ジャップ

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テンプレート:Otheruseslist テンプレート:差別的 ジャップ英語 : Jap)は、日本人および日系人を指す略称蔑称または差別用語

ファイル:JAPS QUIT.jpg
「JAPS QUIT(ジャップ、降伏)」の見出しがついた現地紙の号外を見せるアメリカ兵1945年フランスにて)

概要

古くは万延年間の江戸幕府の遣米使節に関する新聞報道にもこの表現が現れ、元来は単なるJapaneseの短縮形であり、蔑称ではなかった。しかし1900年にロンドンに留学中の夏目漱石が"Jap"と呼ばれて失敬と受け取る記述があり(倫敦消息)、当時すでに蔑称と認識されていたことがわかる。米国でも明治以後、日本人移民の増加とともに現地住民との摩擦が生じ、1930年代の日系移民排斥の風潮とともに蔑称の意味合いが強くなり、第二次世界大戦当時には反日プロパガンダに盛んに使用されたため、蔑称として定着した。[1] [2][3]

なお、「金持ちのユダヤ人の若者」を指す侮蔑語として同じ表記のJapがあり、これはJewish American Princeses/Princeの頭文字による[4]。また、JapのほかにNip,nip(Nipponの略)がある[4]。ほか、戦時中はTojo(東条英機)も日本軍の総称蔑称として使われた[4]

日本国の公式表記

国名コード言語コードなどに於ける Japan の公的な短縮形は JPN または JP が用いられる事が一般的である。過去に複数の日本人陸上競技選手の代理人を務める Caroline Feith がホームページ上で担当している日本人選手の国籍をJAPと表記していたが、現在は表記をJPNに変えている。[5]

ネット上などでは単に Japan(日本)や Japanese(日本人・日本の・日本語)の略称としての用例が見られるが、公式に使用されることはない。

差別語・侮蔑語ではない使用例

香港シンガポールブラジルなどの一部の国では、侮蔑語としての認識を持たずに Jap や Japs が用いられる事が有り[6][7] 、また、世界的に侮蔑語として Jap (日本) や Japs (日本人) を使い分ける人達や、または、Jap (一人の日本人) や Japs (複数の日本人) とした使い分けをする人達が出現し、使用された Jap や Japs が侮蔑を含まない略称として用いているのか、侮蔑を込めているのか、または、どう言う意味合いで使用しているのか?の区別が曖昧になりつつある傾向も伺える。

IRC(インターネットのチャットの一種)や、オンラインゲームなどでも、侮蔑語としての認識を持たずに「日本の〜」を意味する形容詞として Jap や Japs を使うことがしばしばある。Japanimation (Japan+animation) などは Jap ではなく Japan との造語。

日本人や日系人がこの単語を用いる場合、多くは自嘲・自虐的な意味合いを含むことになる。高田賢三デザインによるファッションブランドの一つ「ジャングル・ジャップ」、また1981年つのだ☆ひろが結成したバンド名「ジャップスギャップス 」、赤坂泰彦を中心に活動していたバンド名「東京JAP」などのように、蔑称であることを知りつつ自社ブランドの名称として使用したり、あえて積極的に Jap を用いることによって「Jap は侮蔑語ではない」という意思表示をする例もみられる。

事例

アメリカにおける使用例

韓国における使用例

  • 安貞桓 - 公式ホームページで「日本語版」のURLを"jap"と略記。後に認識不足であったとしてスタッフが謝罪。

北朝鮮代表の発言

2003年11月4日に行われた国連総会の本会議で、日本国代表が朝鮮民主主義人民共和国 (DPRK) を指して「North Korea」(北朝鮮)と呼び続けていたため(日本国政府が北朝鮮を国家として承認していないことによる)、それに抗議を示すものとして、北朝鮮代表の次席大使が、日本を「Jap」と呼んだ事から、日本の次席大使が北朝鮮を非難し、本会議という公式の場で蔑称を用いて侮辱することに対して、国連からも非難を浴びた。

