レッドアロー

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初代「レッドアロー」5000系(1993年)
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2代目「ニューレッドアロー」10000系(2008年)
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10000系の車体側面に描かれている「NEW RED ARROW」のロゴ

レッドアロー (テンプレート:En) は、西武鉄道の運行する特急列車の愛称である。また車両としては、最初にその名を冠された5000系電車、およびその後継である10000系電車特急形車両である。

なお、各路線ごとの車内設備、列車の停車駅、詳細な沿革などはそれぞれのページを参照。

名称

「レッドアロー」の名称は、日本では西武鉄道の登録商標(日本第4808020号)であるため、他の鉄道事業者は使用することができない。

「ちちぶ」「むさし」「小江戸」の列車名は設定されているが、駅の案内やウェブサイトでは「特急レッドアロー(号)」と称している場合が多い。

乗車券

全列車が座席指定席制であり、特急券を別途購入して利用する。なお、定期券所持者でも特急券を購入すれば利用可能である。

特急券は、沿線の主要駅の窓口、停車駅に設置される特急券専用自動券売機JTBグループの店舗(取り扱いのない店舗あり)などで発売している[1]。また、特急券のインターネット予約サービスも実施しており、予約した特急券を西武線各駅に設置されているタッチパネル式自動券売機(小竹向原駅を除く)で購入することが可能である。かつてはプッシュホンによる予約サービスも実施していた。

2013年(平成25年)6月9日からは、チケットレスサービス「Smooz」が開始された[2]。これは、スマートフォン、携帯電話、パソコンからインターネットを利用して、登録したクレジットカードで「特急ポイント」を積み立てて「ネット特急券」を購入し、乗車できるサービスである。これに伴い、特急電車に乗務する車掌には専用の端末が支給され車内改札を簡略化したことで、乗客と車掌、双方の負担が軽減された。

列車名および主な運行区間

レッドアローは池袋線・西武秩父線系統の列車と、新宿線の「小江戸」に系統が分離されており、定期列車としては両線間の直通は実施されていない。

池袋線・西武秩父線

ちちぶ
1969年 – 。池袋駅 - 西武秩父駅
むさし
1973年 –。池袋駅 - 飯能駅
1976年から1993年までは、西武新宿駅 - 所沢駅・本川越駅間で運行される特急も「むさし」と称していた。
過去に不定期ではあるが西武秩父まで延長運転されるものが存在した。
ドーム(スタジアムエクスプレス、ローズエクスプレス)
池袋駅 - 西武球場前駅狭山線
西武ドームでのプロ野球開催日、大型連休、夏休み期間、「国際バラとガーデニングショウ」開催時のみ運行。
なお、「国際バラとガーデニングショウ」開催時に運行される場合には練馬駅にも停車する。
電車フェスタ号
池袋駅 - 武蔵丘車両検修場
同検修場の一般公開イベント開催時に臨時列車として運転。2004年から2010年までの開催時に運転していた(イベント自体は2002年から毎年開催)。2005年のみ西武新宿駅 - 武蔵丘車両検修場間の列車も運行されていた。また運転に際しては全区間均一料金制がとられた。

新宿線

小江戸
1993年 –。西武新宿駅 - 本川越駅

過去の列車名および運行線区

こぶし
1969年 – 1973年。池袋駅 - 西武秩父駅
休前日の夜間に運転されていた。
おくちちぶ
1976年 – 1993年。西武新宿駅 - (所沢駅) - 西武秩父駅。
休日運転。「小江戸」の運転開始と同時に廃止。
1993年 – 1998年。池袋駅 - 西武秩父駅。
土曜・休日運転。「ちちぶ」とは停車駅パターンが異なり、入間市駅を通過し、芦ヶ久保駅横瀬駅に停車していた。

