加美郡

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宮城県加美郡の範囲(1.色麻町 2.加美町)

加美郡(かみぐん)は、宮城県令制国下では陸奥国(のち陸前国)に属す。

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以下の2町を含む。

郡域

明治11年(1878年)に行政区画として発足して以来、郡域は上記2町のまま変更されていない。

歴史

奈良時代の『続日本紀』には賀美郡と記される。その後色麻郡を併せ、江戸時代に賀美郡から加美郡に改名した。

幕末時点では全域が仙台藩領であった。『旧高旧領取調帳』に記載されている明治初年時点に存在した村は以下の通り。(38村)

中新田村、下新田村、四竈村、小野田本郷、上狼塚村、下狼塚村、上多田川村、下多田川村、黒沢村、米泉村、羽場村、城生村、雑式目村、孫沢村、木舟村、平柳村、沼ヶ袋村、菜切谷村、小泉村、鳥島村、君ヶ袋村、鳥屋ヶ崎村、王城寺村、北川内村、四日市場村、小栗山村、吉田村、柳沢村、大村、谷地森村、一関村、高根村、宮崎村、高城村、平沢村、清水村、志津村、月崎村

町村制施行以前の沿革

  • 明治7年(1874年)4月 - 区の再編にともない、加美郡は黒川郡と共に宮城県第3大区となる。
  • 明治11年(1878年)10月21日 - 郡区町村編制法の施行にともない、大区小区制を廃止。加美郡は黒川郡と共に黒川・加美郡役所の所轄(郡役所は黒川郡今村に設置)。
  • 明治14年(1881年)2月5日 - 小野田本郷を東小野田村・西小野田村に分割。(39村)[1]

町村制施行以後の沿革

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1.中新田町 2.色麻村 3.鳴瀬村 4.広原村 5.加美石村 6.小野田村 7.宮崎村(紫:加美町 青:合併なし)
  • 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制施行にともない、以下の町村が発足[2]。(1町6村)
    • 中新田町 ← 中新田村(現:加美町)
    • 色麻村 ← 四竈村・大村・一関村・王城寺村・黒沢村・高城村・吉田村・志津村・清水村・高根村・平沢村・小栗山村(現:色麻町)
    • 鳴瀬村 ← 四日市場村・下新田村・平柳村・雑式目村・下狼塚村(現:加美町)
    • 広原村 ← 上狼塚村・菜切谷村・上多田川村・下多田川村・城生村・羽場村(現:加美町)
    • 賀美石村 ← 谷地森村・米泉村・孫沢村・鳥屋ヶ崎村・鳥島村・木舟村・小泉村・君ヶ袋村・沼ヶ袋村(現:加美町)
    • 小野田村 ← 東小野田村・西小野田村・月崎村(現:加美町)
    • 宮崎村 ← 宮崎村・柳沢村・北川内村(現:加美町)
  • 明治27年(1894年)4月1日 - 郡制施行にともなう黒川・加美郡役場の廃止により、加美郡役所を中新田町に設置。
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡制廃止にともない郡会を廃止。残務処理のため郡役所は存置。
  • 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所廃止。
  • 昭和18年(1943年)2月11日 - 小野田村が町制施行し、小野田町となる。(2町5村)
  • 昭和29年(1954年)7月1日 - 宮崎村・賀美石村が合併し、宮崎町が発足。(3町3村)
  • 昭和29年(1954年)8月1日 - 中新田町・鳴瀬村・広原村が合併し、新制の中新田町が発足。(3町1村)
  • 昭和53年(1978年)4月1日 - 色麻村が町制施行し、色麻町となる。(4町)
  • 平成15年(2003年)4月1日 - 小野田町・中新田町・宮崎町が合併し、加美町が発足。(2町)

変遷表

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明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 大正15年 昭和元年 - 昭和28年 昭和29年 - 昭和64年 平成元年 - 現在 現在
中新田村 中新田町 中新田町 中新田町 昭和29年8月1日
中新田町
平成15年4月1日
加美町
加美町
四日市場村 鳴瀬村 鳴瀬村 鳴瀬村
雑式目村
平柳村
下新田村
下狼塚村
菜切谷村 広原村 広原村 広原村
城生村
羽場村
上多田川村
下多田川村
上狼塚村
小野田本郷 小野田村 小野田村 昭和18年2月11日
町制施行 小野田町
小野田町
月崎村
宮崎村 宮崎村 宮崎村 宮崎村 昭和29年7月1日
宮崎町
柳沢村
北川内村
谷地森村 賀美石村 賀美石村 賀美石村
米泉村
君ヶ袋村
沼ヶ袋村
孫沢村
鳥屋崎村
鳥嶋村
小泉村
木舟村
四竈村 色麻村 色麻村 色麻村 昭和53年4月1日
町制施行 色麻町
色麻町 色麻町
一関村
王城寺村
清水村
黒沢村
小栗山村
志津村
大村
高城村
高根村
平沢村
吉田村

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行政

明治23年(1890年)5月17日に郡制が公布された際に、宮城県庁内には黒川郡と加美郡を合併して新たに「美川郡」を設置しようとする動きがあった。これを知った色麻村長・佐藤簡らは同年11月12日、内務大臣西郷従道に宛てて「郡治独立請願書」を提出し、翌明治24年(1891年)1月23日には佐藤が上京して貴族院議長伊藤博文衆議院議長中島信行の両名にも同趣旨の請願を行った。その結果、加美郡は明治27年(1894年)4月1日の宮城県における郡制実施の際に、単独の郡として存続できることになった[3]

  • 歴代郡長

(黒川・加美郡長は黒川郡の項を参照)

氏名 就任 退任 備考
1 大立目謙吾 明治27年(1894年)4月1日 明治33年(1900年)7月11日 黒川・加美郡長より転任
2 荒篤二郎 明治33年(1900年)7月11日 明治33年(1900年)8月3日
3 白極誠一 明治33年(1900年)8月3日 明治34年(1901年)4月20日
4 伊地知靖臣 明治34年(1901年)4月20日 明治37年(1904年)12月23日
5 近藤晋二郎 明治37年(1904年)12月23日 明治39年(1906年)2月28日
6 大立目謙吾 明治39年(1906年)2月28日 明治43年(1910年)4月22日 再任
7 村上伊佐治 明治43年(1910年)4月22日 大正5年(1916年)5月19日
8 渡邊寅治 大正5年(1916年)5月19日 大正5年(1916年)7月12日
9 井上政信 大正5年(1916年)7月12日 大正6年(1917年)10月20日
10 福島繁三 大正6年(1917年)10月22日 大正8年(1919年)5月12日
11 高橋義四郎 大正8年(1919年)6月9日 大正12年(1923年)1月30日
12 糟谷哲郎 大正12年(1923年)1月30日 大正13年(1924年)10月3日
13 小山田義祐 大正13年(1924年)10月3日 大正13年(1924年)12月9日
14 本田鶴吉 大正13年(1924年)12月9日

脚注

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参考文献

外部リンク

関連項目

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  1. 同日付、宮城県令甲第21号
  2. 町村の統合自体は前日の3月31日付で実施されている。(明治22年(1889年)2月9日付、宮城県令第8号)
  3. 『加美郡誌』98~103頁