オーストラリアにおける使用例

Jap という語はアメリカのみにおいて蔑称として使われていると思われがちであるが、同じ英語圏のオーストラリアにおいても蔑称として使われる事例がある。近年、オーストラリアは捕鯨問題をめぐって日本を特に強く非難している国のひとつであり、オーストラリアにおける反捕鯨運動の盛り上がりに便乗する形で挑発的なスローガンで知られるケアンズのレンタカー会社「Wicked Campers」がキャンピング・カーに「SAVE A WHALE, HARPOON A JAP」(クジラを救え、ジャップ(一匹)に銛を打ち込め)という反捕鯨スローガンを掲げるということが起きた[8]。 また、捕鯨問題に関わる新聞報道に於いて、Daily Telegraph紙の2008年02月21日オンライン版では「Japs turn backs on slaughter」(ジャップどもは虐殺者に戻った)と言う見出しの記事を掲載したが[9]、後に「Japanese turn backs on whaling」(日本人は捕鯨を再開した) と修正された。[10]

ただし、オーストラリア国内においても単にジャパニーズの省略形でJapを使う場合が多く(例、Jap Pumpkinが単に日本カボチャの意で使われている)、Japが必ずしも蔑称として使われている訳ではない事には留意したい[11]
オーストラリアは世界的に有名な白豪主義の国と知られていたが、移民受け入れの都合などから1960年代には白豪主義自体を撤廃している。

ドイツ・ポーランドにおける使用例

ドイツ語版およびポーランド語版ウィキペディアにおいて、日本語の略称はすべてjapと表記されている。(参照:JapanJaponia

ニップ

ジャップと類似の蔑称として、Nippon(日本)を略した「ニップ」(英語: Nip)がある。 普及度は低いものの、Nippon(日本)、Nipponese(日本人)などの単語は英語単語として存在しており、戦中にはジャップと同様に侮蔑語として Nip(Nippon の略)や Nips(Nipponese の略)が使用された。[12] 尚、侮蔑の度合いはジャップの方が上であった。[13] 現在ではイギリスなどで日系人を侮蔑する場合や、または海外に於いて日本信奉者とも見える様な日本アニメファンなどの日本マニアに向けた侮蔑語として、Nips や Nipponese が用いられる事がある。

また、国名を現地語で表現する場合が有るが、その際の Nippon の略称は NIP を避けて NPN とされている。

事例

2006年10月、イングランド・サマセットのセント・メアリー教会のマイケル・ウィシャート牧師が、教区回報のコラムで、秋の朝の空気に冷たさを感じるという意味で「a little nip in the air」という表現を使用し(nipは「冷たいもの」と「日本人」の両方を意味する)、さらに続けて「Which is what they said when they hanged the Japanese criminal!(まるで日本人犯罪者を縛り首にした時の光景さながら)」と記した。ウィシャート牧師はこの文について冗談と主張したが、人種差別との批判が、サマセットの人種差別撲滅団体からなされた[14]

その他

  • ジャップ・ミカド - アメリカの独立巡業プロ野球チームで日本人選手につけられたニックネーム→三神吾朗
  • 新谷かおるのマンガ『バランサー[15]は、当初日本人傭兵が主人公であることから「ジャップ」という題名であったが、編集部によって途中から変更された。

脚注

  1. With kind permission from Gil Asakawa - published 18-Jul-2004
  2. 国語大辞典(新装版)小学館 1988
  3. 松村劭著『新・戦争学』ISBN4-16-660117-2
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 [1] 苅部恒徳「英語差別用語の基礎的研究(2)人種差別用語 Jap(s)を中心に一」、新潟国際情報大学情報文化学部紀要
  5. http://www.athleticsmanagers.com/c_feith.html
  6. Power up with Jap lunch, The New Paper, 18 May 2006
  7. http://www.cuhk.edu.hk/jas/deptinfo/deptinfo.htm
  8. レンタカーに反日スローガン「日本人に銛を打ち込め」、豪州 2008年07月18日AFP通信 尚、Wicked Campersは過去にも性差別的なスローガンを掲げた「常習犯」である。
  9. Daily Telegraph紙 2008年02月21日オンライン版魚拓
  10. Daily Telegraph紙 2008年02月21日オンライン版
  11. 『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』新潮社、柳沢有起夫 、2009年、ISBN 9784101370514 212-214頁
  12. プログレッシブ英和中辞典 第3版 小学館 1980,1987,1998
  13. Wartime: Understanding and Behavior in the Second World War. Oxford University Press. 1989. pp. 352. ISBN 978-0195065770
  14. [2]
  15. 週刊少年サンデー』1985年43号 - 1986年21号掲載

関連項目