バオバブ

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バオバブ(英名:Baobab、学名:Adansonia)はアオイ目アオイ科クロンキスト体系新エングラー体系ではパンヤ科バオバブ属の総称のこと。

「バオバブ」の名は、16世紀に北アフリカを旅したイタリア人植物学者が「バ・オバブ」と著書に記したのが始まり。もとはアラビア語のブー・フブーブ(種がたくさんあるもの)から来ているという説がある。

学名はA. digitataを報告した仏人自然学者Michel Adansonの名に由来する。原生種がマダガスカルに6種、オーストラリアとアフリカに1種ずつ存在する。

アフリカの諸言語ではそれぞれ呼称が異なり、ズールー語では「ウムコーモ」、ハウサ語では「クーカ」、スワヒリ語では「ムブユ」、フルベ語では「ボッキ」、バンバラ語では「シラー」、モシ語では「トゥエガ」などと呼ばれる[1]

特徴

サバンナ地帯に多く分布する。幹は徳利のような形をしており、高さは約20メートル、直径は約10メートルに及ぶ。最大のものは南アフリカリンポポにある高さ47m、直径15mである。年輪が無いため樹齢を知ることは難しいが、数千年に達すると言われ、放射年代測定は可能である。中は空洞になることが多い。葉は幹の上部につき、乾季落葉する。は白色で大きい。果実はヘチマのように垂れ下がり、堅い。果肉は食用・調味料とされ、セネガルでは「サルのパン」と呼ばれる。ビタミンCがオレンジより多く、カルシウムも牛乳より多いと言われる。さらに種子からは油が採集できる。また、若葉を野菜として利用する。樹皮は煎じて解熱剤に用いられるほか、細かく裂いて編めば強靭なロープを作ることができる[2]

オーストラリアの先住民族アボリジニの間ではブッシュ・タッカーとして古くから消費されていた。

サン・テグジュペリの『星の王子さま』では、を破壊する巨木として描かれているが、上記のとおりアフリカ諸国では食用などさまざまに活用され、親しまれている。浜名湖花博において日本では初めて屋外で開花した。

大木には10トンもの水分を幹にたくわえており[3]、乾季になると葉を落とし休眠する。休眠中はその水分で生きのびる。

観葉植物にもなり、盆栽型に仕立てることもできる。

主な種

脚注

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外部リンク

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  • 『世界遺産 最後の巨樹』講談社 2002年
  • 『黒い光と影 未来大陸アフリカ』毎日新聞社、1978年5月、p118。
  • 『世界遺産 最後の巨樹』講談社 2002年