臨時列車

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レッドアロークラシック
MISATO TRAIN
1986年 – 2005年。
かつて渡辺美里が恒例としていた西武ライオンズ球場(現・西武ドーム)でのスタジアムライブの観客輸送を兼ねた臨時特別列車。年度ごとに特製ヘッドマークを掲出し、池袋駅 - 西武球場前駅間をノンストップで運行した。1994年までは5000系を、以降は10000系を充当した。なお、2001年から2003年までは「臨時」表示で運行していた。
小さな旅
1980年代頃から不定期に運転されている団体専用臨時列車。ニッポン放送制作で、西武鉄道提供の同名のミニ番組に因む。
お召し列車
1993年5月12日、天皇皇后秩父地方行幸啓する際に運行し、5000系5507編成を充当した。
2007年3月28日、天皇・皇后と来日中のスウェーデン国王王妃一行が埼玉県川越市を視察する際に運行し、10000系10108編成を充当した。
レッドアロークラシック
2011年 –。
10000系10105編成の車体塗装を5000系とほぼ同じカラーリングに塗装し、再現した[3]。側面には「RED ARROW CLASSIC」のロゴが飾られている。2011年11月27日に臨時特急列車として池袋駅 - 西武秩父駅間を1往復運行した。同年11月28日から定期特急列車の運行に充当されている。
拝島線臨時特急
2011年 –。
前述の「レッドアロークラシック」運行記念として、2011年12月12日–12月18日まで西武新宿駅→拝島駅間の臨時特急列車を夜間に片道1本運行した[4]。なお、拝島線で特急列車が運行されるのはこれが初めてである。途中停車駅は高田馬場駅(乗車のみ)、田無駅小平駅玉川上水駅(いずれも降車のみ)。なお、新宿線内の田無・小平両駅も通常は特急停車駅ではない。
2012年は「西武鉄道創立100周年記念」として8月24日から8月30日までと12月10日から12月16日までに運転される。今回は田無駅の代わりに東大和市駅に停車する(降車のみ)。また今回の運転では全区間均一料金の号車指定制がとられることになり、また12月の運転では土曜休日の運転時間が繰り上げられることになった。[5]
2013年は12月12日・13日・19日・20日に運転される。今回は2012年と停車駅は変わらないが、途中駅から乗車できるようになった[6]

車両

座席指定列車であるため、特急形車両以外での運転は行わない。

車内サービスとして、1号車と7号車にはそれぞれトイレ(1号車は洋式、7号車は和式)、男性用トイレ(小便用)、清涼飲料水自動販売機がある。1号車にはかつて公衆電話(飯能~西武秩父間使用不可)もあったが、NTTドコモmovaサービス終了に伴い、2012年3月31日に廃止された。

駅施設

池袋駅・飯能駅・西武秩父駅および入間市駅の下りホームには、「レッドアロー」専用のプラットホームがある。このうち、西武秩父駅のそれは1973年に追加で設置したものである。

沿革

横浜乗り入れ構想

西武鉄道が通勤用車両を使用して相互直通運転を行っている東京メトロ副都心線東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい21線に特急車両を通し、横浜方面へレッドアローを運行する構想が取り上げられたことがある。

2009年にネコ・パブリッシングより発行された子供向けの鉄道書籍「西武だいすき」の子供からの質問に応答する記事の中において、当時西武鉄道の社長であった後藤高志は「将来、西武池袋線方面から東京メトロ副都心線を経由して東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい21線の横浜、元町・中華街方面に直通する有料特急を走らせたい」と、レッドアローの今後の他社線直通を実施したいとの意向を回答した。

2014年3月17日付の朝日新聞では、横浜方面から飯能・秩父方面への観光需要の喚起を目的として、レッドアローの元町・中華街への乗り入れの検討を始めることが発表された[8]

乗り入れ先となる事業者のうち東京地下鉄では千代田線で有料特急を運転しているが、東急と横浜高速鉄道は有料特急を設定しておらず特急料金の制度もないため、料金制度を改訂する必要が生じる。また車両面では地下鉄対応車両でないと走行できない区間が含まれるが、現行の10000系は地下鉄対応車両になっていない。

なお、有料特急列車を設定していない他社線にそれを乗り入れる構想のある大手私鉄は他にも近畿日本鉄道同社の特急阪神山陽電気鉄道への、京成電鉄スカイライナー都営地下鉄浅草線京急への乗り入れ構想がそれぞれ存在する。

レッドアローを扱った作品

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

外部リンク

  • 西武鉄道公式サイト「特急券予約・購入のご案内」による。なお、JTBは持株会社であることから、JTB地域会社店舗JTBトラベランドでの発売となる。
  • テンプレート:PDFlink - 西武鉄道ニュースリリース 2013年5月31日
  • 3.0 3.1 テンプレート:PDFlink - 西武鉄道ニュースリリース 2011年10月27日
  • テンプレート:PDFlink - 西武鉄道ニュースリリース 2011年11月27日
  • テンプレート:PDFlink - 西武鉄道ニュースリリース 2012年7月25日
  • テンプレート:PDFlink - 西武鉄道ニュースリリース 2013年11月1日
  • 「レッドアロークラシック」運転開始 - 『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース(交友社) 2011年11月28日
  • 埼玉)西武鉄道、レッドアロー号横浜直通を検討(朝日新聞埼玉版 2014年3月17日発信)