ヤシ

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テンプレート:Redirect テンプレート:出典の明記 テンプレート:生物分類表 テンプレート:APGIII相関図 ヤシ(椰子)は、単子葉植物ヤシ目 ヤシ科に属する植物の総称である。熱帯地方に多く、独特の樹型で知られている。実用価値の高いものが多く含まれる。

特徴

ヤシは、単子葉植物ヤシ科に属する植物を広く指して言う呼称である。単子葉植物としては珍しく木本であり、幹は木化して太くなる。大きいものでは30mにも達するが、茎が立ち上がらないものや、草本並みの大きさのものもある。

葉は羽状複葉か掌状に裂け、基部は茎を抱き、鞘が茎を包んだり、繊維を茎にまといつかせる。茎に沿って多数の葉を並べるものもあるが、茎の先端部に輪生状に葉が集まるものが多く、ソテツ類に似た独特の樹型を見せる。

花は小型で、穂になって生じる。花序の基部には包がある。花びらは小型。

熱帯地方を中心に253属、約3333種がある。日本には7種ほどが自生、または自生状態で見られる。しかし、観葉植物として栽培される種が多く、見かける種数ははるかに多い。

利用

古来より、多くの種が、さまざまな方法で利用されている。

食用など

園芸

  • ヤシの独特の樹型はいかにも熱帯的な印象があり、温暖な地方では街路樹として用いられる。本州南岸以南では、カナリーヤシ(フェニックス)・シンノウヤシ・ワシントンヤシ(ワシントニアパーム)がよく街路樹として用いられ、特に観光地では南国ムードを高めるために頻繁に使用される。
  • 小型種ではチャメドレア属などが観葉植物として室内で栽培されるものが多い。カンノンチクシュロチク古典園芸植物として、江戸時代から様々な品種が栽培された。大正昭和期には投機の対象となり、何度かブームを起こしている。

薬用など

建材、工芸材料など

  • 大きくなるものは、幹が建材等に利用される。また、ココヤシ、ニッパヤシなどの大型種の葉は、屋根を葺くのにも使われる。そのほか、帽子団扇などに直接加工することも広く行われる。
  • 葉の丈夫な種では、引き裂いてひもや繊維とすることも行われる。シュロなどでは、葉の基部から生じる繊維状の毛をほうきなどの材料とする。
  • ココヤシなどの果実の殻は調理器具などに加工される。
  • つる性のトウ(籐)は籐細工として家具などにされる。
  • オウギヤシ、タリポットヤシの葉は東南アジア南アジアにおいては、仏教写経をする際の紙代わりとして使われてきた歴史がある。また、仏教やヒンドゥー教、時にはイスラム王朝をテーマとした細密画が描かれることもあり、お土産品としても流通している。貝多羅葉、略して貝葉と呼ばれる。

木炭

  • ココヤシなどの果実の殻を、水蒸気賦活し、椰子殻(やしがら)活性炭が作られ、脱臭タバコタール等の除去、浄水、の吸着分離などに用いられる。また、椰子殻を原料とした木炭であるヤシガラ炭は東南アジア全般で広く製造されている。ヤシ殻の丸まった形では燃料として扱いにくいため、木炭化したものを粉砕し、タピオカ澱粉などで固めてオガ炭のような薪状に成形されて販売されている。

その他

  • ヤシの実を穿孔して土笛のようにし、楽器として使用されている。一例として兵庫県神戸市玉津田中遺跡から弥生時代のものが出土している。
  • 天然ココナッツ繊維:この繊維をロープ状にして、ほぐして強度をつけ、ラテックスを塗布し固める。通気性が良く適度な硬さがあり、腰痛に良いとされる。
  • キリンケツヤシから採った麒麟竭(上述)は赤い色をしており、各種塗料や紙の着色などに用いる。

分類・系統的位置づけ

ヤシ科はほとんどの分類体系で、単独でヤシ目を構成する。

新エングラー体系は、ヤシ科が単子葉植物の中で最初に分岐したという説から、ヤシ科が(単独で)属する目を テンプレート:Sname (直訳すると「第一」)と名づけた。

しかしAPGでは、ヤシ目より先にショウブ目オモダカ目クサスギカズラ目ヤマノイモ目ユリ目タコノキ目が分岐しており、ヤシ目は進化した単子葉類であるツユクサ類に含まれる。

分類

亜科・連[1]

ヤシ科は5亜科に分かれ、それぞれがいくつかのに分かれる。連によっては数十の属が属する。

主な種

日本産

日本国内には以下のような種を産する。

外国産

他にも、有名なものが多々ある。

脚注

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関連項目

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外部リンク

  1. DDBJ TXSearch、NCBI taxonomy database、UniProt Taxonomy による。
  2. wikispecies