ダイキン工業

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ダイキン工業のネオンサイン(JR新大阪駅近く)

ダイキン工業株式会社(ダイキンこうぎょう、DAIKIN INDUSTRIES, Ltd.)は、大阪府大阪市北区中崎西に本社を置く空調機、化学品の大手メーカーである。略称は「ダイキン」。2010年の空調事業の売上高が約9400億円の、米キヤリア(コネティカット州)を抜いて世界一の企業である。 また、フッ素化学でも世界屈指のシェアを持つ。

概要・歴史

創業者の山田晁により、1924年大正13年)10月25日に合資会社 大阪金属工業所として創業される。1934年昭和9年)2月11日、大阪金属工業株式会社として改組・設立。当時の主な製品は内燃機関、精密機械、航空機部品などであった。戦前の1936年(昭和11年)には南海鉄道(現・南海電気鉄道)向けに日本初の鉄道車両用の冷房ユニットを製造している。また、第二次世界大戦中にはイ号潜水艦の空調設備も手掛けていた。当時の潜水艦において、冷房装置の装備は画期的であり、南太平洋での長期作戦行動を可能とした一因である。

1963年(昭和38年)に社名を「大阪金属工業」から(だい)と(きん)を取ったダイキン工業に改名する。空調・冷凍機が主力だが、フッ素化学製品の分野でも、米・デュポン社に次いで世界第2位のシェアを誇る。また、空調機器と冷媒の双方を自社で開発することができる世界で唯一の空調機器メーカーとしても知られている。

元々はビルなどの業務用空調設備を得意とし、現在も圧倒的なトップシェアを誇っている。また、家庭用ルームエアコンでは日本国内シェアトップのパナソニックに次いで2位。これは、冬季の加湿機能と夏季の除湿機能を併せ持つルームエアコン「うるるとさらら」がヒットしたことに加え、競合する家電メーカーのような系列販売店網を持たないゆえ、販売力の強い大手家電量販店チェーンへ積極的に販路を開拓したことが功を奏したものと思われる。

また1972年(昭和47年)には、欧州現地法人として「ダイキンヨーロッパ」を設立、その後アジア・オセアニア、北米・中南米にも生産・販売拠点を設け世界的に事業を広げている。海外ではダイキンブランドの確立に成功し高級の証として認識されている。

2006年平成18年)5月、大手空調メーカーのOYLインダストリーズ(マレーシア)を買収。買収後は売上高1兆円を突破し、経常利益も1000億円超を見込んでいる。相互の得意技術の補完とOYLの持つアメリカ販売網(OYL傘下で、業務用空調で世界4位のマッケイ・インターナショナルが中心)を利用してアメリカでの空調事業へ再進出。さらに2012年(平成24年)には、アメリカの住宅用空調大手のグッドマン・グローバルを買収し、北米市場でのシェア拡大に向け積極的にM&Aを仕掛けている。

かつては、住友金属工業(現:新日鐵住金)が株主であり、住友グループ広報委員会にも参加、住友グループの一員として活動してきたが、現在は広報委員会から離脱し金融機関が発行済み株式の多くを握り、住友金属工業から資本独立した。しかし、主要株主に三井住友銀行住友生命保険などが入ることで辛うじて住友グループとのつながりを維持している。また古くからの取引先でもあったパナソニックとの資本関係についても継続中である。

1980年代前半まで、カタログや製品の銘板に「エコン」ではなく「エコン」と記述していたことがあった。

2008年11月11日に環境省からエコファースト企業として認定。 環境省には2010年度までに生産時の温室効果ガスのグループ総排出量を二酸化炭素換算で140万トン以下(2005年度比で50%以上)に削減することや国内のフッ素化学工場におけるHFCおよびPFC排出量を2010年度までに2005年度比90%以上の削減となる15万トン以下にすることなどを約束した。 国内のみならず消費電力削減効果の高いインバータ商品を、中国市場ではインバーター機を、中国や北米、欧州ではハイブリッド油圧商品を普及させることも併せて約束した。

体感型ショールーム「フーハ」を、東京(新宿NSビル)と大阪(グランフロント大阪)に展開している。

主な生産拠点と品目

  • 堺製作所 金岡工場(堺市北区)、業務用エアコン
  • 堺製作所 臨海工場(堺市西区)、業務用エアコン・圧縮機
  • 滋賀製作所(草津市)、家庭用エアコン・業務用エアコン
  • 淀川製作所(摂津市)、フッ素化学製品・油圧機器・砲弾・誘導弾用弾頭・航空機部品
  • 鹿島製作所(神栖市)、フッ素化学製品
  • 上海大金空調有限公司(中華人民共和国 上海市)、家庭用エアコン・業務用エアコン
  • 大金機電設備(蘇州)有限公司(中華人民共和国 蘇州市)、圧縮機
  • ダイキン インダストリーズ タイランド(タイ王国 チョンブリー県)、家庭用エアコン・業務用エアコン
  • ダイキン コンプレッサー インダストリーズ(タイ王国 ラヨーン県)、圧縮機
  • ダイキン ヨーロッパ N.V.(ベルギー オーステンデ)、家庭用エアコン・業務用エアコン
  • ダイキン インダストリーズ チェコ(チェコ共和国 ピルゼン)、家庭用エアコン
  • ダイキン デバイス チェコ(チェコ共和国 ブルノ)、圧縮機
  • ダイキンアメリカ(アメリカ合衆国 アラバマ州) - フッ素化学製品
  • ダイキンケミカルフランス(フランス共和国 リヨン) - フッ素ゴム製品

