三陸鉄道

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ファイル:鉄道路線図 三陸鉄道.svg
赤色が北リアス線、青色が南リアス線
ファイル:Santetsu-DC36.jpg
釜石駅に停車中の36-100形気動車
ファイル:Santetsu 36-105 01.jpg
36-105 「キット、ずっと2号」(奇跡の車両)
ファイル:Santetsu 36-701 01.JPG
36-701〜3 (クウェートの支援で導入)

三陸鉄道株式会社(さんりくてつどう)は、岩手県三陸海岸を縦貫する路線を持つ、第三セクター方式の鉄道会社である。通称三鉄(さんてつ)。

北リアス線南リアス線の運営を行うほか、旅行業、物品販売業も行っている。

概要

三陸沿岸を結ぶ鉄道の構想は、1896年(明治29年)に白根専一逓信大臣に提出された「三陸鉄道株式会社創立申請書」に遡る[1]。これは、同年に発生した明治三陸地震の際、「陸の孤島」と評される急峻な地形が支援物資の輸送を阻んだ事を踏まえ、その復興策として鉄道の建設が考えられた事による[2]。この構想は戦後に「三陸縦貫鉄道構想」として引き継がれ、1962年になって宮古駅 - 久慈駅間、盛駅 - 釜石駅間が工事線に格上げされた。これにより、1970年から1975年の間に、国鉄JR東日本の前身)線として盛線宮古線久慈線が相次いで開業した。

しかし、三陸縦貫鉄道の完成を目前にして、国鉄の財政悪化により建設が凍結されてしまう。なお、この時点での未開業区間は、吉浜駅 - 釜石駅間15.2kmと久慈駅 - 普代駅間32.2kmで、路盤は既に完成しており、レールの敷設もほぼ終了していた[2]。追い討ちをかけるように、ようやく開通にこぎ着けた盛線、宮古線、久慈線も国鉄再建法による第一次特定地方交通線に指定され、国鉄路線として廃止されることが決定されてしまう。これを受け、岩手県と沿線市町村は1981年第三セクター「三陸鉄道株式会社」を設立。社名は三陸縦貫鉄道、三陸観光鉄道などの案から知事が決めたという[3]

翌年から未開業区間の建設を進め、久慈線と宮古線、盛線の引き継ぎと同時に未開業区間を開通させて北リアス線および南リアス線の営業を開始、地元の悲願であった三陸縦貫鉄道がここに全通となった。また、これは特定地方交通線を転換して開業した初めての第三セクター鉄道ともなった。

開業初年度からの約10年間は黒字を計上し、三陸鉄道の成功はその後の第三セクター鉄道の誕生を強く後押しした。しかし、輸送人員は1992年から減少の一途をたどり、1994年からは赤字経営に転落、岩手県の運営助成基金に手をつけ始めた[4]。このままでは運営資金が底をつくことから、2003年には経営改善計画を策定、合理化の徹底とともに観光客の誘致を図った[4]

そのさなかを襲った東北地方太平洋沖地震に伴う津波は、三陸鉄道に甚大な被害をもたらした。路線各所で駅舎や路盤が流出し、車両も3両が使用不能となった[5]。しかしながら、地震発生後のわずか5日後には久慈駅 - 陸中野田駅で運行を再開、被害が軽微な他の区間についても3月末までに運転再開し、被災者を勇気づけた[6]。被害が大きいそれ以外の区間についても、岩手県の補正予算や国土交通省の第3次補正予算から復旧費用が拠出される目処がついたため復旧工事を進めており[7][8]、2014年4月6日、全線で運転を再開した[9]

