バウンド・ドック

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バウンド・ドック (BOUND-DOC) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場する架空の兵器

ティターンズニュータイプ専用可変モビルアーマー (MA)である。本来、バウンド・ドッは誤表記だが、SDガンダム作品では意図的に「犬(=ドッグ)」とされる場合[1]もある。

なお、本項では、本機と関連のあるムットゥーも併せて記載する。


バウンド・ドック

テンプレート:機動兵器

試作機で、3機が生産された。オークランド研究所において、ニュータイプ用に調整された。サイコミュを搭載しているが武装ではなく機体制御に使用している。基本的にはニュータイプ用で、ニュータイプや強化人間でなければ機体性能を完全には引き出す事が出来ない。

右手がマニピュレーターではなくクローで左右非対称、細身な上半身に重量感のある下半身という、グリプス戦役時の戦闘兵器の中でも特に異彩を放つ姿をしている。ビームライフル・ビームサーベルとも左手でしか持つことができない。可変MAなので大型だが、宇宙空間での機動性は高い。MA形態時にはモビルスーツ(MS)時の左腕部のシールドに装着されているモノアイがメインカメラに、両脚がクローアームになる。コクピットはMS形態時の胸部にあり、MA形態時には上半身がスカート内後部に90°右向きで収納されるため、パイロットはスカートの下部から出入りすることになる。

資料によっては、本機は旧ジオン軍MAグラブロをベースに開発されているという[2]

グレーの機体が試作1号機[3]、赤の機体が2号機、黄色(後述)が3号機であるとされている[4]

劇中での活躍
赤の機体にロザミア・バダムが搭乗した。
その後、ロザミアのサイコガンダムMk-IIに随伴して、グレーの機体が登場。こちらは複座式で、ゲーツ・キャパローレン・ナカモトが搭乗した。グレーの機体はMA形態のみで運用されている。
最後に赤の機体が再登場し、ジェリド・メサが搭乗した。彼は強化人間でも完全なニュータイプでもないが、特に不具合が生じたという描写はない。
劇場版では赤のジェリド機のみが登場している。
Zガンダム42話で、ロザミアはスカート下部のコックピットから出てきたのだが、入る時はMS形態時に胸部のハッチから乗り込んでいる。内部でつながっているのか、コックピットが2箇所あるのかは不明。
耐ビームコーティングなどの設定が明記されているわけではないが、劇中では非常に高いビームへの防御力を見せており、『Zガンダム』第42話で、ロザミアの搭乗機(の主に肩部分)に百式のビームライフルが何発か直撃したにも関わらず、ほとんど無傷だった。ジェリド搭乗時にも、Ζガンダムの発射したビームライフルが直撃しても致命的なダメージにはならず、その衝撃で弾き飛ばされて爆沈中のラーディッシュに衝突したことで撃破されている(小説版では、装甲板に開いた隙間を直撃されて撃墜)。
ジェリドの搭乗について
小説版『機動戦士Ζガンダム』の設定によると、ジェリドはニュータイプ部隊に加入しており、バウンド・ドックもロザミアが乗っていた機体を受け継いだものである。しかしこうした説明は映像中には存在せず、小説以外の設定にも明確な記述はない。
アニメ中でジェリドのニュータイプ描写は少なく、当時の書籍でも一般兵用に改良されていたと推測されている[5]
黄色の3号機
黄色の機体のカラー設定画が複数の資料に掲載されているが、これは作中に登場していない。映像に反してこれをジェリド機として紹介している資料も存在し[6]、『SDガンダム G CENTURY』や、『スーパーロボット大戦』シリーズ、『Gジェネレーション』シリーズなど、2000年ごろまで幾つかのゲームにもジェリド機として登場している。『Gジェネレーション』の設定によるとこれは一般兵用の3号機で、一般兵では性能が発揮しきれなかっただろうとしている。
しかし、00年代以降はそれらのシリーズにも登場しなくなってきている[7]。現在は資料にも掲載されていない[8]
「ニュータイプ100%コレクション」では、この黄色の機体をゲーツ機としている[9]。プラモデル『1/300 サイコガンダムMk-II』の箱に随伴機として描かれているのも黄色の機体である。
古い資料にカラー設定画が掲載されているのは黄色と赤のみで、グレーのカラー設定画は後年になって描かれたものしか確認できず、古い資料には掲載されていないか、映像の写真をそのままゲーツ機として掲載している。
デザイン
デザインは小林誠が担当。オリジナル作品『ドラゴンズヘブン』等に登場する、スカートがホバー走行装置になっているメカ「ガンプ」が基になっており、それに脚を付けたようなスタイルをしている。この経緯から『Gの伝説』などの小林のガンダム漫画作品中では脚の無いガンプの外観で描かれている。
なお、『B-CLUB』では小林自らグラブロの両腕を脚部とした模型作例を掲載しており、それに準じたイラストが添えられている。

