国際天文学連合

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テンプレート:Redirect 国際天文学連合(こくさいてんもんがくれんごう、英:International Astronomical Union:IAU)は、世界天文学者で構成されている国際組織である。国際科学会議 (ICSU) の下部組織となっている。恒星惑星小惑星、その他の天体に対する命名権を取り扱っている。その命名規則のために専門作業部会が設けられている。

IAUは天文電報の発行業務にも関わっており、スミソニアン天体物理観測所が運営している天文電報中央局 (Central Bureau for Astronomical Telegrams; CBAT) について支援している。

IAUは1919年に多くの団体を統合して設立された。最初の会長にはフランスのバンジャマン・バイヨーが選出された。

2009年現在、会員として、10,145人の天文学者などの個人会員と64の国家会員が所属している。国立天文台名誉教授の海部宣男が2012年から3年間会長を務める。

組織

国際天文学連合の活動の多くは、天文学天文学の分野ごとに分けられた12の分科会 (Division) を通じて行なわれる。各分科会の下部にはさらに細かい研究領域ごとに37の委員会 (Commission) が存在する。委員会の下部には個別の研究テーマに関連した90のワーキンググループ (Working Group) がある。

また3年ごとに総会 (General Assembly) が開かれて、IAU 全体の活動方針に関する討議や研究発表などが行なわれる。これ以外に、欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカの各地域では地域会議 (Regional Meeting) も開かれている。これよりも小規模な研究会議として、シンポジウムやコロキウムも随時開催されている。

分科会と委員会

欠番は、廃止・統合された委員会。 各分科会・各委員会の研究領域に定訳はない。

なお、有名な小天体命名委員会(小惑星命名委員会)は、第20委員会の一部である。惑星定義委員会は、臨時の小委員会である。

  • 第I分科会(基礎天文学)
    • 第4委員会(天文暦)
    • 第7委員会(天体力学)
    • 第8委員会(位置天文学)
    • 第19委員会(地球の回転)
    • 第31委員会(時間)
  • 第II分科会(太陽と太陽圏)
    • 第10委員会(太陽活動)
    • 第12委員会(太陽放射と構造)
    • 第49委員会(惑星間プラズマと太陽圏)
  • 第III分科会(惑星系科学)
    • 第15委員会(彗星と小惑星の物理的研究)
    • 第16委員会(惑星と衛星の物理的研究)
    • 第20委員会(小惑星・彗星・衛星の位置と運動)
    • 第21委員会(夜空の光)
    • 第22委員会(流星・隕石・惑星間塵)
    • 第51委員会(宇宙生物学:地球外生命探索)
  • 第IV分科会(恒星)
    • 第26委員会(連星と多重連星)
    • 第29委員会(恒星スペクトル)
    • 第35委員会(恒星の形成)
    • 第36委員会(恒星大気理論)
    • 第45委員会(恒星の分類)
  • 第V分科会(変光星)
    • 第27委員会(変光星)
    • 第42委員会(近接連星)
  • 第VI分科会(星間物質)
    • 第34委員会(星間物質)
  • 第VII分科会(銀河系)
    • 第33委員会(銀河系の構造と力学)
    • 第37委員会(星団とアソシエーション)
  • 第VIII分科会(銀河と全宇宙)
    • 第28委員会(銀河)
    • 第47委員会(宇宙論)
  • 第IX分科会(光学および赤外技術)
    • 第9委員会(機材と技術)
    • 第25委員会(恒星の測光と偏光分析)
    • 第30委員会(視線速度)
  • 第X分科会(電波天文学)
    • 第40委員会(電波天文学)
  • 第XI分科会(宇宙・高エネルギー天体物理学)
    • 第44委員会(宇宙・高エネルギー天体物理学)
  • 第XII分科会(結びついた広い活動)
    • 第5委員会(文書化と天文データ)
    • 第6委員会(天文電報)
    • 第14委員会(原子・分子データ)
    • 第41委員会(天文学史)
    • 第46委員会(天文学教育と開発)
    • 第50委員会(既存のおよび潜在的な観測環境保全)

下部組織・関連組織

総会

開催年 開催地 開催国
1 1922年 ローマ テンプレート:Flagicon イタリア
2 1925年 ケンブリッジ テンプレート:Flagicon イギリス
3 1928年 ライデン テンプレート:NED
4 1932年 ケンブリッジ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
5 1935年 パリ テンプレート:Flagicon フランス
6 1938年 ストックホルム テンプレート:Flagicon スウェーデン
7 1948年 チューリッヒ テンプレート:SUI
8 1952年 ローマ テンプレート:Flagicon イタリア
9 1955年 ダブリン テンプレート:Flagicon アイルランド
10 1958年 モスクワ テンプレート:Flagicon ソビエト連邦
11 1961年 バークレー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
12 1964年 ハンブルク テンプレート:Flagicon 西ドイツ
13 1967年 プラハ テンプレート:Flagicon チェコスロバキア
14 1970年 ブライトン テンプレート:Flagicon イギリス
15 1973年 シドニー テンプレート:Flagicon オーストラリア
16 1976年 グルノーブル テンプレート:Flagicon フランス
17 1979年 モントリオール テンプレート:Flagicon カナダ
18 1982年 パトラス テンプレート:GRE
19 1985年 ニューデリー テンプレート:Flagicon インド
20 1988年 ボルチモア テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
21 1991年 ブエノスアイレス テンプレート:Flagicon アルゼンチン
22 1994年 ハーグ テンプレート:NED
23 1997年 京都 テンプレート:Flagicon 日本
24 2000年 マンチェスター テンプレート:Flagicon イギリス
25 2003年 シドニー テンプレート:Flagicon オーストラリア
26 2006年 プラハ テンプレート:Flagicon チェコスロバキア
27 2009年 リオデジャネイロ テンプレート:Flagicon ブラジル
28 2012年 北京 テンプレート:Flagicon 中国
29 2015年 ホノルル テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国

地球外知的生命発見時の対応

電磁波などにより地球外知的生命が発見された場合の指針である「地球外知的生命の発見後の活動に関する諸原則についての宣言」が国際宇宙航行アカデミー (IAA) によって作成・採択されている。国際天文学連合などもこれを採択されている。これによると「発見者は信頼しうる証拠と判明するまでは公開してはならず、関連する国家の機関に通報する」と定められている。発見後、天文台などの関係機関で信号を精査するなど信憑性を検討し、地球外知的生命の発見が確実となった時は発見者が宇宙法に従い国際連合事務総長に報告し、その後、世界に公表することになっている[1]。詳しくは地球外知的生命体探査を参照。

参考資料

  1. Transactions of the International Astronomical Union Vol. XXI B Proceedings of the 21st General Assembly, Buenos Aires, 1991" ed. Jacqueline Bergeron, 1992, Kluwer Academic, 78.

関連項目

  • 古在由秀-日本人で初めて国際天文学連合会長に就任(1988年~1991年)
  • 星座-第3回総会で、星座の数を88とし、学名と境界を設定した。
  • 惑星-2006年8月24日の総会で、惑星の定義を決定。その結果冥王星が惑星から除外された。
  • 準惑星-惑星の定義に伴い、新たに設定された天体の分類。

外部リンク