ミヤコグサ

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テンプレート:生物分類表 テンプレート:Sister テンプレート:Sister ミヤコグサ(都草、学名: テンプレート:Snamei)はマメ科多年草。道端などに普通に見られる野草。春に黄色い花を多数つける。

特徴

茎は根元で分枝して、地表を這う。茎には節ごとに葉をつける。葉は5枚の小葉をもつ奇数羽状複葉であるが、実際には葉柄の先端に三出しているように見える。あとの二枚は、葉柄の基部にあって、大きな托葉に見える。葉は白っぽい緑で、かすかに粉を吹いたように見え、やや厚みがある。

春に花が咲くが、その他の季節にも少しずつ咲く。花は長い花茎の先にあって、植物体からやや上に抜けて出る。柄の先に1-3個まとまって着き、放射状に外を向く。花の基部には苞があるが、普通の葉の小葉三枚とほぼ同じ形である。萼は筒状で先は裂ける。花はいかにもマメの花、といった形で、鮮やかな黄色。なお、開花後にしだいに赤くなるものがあり、特にニシキミヤコグサ (forma テンプレート:Snamei Makino) と呼ぶ。

果実はいわゆるマメの形で、小さいがインゲンに似た細長い円柱形。熟すると二つに割れて種子を散布する。

道端から海岸沿いまで、背の低い草原で、よく日の当たるところに多い。田畑の周辺にもよく姿を見る。耕作地に侵入する雑草ではないが、その周囲によく見かける野草としてよく親しまれている。元来は帰化植物であるようで、ムギ類の栽培に付随して持ち込まれた史前帰化植物であるとも言われる。

日本では北海道から南西諸島までに広く分布し、国外ではインド以東の東アジア一帯に広く分布する。

名称

名前は「都草」の意味であると思われるが、この都は奈良の都であるという説、京の都であるという説がある。いずれにしても、古い時代には分布がさほど広くなく、当時の中心的都市近郊に多かったことを意味するのではないかと言われる。しかし、都草ではなく、実は脈根草、すなわちミャクコングサであったものが訛ったものだとの説もある

別名として、烏帽子草の名もある。花の形に由来するようである。

利用等

雑草に近いものではあるが、畑にはびこるものではなく、特に害はない。むしろ、可愛い花を咲かせる野草として親しまれてきた。一部では食用にされたらしい。後述のセイヨウミヤコグサネビキミヤコグサワタリミヤコグサなどは家畜の飼料として栽培される。カナリア諸島原産のロータス・ベルテロティー (L. berthelotii) などは観賞用にもされる。

また近年、モデル生物としての利用が注目されている。栽培が比較的容易で生活環のサイクルが比較的短く(播種から2月ほどで開花)、染色体数2n=12、ゲノムサイズは約4億5千万塩基対(作物の中では短いイネと同程度、シロイヌナズナの3.6倍ほど)と小さいことから、マメ科のモデル生物として優れたものとなりうるという。また作物改良への応用も期待され、ゲノムプロジェクトが進められている。共生する根粒菌ミヤコグサ根粒菌 (Mesorhizobium loti) で、すでにゲノム解析が完了している。

近縁種

ミヤコグサ属 (テンプレート:Snamei) は約150種を含みアジアからヨーロッパまで幅広くに分布し、海岸から高山まで様々な環境に適応した種がある。

帰化種

ヨーロッパ原産のセイヨウミヤコグサ (テンプレート:Snamei L.)は、現在では日本のほか、北アメリカオーストラリアにも帰化している。一つの花序につく花の数が7個までと多数の花がつくこと、茎や葉に毛があることなどで区別されるが、外見上はほとんど同じに見える。日本では、帰化種のセイヨウミヤコグサに出会うことの方が多く、ミヤコグサを探すのが難しくなりつつある。

この他の帰化種としては、ワタリミヤコグサ (テンプレート:Snamei Waldst. et Kit. ex Willd.) やネビキミヤコグサ (テンプレート:Snamei Schk.) なども記録されている。

在来種

シロバナミヤコグサ (テンプレート:Snamei Andr.) は、日本に自生するもう一種の在来種である。南西諸島に見られる。名前は紛らわしいが、ミヤコグサの白花品ではなく、全くの別種である。全体にやや多肉な植物で、地表を茎がはう。葉の構成はほぼ同じだが、子葉は細長く、葉そのものではなくて子葉ごとに立つ感じになる。花軸は短い。先端の花は4-5個。花は真っ白。果実は細長い円筒形。琉球列島海岸の岩の上に生える。国外では熱帯アジアからオーストラリアにまで分布がある。

脚注

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外部リンク

ca:Lotus japonicus de:Lotus corniculatus var. japonicus en:Lotus japonicus it:Lotus japonicus