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アモン・ドッグ

漫画『機動戦士ゼータガンダム1/2』に登場する可変型MA。

ティターンズの月面の拠点で開発された機体で、2機のバウンド・ドックがスカート部で上下互い違いに接続されている。本来の脚部はクローアームとして側面に露出しており、クローアームと左腕にメガ粒子砲が各1門、計4門追加されている。

また、搭載されたサイコミュと搭乗者を連動させることで、予測した状況の推移に応じた対処法の選択や結末を搭乗者に直接伝達するシステムを有している。これは、戦場に漂う死者の精神をサイコミュシステムに取り込ませ、ナビゲーションとしての役割を持たせるものであり、死者の数だけ取り込むことが可能となっている。

当機について描写のある「エドガー・エドモンド・スミスの日記」によれば、バウンド・ドックがニュータイプ用試作機として開発したにもかかわらず、とりたてて内蔵武器を持たない点や、MA状態での機体防御面での脆弱性を否めない点から用兵思想が見え難い兵器であることを指摘しており、当機こそが本来の完成形であるものと仮説を立てているが真偽のほどは不明。

なお、本機の名称は作中での表記はアモン・ドッで統一されている。単行本での機体解説では原型となったバウンド・ドックについてもバウンド・ドッとされており、これらが誤字か意図のある変更かは不明である。

劇中での活躍
強化人間であるウォルナックが搭乗。サイコミュによる予測システムを「死者の魂との会話」と称しており、より多くのナビゲーションを増やすため、敵味方問わず殺戮をくりかえしたが、宇宙世紀0088年頃の月面宙域において、エゥーゴのエドガー・エドモンド・スミスと交戦し撃墜されている。

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ムットゥー

テンプレート:機動兵器 アニメ『∀ガンダム』に登場する可変MS。

ディアナ・カウンターのゼノア隊が地球のロスト・マウンテンから発掘したMSで、バウンド・ドックに似た形状をしている。ただし、両腕がマニピュレーターで左右対称となっており、変形機構や、全体的な形状は異なっている。上半身・下半身どちらかだけを変形させた状態でも運用できる。ヒートサーベル兼用ビームライフルが装備されている[10]。高性能な推進装置を持ち、大気圏内での運用を目的としていた。発掘後はディアナ・カウンターによってMRC-F31の型式番号を与えられ運用された。

なお、「ムットゥー」とはフィル・アッカマン少佐が付けた名前だが、兵には不評だったようだ。元々の名称は不明で、J-2126という型式番号のみが判明している。

基本フレームにはフラット等と同じスパイン・コンセプト・フレームを用いて、構造的に簡略化された、故障率の低い変形機構を実現している[11]

旧型番の "J" は "JUPITER" を示し、本来は木星大気圏上層部での運用を想定された機体である[12]。 MA形態時、Iフィールドによって機体外部に開放型ラムジェットを形成し、木星大気を燃料に一撃離脱戦法を取る可変戦闘機だった。木星の重力に捕まらないほどの大推力を誇るが、やや機動性に欠ける。劇中では状態が完璧ではなく、飛行は可能だったがラムジェット機能は回復していなかった。

劇中では∀ガンダムのハイパーハンマーに足を取られ振り回されたりなど、やられ役を演じており、目立った戦績はない。後にターンXとの戦闘に参加している。

『∀ガンダム』企画段階ではバウンド・ドックそのものが登場予定だった。ボンボン版コミックでは、準備稿を元に執筆されている関係からか、バウンド・ドックがロストマウンテンで発掘されている。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:宇宙世紀

テンプレート:∀ガンダム
  1. 「九尾犬」「弾犬」など。
  2. ラポート『RAPPORT DELUXE 12 機動戦士Ζガンダム大事典』71頁。
  3. 角川書店『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』49頁。
  4. 『Gジェネレーション』シリーズの設定など。『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』22頁に、赤の機体をNRX-055-2、黄色の機体をNRX-055-3とした記述がある。メディアワークスの『MS大全集』において、1998年刊行の『MS大全集98』31頁において、それぞれの型式番号をNRX-055-1、NRX-055-2、NRX-055-3としている。
  5. 『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』88頁。
  6. メディアワークス『データコレクション4 機動戦士Zガンダム 上巻』37頁。
  7. 2006年の『Gジェネレーション・ポータブル』には登場するが、これは『GジェネレーションF』から流用されたものである。
  8. 『MS大全集2013』には黄色の画稿は掲載されていない。
  9. 『メカニカル編 2』49頁。同頁中で映像中のグレーのゲーツ機も紹介しており、完全に矛盾している。
  10. グリップ部分が回転し、ヒートサーベルとビームライフルを切り替える。
  11. 『∀ガンダム全記録集2』56頁。
  12. 『ニュータイプ100%コレクション41 ∀ガンダムVol.2』31頁および『電撃データコレクション20 ∀ガンダム』50頁。