ブルース・スターリング

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テンプレート:Infobox 作家 ブルース・スターリングMichael Bruce Sterling, 1954年4月14日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ブラウンズビル出身の小説家SF作家ジャーナリスト

1980年代を席巻したサイバーパンク運動でウィリアム・ギブスンと並んで中心的役割を果たした。その後もSF界の代表的な作家として活躍。セルビア人作家のジャスミナ・テサノヴィッチと結婚。現在ベオグラード在住である。

経歴

子供時代には父親の仕事の関係で、インドなど国外で多く過す。テキサス大学入学後、オースティンのSFファンダムを通じて、創作講座「ターキー・シティ」に参加、ここでハーラン・エリスンに見い出され、アンソロジー『最後の危険なヴィジョン』(The Last Dangerous Vision)に短編を買われてプロ作家デビューする(未刊)。

1977年、第一長篇『塵クジラの海』(Involution Ocean)を、ハーラン・エリスン・ディスカバリーズの1作として発表。その後若手作家のルーディ・ラッカー、ジョン・シャーリィ、ギブスンらとの交流が始まり、サイバーパンク運動の中心人物となる。1982年に短編「巣」(Swarm)、「スパイダー・ローズ」(Spider Rose)を発表。それぞれネビュラ賞ヒューゴー賞、ヒューゴー賞候補となり注目を集め、これが「機械主義者/工作者」(Mechanist/Shaper)シリーズとなった。

1985年、シリーズ長編『スキズマトリックス』(Schismatrix)を発表し、人気作家としての地位を固める。 1980年代後半からは、サイバーパンクの枠をさらにグローバルに広げた作品「われらが神経チェルノブイリ」(Our Neural Chernobyl)、「あわれみ深くデジタルなる」(The Compassionate, the Digital)、長編『ネットの中の島々』などを発表。

1992年には、実際に1990年に起きたハッカー一斉取締の顛末を追ったノンフィクション『ハッカーを追え!』を発表しベストセラーとなる。

1997年、短編「自転車修理人」(Bicycle Repairman)でヒューゴー賞受賞。1999年、短編「タクラマカン」(Taklamakan)でヒューゴー賞ローカス賞受賞。この2作は「ディープ・エディ」(Deep Eddy)とともにチャタヌーガ三部作と呼ばれる。

親日家として知られ、「SFマガジン」誌も購読しており、1986年10月号に書き下ろし短編「江戸の花」(Flowers of Edo)を、1997年1月号に未来の日本社会を扱いローカス賞を受賞したSF短編「招き猫」(Maneki Neko)も書いている。1996年に幕張新都心で開かれたWorld PC EXPOで「サイバーワールドの光と影」と題して講演。サンディー&ザ・サンセッツのファンでもある。

作品リスト

長編

  • 塵クジラの海 (Involution Ocean, 1977)
  • 人工少年 (The Artificial Kid, 1980)
  • スキズマトリックス (Schismatrix, 1985)
  • ネットの中の島々 (Islands in the Net, 1989) - ジョン・W・キャンベル記念賞受賞
  • ディファレンス・エンジン (Difference Engine, 1990) - ウィリアム・ギブスンと合作
  • Heavy Weather (1994)
  • ホーリー・ファイヤー (Holy Fire, 1996)
  • ディストラクション (Distraction, 1998) - アーサー・C・クラーク賞受賞
  • Zeitgeist (2000)
  • The Zenith Angle (2004)
  • Kiosk (2007)
  • The Caryatids (2009)

短編集

  • Crystal Express (1989)
  • 蝉の女王 (Cicada Queen, 1989) - 早川書房(日本オリジナル)
  • グローバルヘッド (Globalhead, 1992)
  • タクラマカン (A Good Old-Fashioned Future, 1999)

ノンフィクション

  • ハッカーを追え! (The Hacker Crackdown, 1992)

編著

  • ミラーシェード(Mirrorshades, 1986) - サイバーパンク・アンソロジー

ほか短編、エッセイ他

外部リンク