ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(Hedwig and the Angry Inch)は、オフ・ブロードウェイで上演されたミュージカルと、その映画化作品である。旧東ドイツ生まれの性転換ロック・シンガー、ヘドウィグが、幼い頃に母から聞いたプラトンの「愛の起原」にあるような自分のかたわれ(=愛)を探して全米各地を巡る物語。そんな彼女の人生が、彼女自身の魂の歌と共につづられる。

製作までの経緯

俳優ジョン・キャメロン・ミッチェル作曲家スティーヴン・トラスクが、ニューヨークの Squeezebox というナイトクラブでヘドウィグを登場させたのが始まり。そのキャラクターを段々と膨らませていき、舞台へと発展していった。

ストーリー

全米各地を旅する売れないロック歌手のヘドウィグは共産主義体制下の東ドイツで生まれた。幼い頃のある日、母親から「愛の起源」についての話を聞かされる。アメリカ軍人ルーサーに出会い恋に落ちるまで、ヘドウィグはハンセルという名の男性だった。母親はルーサーと結婚しアメリカに渡れるよう、彼に名前とパスポートを与え、性別適合手術を受けさせた。だが手術は失敗し、股間には「怒りの1インチ(アングリー・インチ)」が残された。そして2人はアメリカへ渡ったのだが、ルーサーは最初の結婚記念日の日ヘドウィグのもとを去っていってしまう。それはベルリンの壁崩壊の日だった。絶望に暮れるヘドウィグは、昔抱いたロック歌手になる夢を思い起こし、韓国軍兵の妻たちを引連れバンドを結成する。アルバイトをしながら身を繋いでいたある日、同じくロックスターに憧れる17歳の少年トミーと出会う。ヘドウィグは彼を誰よりも愛しロックの全てを注ぎ込んだが、とうとう手術痕がばれて別れてしまう。彼は作った曲をすべて盗んだ挙句ヒットを飛ばし、いまや人気絶頂のロックスターに登りつめていた。ヘドウィグは自分のバンド「アングリー・インチ」を引きつれトミーの全米コンサートを追いかけながら巡業し、愛を捜し求めていく。

舞台

1997年よりオフ・ブロードウェイで上演。ロングランを記録し、マドンナがその楽曲の権利を手に入れようとした事は有名。 また、ヘドウィグのカツラを模したかぶり物をした、"ヘドヘッド" と呼ばれる熱烈なファンを生み出した。あるファンは400回以上劇場に足を運んだという。

また、キャストを変えてアメリカ各地やロンドンカナダドイツ等でも上演されている。

日本語版公演は三上博史主演で2004年2005年PARCO劇場他で上演され、人気を博した。 2007年と2008年、2009年には山本耕史主演で上演され、2008年6月21日中野サンプラザにおいてジョン・キャメロン・ミッチェルを招待しての打ち上げライブが行われた。 2012年8月29日から、Shibuya-O eastで森山未來が主演、大根仁演出で上演が再び決定。

映画化

テンプレート:Infobox Film

舞台ではジョン・キャメロン・ミッチェルがヘドウィグの恋人トミーも演じたが、映画版では新進俳優のマイケル・ピットが演じた。他の出演者は、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスク等。サンダンス映画祭観客賞、監督賞をはじめ、数々の賞を受賞した。第14回東京国際映画祭特別招待作品。

キャスト

 他

日本語吹き替え

受賞

楽曲

以下に本作に登場する楽曲を記す。

  • Tear Me Down
  • The Origin Of Love
  • Angry Inch
  • Wicked Little Town
  • Wig In A Box
  • The Long Grift
  • Hedwig's Lament
  • Exquisite Corpse
  • Midnight Radio
  • Nailed
  • Sugar Daddy
  • Freaks
  • In Your Arms Tonight

※The Origin Of Love はプラトンの著作「饗宴」でのエロスに関するアリストパネスの主張がもとになっており、本作のストーリーの中核を担うものである。

参考文献

テンプレート:Reflist

外部リンク

舞台
映画

テンプレート:Asbox