歴史

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  • 1981年(昭和56年)11月10日 - 三陸鉄道設立。
  • 1984年(昭和59年)4月1日 - 北リアス線、南リアス線開業。
  • 1990年(平成2年)5月5日 - 横浜博覧会で運転されたレトロ調車両「おやしお」、「くろしお」営業運転開始。
  • 1994年(平成6年)2月22日 - 南リアス線で強風のため列車転覆事故発生。
  • 1997年(平成9年)7月26日 - 仙台 - 久慈(1999年(平成11年)から八戸)間に直通臨時列車「リアス・シーライナー」運転開始。
  • 2002年(平成14年)10月 - お座敷車両「さんりくしおかぜ」営業運転開始。
  • 2005年(平成17年)3月 - レトロ調車両「さんりくしおさい」営業運転開始。
  • 2007年(平成19年)8月19日 - 「三陸鉄道再出発宣言」。岩手県と沿線12市町村が財政支援を表明。
  • 2008年(平成20年)4月 - 2009年4月の開業25周年を前に社名ロゴマークを変更。
  • 2009年(平成21年)11月 - 国土交通省より地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定を受け、北リアス線・南リアス線の鉄道用地を沿線12市町村に無償譲渡[10][11]
  • 2011年(平成23年)
    • 3月11日 - 東北地方太平洋沖地震により北リアス線、南リアス線とも全線不通。
    • 3月16日 - 北リアス線 陸中野田 - 久慈間の運転が再開[6]。同区間で復興支援列車の運転が開始され、3月31日まで運賃無料。
    • 3月20日 - 北リアス線 宮古 - 田老間の運転が再開[6]
    • 3月29日 - 北リアス線 田老 - 小本間の運転が再開[6]
    • 11月3日 - 北リアス線の陸中野田 - 野田玉川間の復旧工事に着手[8]
  • 2012年(平成24年)4月1日 - 北リアス線 田野畑 - 陸中野田間の運転が再開[12]
  • 2013年(平成25年)4月3日 - 南リアス線 盛 - 吉浜間の運転が再開[13]
  • 2014年(平成26年)
    • 3月28日 - 地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築実施計画の変更認定[14]。期間5年延長
    • 4月5日 - 南リアス線 吉浜 - 釜石間の運転が再開[15]
    • 4月6日 - 北リアス線 小本 - 田野畑間の運転が再開し、全線で運転再開[9]

路線

車両

自社車両は、すべて「36形(公式には「さんりくがた」の発声を当てる)」を名乗るが、車体構造や車内装備から実質5形態(9系列10形式)に分けられる。

過去の在籍車両

  • 36-300形(宝くじ号、レトロ車両「くろしお」)
    • 36-400形(宝くじ号、レトロ車両「おやしお」)
  • 36-500形

JR東日本からの乗り入れ車両

  • キハ58系
    • 1994年3月、キハ100系への置き換えにより定期運用は消滅。ただし、その後もジョイフルトレイン「kenji」が臨時列車として乗り入れる。
  • キハ100系
    • 南北両線で運用されていたが、まず北リアス線から撤退。2009年3月14日改正にて南リアス線からも撤退し、運用が消滅した。
  • キハ40形
    • 行楽シーズンに「うみねこ号」として八戸線の八戸駅から久慈駅を経由して北リアス線に乗り入れている。
  • キハ48形

こたつ列車

2006年から、毎年12月から翌年3月末まで北リアス線久慈駅 - 宮古駅間で運行されている企画列車[18]。車両内に12台の掘り炬燵が設置され企画列車専用の弁当販売や車内でなもみなどが登場するイベントもある。

事務所

盛岡市岩手県庁内に登記上本店(名目上の本社)が存在するが、実際の本社機能は宮古駅内に存在する。久慈・大船渡の事務所は事務や指令業務を行い、運転士・車両が所属する。

  • 宮古本社(宮古駅構内)…実質的本社。
  • 北リアス線運行部(久慈駅構内・旧久慈鉄道事務所)
  • 南リアス線運行部(盛駅構内・旧大船渡鉄道事務所)

三鉄ツーリスト

三陸鉄道の旅行業部門で、宮古駅に設置されている。近畿日本ツーリストグループの特約店。久慈駅にあった久慈営業所は、2007年3月31日をもって閉所された。

運賃

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。北リアス線・南リアス線共通。2014年4月1日現在[20]

キロ程 運賃(円)
初乗り2km 160
3 190
4 - 6 260
7 - 9 310
10 - 12 390
13 - 15 450
16 - 18 540
19 - 21 610
22 - 24 700
25 - 27 770
28 - 30 830
31 - 33 920
34 - 36 990
37 - 39 1080
40 - 42 1140
43 - 45 1210
46 - 48 1290
49 - 51 1350
52 - 54 1420
55 - 57 1520
58 - 60 1600
61 - 63 1660
64 - 66 1730
67 - 1850