関連会社

  • ダイキンHVACソリューション北海道
  • ダイキンHVACソリューション東北
  • ダイキンHVACソリューション北陸
  • ダイキンHVACソリューション新潟
  • ダイキンHVACソリューション東京
  • ダイキンHVACソリューション東海
  • ダイキンHVACソリューション近畿
  • ダイキンHVACソリューション中四国
  • ダイキンHVACソリューション九州
  • ダイキンHVACソリューション沖縄
  • ダイキンエアテクノ
  • ダイキンアプライドシステムズ
  • ダイキンファシリティーズ
  • ダイキンサンライズ摂津(障害者雇用特例子会社
  • ダイキンレクザムエレクトロニクス(レクザム(旧:隆祥産業)との合弁)
  • 大金空調香港有限公司
  • サイアムダイキンセールスリミテッド(タイ)
  • ACEダイキンPTEリミテッド(シンガポール)
  • ダイキンイタリアS.P.A
  • ダイキンフランスS.A.
  • ダイキンドイツ
  • ダイキンユーエスINC
  • ダイキンアルゼンティーナ
  • ダイキンアメリカ
  • ダイキントレーディング

なお、一時期、ダイキンが住友金属から買収して子会社化していたイズミフードマシナリについては保有株を全て放出、現在同社は住友重機械の子会社である新日本造機の完全子会社となっている。また、2009年(平成21年)秋にも日本板硝子から空調用フィルターのトップメーカー・日本無機(元日立化成子会社)を買収した。

主な製品

空調製品

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  • 業務用スカイエアECO ZEAS 80、ZEAS、ニュー・スカイエア、ホッとエコZEAS
  • ビル用マルチパッケージエアコン(Ve-up
  • 更新用個別運転マルチエアコン(Ve-upQ
  • 設備用パッケージエアコン
  • ガスヒートポンプエアコン[1]ヤンマーエネルギーシステムにもOEM供給されている)
  • 家庭用ルームエアコン(「うるるとさらら」)
  • エコキュート(家庭用/業務用)
  • 住宅用ヒートポンプ式温水床暖房(「ホッとく~る」、「ホッとエコフロア」)
  • 遠赤外線暖房機(「セラムヒート」)(家庭用/業務用)
  • 暖房専用機(「暖全ヒート」)
  • ストリーマ放電式空気清浄機(「光クリエール」)
  • 除加湿清浄機(「クリアフォース」)
  • 中低温用エアコン
  • 電算機室用エアコン

特品冷熱製品

  • 海上コンテナ用冷凍冷蔵装置
  • 船舶用エアコン

化学関連

  • フッ素樹脂・加工品
  • フッ素ゴム
  • フッ素離型剤 ダイフリー(DAIFREE)
  • フルオロカーボンガス
  • フッ素系撥水・撥油剤
  • フッ素系機能剤
  • フッ素系高機能塗料

油圧関連機器

  • ハイブリッド冷却機器(オイルコンAKZ/AKZJ/AKZCシリーズ、チラーAKZWシリーズ、等々)
  • ハイブリッド油圧機器(エコリッチEHUシリーズ、スーパーエコリッチEHU-Sシリーズ、スーパーユニットSUTシリーズ、等々)
  • ハイドロメカ油圧機器
  • 建機車両用油圧機器

特機

航空機部品

防衛省向け

  • 96式40mm自動てき弾銃擲弾
  • 06式小銃てき弾
  • 120mm戦車砲弾
  • 105mm戦車砲弾
  • 84mm無反動砲弾
  • 81mm迫撃砲弾
  • 120mm迫撃砲弾
  • 155mmりゅう弾砲弾
  • 50口径5インチ砲弾薬包(127mm速射砲弾)
  • 62口径76mm砲弾薬包(76mm速射砲弾)

電子システム

  • SpaceFinder

ダイキン空調技術訓練校

ダイキン空調技術訓練校は現場に適応した講座内容で時代の変化に対応できる空調技術者の養成を目指して開校している。東京校と大阪校の2校あり、東京校は、茨城県つくば市のダイキン工業株式会社つくば研修所で短期課程施工コース、サービスコース、設備設計コース、大阪校は大阪府堺市のダイキン工業株式会社大阪研修所金岡スクールで、開講コースは短期課程施工コース、サービスコースを実施。

入校資格は、ダイキン東日本EI技能向上協会か西日本EI技能向上協会のいずれかの協会に加入の事業所従業員で、高等学校の卒業またはこれと同等以上の学力を有する者。なお、東京校のサービスコースはダイキン定例講習会の指定コース受講済者が該当。

不祥事

  • 1988年(昭和63年)にフッ素化学製品に関わるココム(対共産圏輸出統制委員会)規制違反事件が明らかになった。
  • 1999年(平成11年)から2008年(平成20年)の10年間に亘り、同社のサービス本部とサービス関連子会社に於いて、売上高の前倒し計上などの不適切な会計処理が繰り返し行われ、利益33億円の虚偽記載が行われていたことが、2009年(平成21年)4月10日に発覚した[2]。これを受け同社は4月30日に、、不正会計に直接関わった子会社社長役員ら計27人について、5人を解任、2人を諭旨退職、他にも出勤停止や減給などの処分とした[3]

イメージキャラクター

マスコットキャラクター

提供番組

その他

  • 国内工場だけでなく海外工場においても、地域貢献として盆踊りを催す。企画・運営は従業員が行う。

脚注

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関連項目

外部リンク


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  1. アイシン精機との共同開発品で室内機はダイキンが担当し、室外機はアイシンが担当。
  2. ダイキン10年間不適切会計処理、利益33億円虚偽記載 産経新聞 2009年4月10日
  3. 10年に及ぶ不正会計で5人を解任 ダイキン、当時の本部長ら 産経新聞 2009年4月30日