た男の子。珍八先生の"珍"、太郎の"太"、チャバネの"バネ"の字を貰って名付けられた。

外道高校

監督
外道ナインの司令塔。頑健な蓬髪の大男。審判を懐柔(と言うより恐怖による屈服)しているため試合場の中ではやりたい放題で、反則揉み消しはおろか、スコアボードすらも意のままに動かせる。一方、試合場の外では殺すなと部員に厳命しており(試合中でないと事故として揉み消すことが難しいため)、違反者には耳を食いちぎる等の厳罰を与える。クールなイメージを心がけているが、泰造パンチには恐怖して小便をもらしていた。
ほういち
試合場の外でメガネを襲ったことを見咎められ、監督に耳を食いちぎられる。以後は包帯を顔に巻いている、選手交代でメガネが出場するや、復讐のため代打で出場。バットを駆使した外道プレイで浅倉とメガネを痛めつけた。
ガイ吉
代打でほういちに打順を譲ったため、プレイ内容は謎に終わる。原作漫画では名前のみの登場だったが、映画では頭にボルトの刺さった奇怪な風貌で登場。
外道ナイン
全員が妖怪のような風貌をしている[1]。試合を合法的な殺人のできる遊び場としか考えておらず、対戦チームを試合続行不能に追い込んでは勝ち進んでいた。映画では甲子園大会で優勝している。
化学班
サングラスとキノコ頭が特徴的な科学者。外道ナインの凶器を製造するのが仕事。

その他

中村泰造
当初はただの名も無き酔っ払いだったが、懸賞つき読者投票でこの名前に決まった(これはウソ企画で、実際には投票も懸賞の募集も行われていない)。泰造パンチに変身したが、地雷を踏んで死に、外道高校監督に屈辱的な戒名を付けられた上、懸賞(PlayStationNINTENDO64グランドピアノなど、版によって異なる)も一蹴されてしまった。元ネタは作者の週刊少年ジャンプ時代の編集者の名前で、前々作『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』にも同じ名前のキャラクターが登場している。
パンチ
泰造の飼っている犬。泰造と共に読者投票(ウソ企画)で名前が決まったという設定。二足歩行が出来、泰造と合体して泰造パンチに変身する。
泰造パンチ
泰造とパンチが合体した怪物。恐竜と人間を合わせたような奇怪な姿で、パンチ攻撃を得意とする。外道高校と審判の横暴に怒り、審判全員を殴り倒す活躍を見せたが、地雷を踏んで死亡。もとの泰造とパンチに分離してしまい、外道高校監督に屈辱的な戒名を贈られた。
少女
暖炉の前で老人に地獄甲子園の話をせがむ少女。
おじーさん
星道高校対外道高校戦の試合結果を知る最後の生存者だったが、結末を語る前に他界。

外伝「ラーメン馬鹿一代」登場人物

※『地獄大甲子園』未収録。

めん太郎
第二次世界大戦の終結を知らずに無人島で逞しく生きる野生児。画太郎いわく実在の人物。
ババー
めん太郎の祖母。人生に幕を降ろす前に生前の夫と一緒に食べたラーメンをもう一度食べたいと渇望する。
ラーメン屋
日本一うまいと評判のラーメン屋。めん太郎にラーメン作りを教える。

映画版

映画第1作

テンプレート:Infobox Film 2003年度ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ヤングファンタスティックグランプリ部門グランプリ受賞作品。監督の山口雄大はこの作品以降「ババアゾーン」、「魁!!クロマティ高校」などの漫画作品の実写映画化を多く手がけた。

原作者、漫☆画太郎が脚本作業に全面的に協力し、原作では描かれなかった結末を描いている。尚、原作にあったシーンは冒頭部(十兵衛と番町との戦い)のみでほぼオリジナル展開で話は進んでいく。

スタッフ(第1作)

  • 監督:山口雄大
  • 原作:漫☆画太郎「地獄甲子園」(集英社/ジャンプコミックス刊)
  • 脚本:桐山勲、山口雄大
  • プロデューサー:北村龍平
  • 企画プロデュース:佐谷秀美
  • 撮影監督:古谷巧
  • アクション監督:下村勇二
  • 編集:掛須秀一
  • 特殊メイク:仲谷進
  • ギャグ監修:増本庄一郎
  • 制作:千葉善紀、藤本隷
  • 音楽:矢野大介
  • Infernoアーティスト:進威志
  • 助監督:遠藤健一
  • 脚本協力:漫☆画太郎、石井輝男北村龍平、高津隆一
  • エンディングテーマ:「KICK IT!!」SONGS COMPOSED and PERFORMED by小宮山雄飛
  • 撮影協力:和歌山市
  • 製作:メディアスーツ、クロックワークス
  • 制作:スープレックス
  • 制作協力:ナパームフィルムス
  • 配給:クロックワークス

キャスト(第1作)

映画第2作

テンプレート:Infobox Filmデッドボール』。前作『地獄甲子園』より9年後に『SUSHI TYPHOON まつり』の1作として製作した青春アクションスプラッタコメディ。R-15+指定。主演の野球ジュウベエ役坂口拓以外は一新されている。

スタッフ(第2作)

キャスト(第2作)

OVA版

概要

2009年、漫☆画太郎漫画家デビュー20周年記念企画「クソして寝たら20周年!漫☆画太郎まつりだ、バカヤロー!!」第一弾としてDVDが発売された。

いわゆるFLASHアニメとよばれる、Adobe Flashによって少人数で作られた低予算アニメとなっている。絵柄は原作に忠実なものになっているが、全3巻の原作を45分程度に収めるため、かなり大胆な構成をとっている。

スタッフ

キャスト

脚注

  1. 実写映画版とフィギュア『TIME CAPSULE 漫☆画太郎』では青色の肌に、OVA版では土色の肌と緑色の血にそれぞれ塗られており、人間として描かれていない。

関連項目

外部リンク

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