割引乗車券

  • 三陸鉄道1日フリー乗車券 - 土曜・日曜・祝日に利用可能。北リアス線用・南リアス線用の2種類。従来は日曜・祝日に利用可能だったが、2014年4月から土曜日にも利用可能なものを発売。
  • 三鉄1日とく割フリーパス - 青春18きっぷまたは北海道&東日本パスを提示した場合に発売。但し、東日本大震災発生直後から発売を見合わせ、発売再開の見通しはたっていない。

食品・キャラクターグッズ販売

「赤字を食う」とのことでせんべい「三鉄赤字せんべい」を販売している。震災後の2011年からは復興と地域活性化を目的に、男性鉄道社員をキャラクター化した「鉄道ダンシプロジェクト」も展開しており、公募によって氏名とデザインを決定、それを元にカズキヨネがリデザインを行なっている。これまでに「田野畑ユウ」(田野畑駅)と「恋し浜レン」(恋し浜駅)が[21][22]、また恋し浜同様「恋」が駅名に含まれることから、西武鉄道と共同で「恋ヶ窪ジュン」(恋ヶ窪駅)も誕生した[23][24]。他にもマスコットキャラクター「さんてつくん」を配したグッズや、車内放送を収録したCD、酒蔵コラボレーションした日本酒など多数の販売を行なっており、公式ホームページにはオンラインショップ「さんてつ屋」を設けている。

ネット広報・ファンクラブ

三陸鉄道がインターネットで行なっている広報には、公式ウェブサイトに加え、ブログ形式の「鉄ログ」やツイッターの「さんてつくん@三陸鉄道【鉄ログ】」 などがある。また季刊の会報誌を発行する「三鉄ファンクラブ」も設けられており、ファンクラブの会員証裏面は1日フリー乗車券となっている。未開通区間以外の全線で、任意の1日(本人のみ・会員年度よりも長く設定された有効期限内に限る)に使用できる。

他企業からの支援企画

クレディセゾン

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「枕木に名前を残そう!」ツアー第二弾

2011年10月27日より、「三陸鉄道支援プログラム」としてクレディセゾンがカード会員から一人1万円の支援金を募る形で復旧への支援をしている(2013年5月現在、第4弾まで実施)[25][26]。支援者の名前を書いたプレートが枕木に設置される「枕木に名前を残そう!」や、三陸鉄道社員らと交流しながら実際にそれを取り付けるツアー(別途旅行費用が必要、近畿日本ツーリストが主催)も行われている[27][28]。ツアー第二弾の式典には三鉄社長の望月正彦や三鉄・クレディセゾン社員に加え、開業時から三陸鉄道を記録し続けている中井精也も出席し、貸切列車では社長の講話も行われた。2013年8月末での支援者はのべ5000人を超え、支援額は5000万円を上回っている。

サークルKサンクス

サークルKサンクスは2012年より三陸鉄道応援企画を実施しており、2014年4月には、第3弾「つながれ!三陸鉄道」として北東北地域のサークルKとサンクスで、三陸の食材を使った弁当類を販売し、売り上げは、三陸鉄道の支援に使われる[29]

ネスレ日本

ネスレ日本は、三陸鉄道復旧の応援を通して、沿線地域の復興を支援することを目指し、2012年3月から「キット、ずっとプロジェクト」を展開しており、ラッピング列車「キット、ずっと号」や、運行寄付金付き「キットカット ワールドバラエティ」販売を通した寄付活動などを行っている[30]

2014年6月16日には「キットカット」の外箱に乗車券が描かれた「ネスレ キットカット ミニ 切符カット」を発売。2015年5月31日まで1箱あたり190円分の乗車券として北リアス線・南リアス線で利用できる。また、売上の一部は、三陸鉄道の支援に使われる。[31][30][32]

