ハマゴウ

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テンプレート:生物分類表 テンプレート:Sister ハマゴウ(浜栲、Vitex rotundifolia)はハマゴウ属常緑小低木で砂浜などに生育する海浜植物。別名ハマハイハマボウアオイ科にもハマボウがある)。

特徴

は地面を這い、半ば砂に埋もれて伸びる。は4稜があり、直立または斜上し、高さは30-70cmになる。はふつう単葉で、まれに3出複葉になるものもあり、対生する。葉身は楕円形から広卵形で、長さ3-6cm、幅2-4cm、縁は全縁、裏面は白い毛で被われる。葉柄は長さ5-10mmになる。

花期は7-9月。枝先に円錐花序をつけ、芳香のある青紫色のをつける。は長さ3-4mmの鐘形で5歯がある。花冠は長さ12-16mmになる漏斗状で、5裂し唇形になり、下部の裂片が他の裂片よりはるかに大きい。雄蕊は4個、花柱は1本で花冠を突き抜け、柱頭が2裂する。果実は球形の核果で、水に浮き海流に流される。 

分布と生育環境

日本では、本州、四国、九州、琉球に分布し、海岸の砂浜に群生する。内陸の淡水湖である琵琶湖沿岸にも生育する。世界では、中国、朝鮮、東南アジア、ポリネシア、オーストラリアに分布する。

砂が吹き飛ばされて何mも横に伸びた茎が露出する場合もある。砂に埋もれても負けずに伸びるのは海浜植物として重要な適応である。

利用

果実は蔓荊子(マンケイシ)と呼ばれる生薬で鎮痛、鎮静、消炎作用がある。蔓荊子散などの漢方薬に配合される。

全体にユーカリの葉に似た芳香があり、古くは香として用いられたため「浜香」と呼ばれたといい、また「浜這」の意ともいう。

ギャラリー

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近縁種

南西諸島にはよく似たミツバハマゴウが普通。形態的にはよく似ているが、海岸ではなく内陸のひなたにはえ、低木状になる。

参考文献

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』(1989年)平凡社
  • 茂木透、太田和夫他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物) 山溪ハンディ図鑑5』(2001年)山と溪谷社
  • 中西弘樹著『海から来た植物 -黒潮が運んだ花たち-』(2008年