震災学習列車

学校や団体を対象に、三陸鉄道社員や沿線住民が被災の状況を説明する「震災学習列車」を運行している[33][34]。全国から募集しており、岩手県内の団体には利用者補助制度が適用される場合がある。南北のリアス線で運行され、所要時間は1時間前後。学習ポイントでは一時停止や徐行などがされ、参加団体によっては車内での黙祷も行われる。震災から3年となる2014年3月11日の運行では、個人での参加も可能とした。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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  • 寺田裕一『日本のローカル私鉄2000』、ネコ・パブリッシング、2000年、36頁。ISBN 4-87366-207-9
  • 2.0 2.1 岩渕徹 他 『走れ、さんてつ! 〜三陸鉄道のある風景よ、もう一度!!〜』、徳間書店、2012年、8頁。ISBN 978-4-19863351-6
  • 『鉄道ジャーナル』NO.188 1982年10月号
  • 4.0 4.1 鈴木文彦 「苦境の三陸鉄道 転換第三セクター鉄道の現実」『鉄道ジャーナル』2004年8月号、2004年、14 - 23頁。
  • 江澤隆志 『甦る! 被災鉄道 東北被災路線の全貌と復興への道』、洋泉社MOOK、2012年、48頁。ISBN 978-4-86248-844-2
  • 6.0 6.1 6.2 6.3 『走れ、さんてつ! 〜三陸鉄道のある風景よ、もう一度!!〜』、12・13頁。
  • 3セク鉄道復旧費に65億円…3次補正予算案 - 読売新聞、2011年10月21日。
  • 8.0 8.1 テンプレート:PDFlink - 三陸鉄道
  • 9.0 9.1 三陸鉄道が全線開通 津波で被害、「第2の開業」 - 日本経済新聞、2014年4月6日
  • テンプレート:Cite press release
  • テンプレート:Cite
  • 三陸鉄道:陸中野田-田野畑で運転再開 - 毎日新聞、2012年4月1日
  • 13.0 13.1 テンプレート:Cite web
  • テンプレート:PDFlink - 国土交通省、2014年3月27日
  • 三陸鉄道、全線運行再開へ 観光客増加に期待 - 日本経済新聞、2014年4月5日
  • 三陸鉄道全線運行再開等について - 三陸鉄道、2014年1月27日
  • 「リゾートうみねこ」三陸鉄道乗り入れ - 三陸鉄道
  • 18.0 18.1 復活!三陸鉄道こたつ列車運転のお知らせ - 三陸鉄道プレスリリース(2012年11月14日)
  • 岩手のこたつ列車、震災から復活 沿岸の三陸鉄道 - 47NEWS(2012年12月15日)
  • 普通運賃表(三陸鉄道、2014年4月5日閲覧):運賃額、『JTB時刻表』2014年4月号(JTBパブリッシング):キロ程確認
  • ~鉄道ダンシ×三陸鉄道~新入社員採用のお知らせ - 三陸鉄道(2012年3月1日)
  • 鉄道ダンシ×三陸鉄道 祝!4/1入社&限定グッズの発売について - 三陸鉄道(2012年4月3日)
  • 【鉄道ダンシ】仲間が登場!西武鉄道×鉄道ダンシ「恋ヶ窪」くん募集!! - 三陸鉄道(2012年12月20日)
  • 【西武鉄道×鉄道ダンシ】「恋ヶ窪」くんの名前とイラスト決定!!! - 三陸鉄道(2013年4月4日)
  • 【第2弾】三陸鉄道復興プログラム開始について - 三陸鉄道(2012年3月30日)
  • 「三陸鉄道支援プログラム」[第4弾]〜枕木に名前を残そう〜 - クレディセゾン(2013年4月1日)
  • 全線復旧願い三鉄の枕木に記念プレート - デーリー東北(2012年11月20日)
  • 三鉄応援の枕木プレート設置 大船渡、全国から50人 - 岩手日報(2013年7月1日)
  • テンプレート:PDFlink - サークルKサンクス、2014年4月2日
  • 30.0 30.1 テンプレート:PDFlink - ネスレ日本、2014年6月2日
  • 「キットカット」切符に ネスレ、三陸鉄道を支援 - 産経新聞、2014年6月3日
  • 切符カットでの三陸鉄道ご乗車のご案内 - 三陸鉄道
  • 「震災学習列車」のご案内 - 三陸鉄道(2013年5月30日)
  • テンプレート:PDFlink - 三陸鉄道