シヴィライゼーション

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テンプレート:コンピュータゲームシリーズシヴィライゼーション』(Civilization) は、文明モチーフとしたターン制シミュレーションゲーム(ストラテジーゲーム)である。ここでは派生版、オープンソースのクローンも合わせて記述する。

概要

人類文明の歴史と発展をテーマにしたターンベースのストラテジーゲームである。一手一手をプレイヤーが、じっくりと考えてゲームを進めることができる。ゲーム内容は、いわゆる戦争ゲームではなく、文明の発展や人類史そのものを扱っている。そのためゲーム内容は広範で、国土の整備や技術開発、そして何より他国との外交関係が、極めて重要な要素となる。単純に数値の大きさや強さのみを求めるのではなく、ゲーム内で有機的に繰り広げられる国際秩序を注視し、常に一手先を読んだ総合戦略が求められる。

1991年マイクロプローズ社より発売された Sid Meier's Civilization のシリーズが有名だが、それ以外にも複数のメーカーから多数の Civilization の名を冠する作品が発売されている。2011年3月現在では、全世界で累計1000万本以上が販売されている[1]

シリーズとシド・マイヤーの関わり

シリーズのタイトルに冠されているシド・マイヤー (Sid Meier) の名前だが、彼が実際に制作に関わったのは初代Civilizationと2008年に家庭用ゲーム機向きに展開されたCivilization Revolutionの2作のみである。Civilization II以降の作品では、監修のみを担当し、実際の制作には関わっていない。しかし、主にマーケティング上の理由により彼の名前が冠されている。海外ゲーム情報が乏しかった1990年代日本では、このような事情がほとんど伝わらず、シリーズ全てを実際にシド・マイヤー本人が制作していると勘違いされることも多かった。

シリーズ第2作のCivilization IIや、外伝のアルファケンタウリを担当したテンプレート:仮リンクは、後に独立しテンプレート:仮リンクRise of Nationsを担当。また、シリーズ第4作のCivilization IVを担当したテンプレート:仮リンクは、その後、エレクトロニックアーツウィル・ライトの新作Sporeの制作に携わっている。

プラットフォーム

初代Civilizationは、MS-DOSベースのIBM互換機向けに発売された。以後、Windows3.1に対応したCivilization II、Windows95以降の環境に対応したアルファケンタウリとCivilization III。Civilization IVおよび最新作であるCivilization Vは、Windows XP以降の環境に対応するなど、主にパソコン用ゲームとして開発販売されている。

日本国内では98版が1992年に発売、その後WindowsMacintoshや各種ゲーム機用に日本語版が発売されている。

2009年に各種プラットホーム向けに発売されたCivilization Revolutionは、翌年ニンテンドーDS用のものがiPhone/iPad用に移植された。

また、有志によりオープンソースで開発されているFreeCivなどのクローンも存在する。

特徴

シヴィライゼーションは、もともと一人用のゲームである。後に多人数対戦用のCivNetが発売され、続編には当初からその機能が組み込まれている。プレイヤーは、ある文明の支配者として、1つか2つの植民者 (Settler) ユニットから帝国の建設を始める(IIIでは、労働者 (Worker) ユニットも与えられる)。2つから6つの競争相手となる文明を設定することができる。ゲームはターン制であり、細かく行動を決めていく必要がある。紀元前4000年からゲームは始まり、21世紀にゲームは終了する。その間にユニットを使い、新しい都市を作り、大地を均し、鉱山を開発し、道、そして後には鉄道を建設することができる。

探検戦争外交の3つは重要な戦略ではあるが、より細かい戦略も重視される。どの都市でどのユニットを生産し、どこに新しい都市を作るか、それにどのように最大の発展をするために都市の周囲を開発していくかもプレイヤーの手にゆだねられる。時にはバーバリアンと呼ばれるどの文明にも属さないユニットが都市を襲撃することもある(バーバリアンは、全ての土地が発見された後には登場しない)。

ゲームを始める前に、どの文明を選ぶか決める。それぞれの文明には得意、不得手とする分野があるが、文明の真価はプレイヤーではなく、コンピューターが動かす時により強く発揮され、文明ごとに戦略方針が変わってくることに表れる。例えばアステカ文明は、強硬な拡張主義を取り、外交より戦争を好む。他に、アメリカモンゴルローマ等の文明を選択することができ、それぞれの文明を代表する歴史的指導者によって指揮される。

時代が進むにつれ、新しい技術が開発される。序盤は、陶芸車輪、それに文字といった技術しか開発できないが、終盤には核技術や宇宙飛行なども開発できるようになる。最初に有効な技術を手に入れることは大きな優位をもたらす。技術の開発により、新しいユニットの生産や都市を発展させる技術の利用、それにその技術から派生する新たな技術の開発ができるようになる。新しい技術はそれまでに獲得された1つ、または複数の技術の組み合わせを元に達成される。車輪の技術を開発する事によりチャリオット・ユニットを生産できるようになり、陶芸の開発終了により、貯蔵用陶器を手に入れたことで穀物貯蔵所を利用できる。このように技術を開発するごとにさらに他の技術が開発できるようになることを、枝分かれする木に例え「テクノロジーツリー」と呼ぶことがある。これ以後、他のゲームでもこのアイデアは利用された(テクノロジー・ツリーのアイデアは最初イギリスで発表され、アメリカではアバロン・ヒル社から発売された同題の多人数ボードゲームに由来する)。

プレイヤーの最終的な目的は武力による征服だけではない。宇宙船を開発し、最初にほかの惑星(アルファ・ケンタウリ)に移住できるかを競うこともできる。国連事務総長選挙で勝てば平和的勝利となる。シリーズが進むにつれ、文化勝利、経済的勝利というルールも追加された。これらは新しいゲームをスタートした時に勝利条件として設定され、いずれかを満たせばその時点で勝利したことになるし、期限までプレイを続けなくてもかまわない(その場合点数で順位がつけられる)。プレイヤーは様々な戦略、プレイスタイルでゲームに挑むことができる。

シリーズ

Civilization(文明の曙)

1982年アバロンヒルより発売。ボードゲーム。後にホビージャパンから『テンプレート:仮リンク』として日本語解説書つきで発売された。

Advanced Civilization(アドヴァンスト シヴィライゼーション 文明の曙)

1991年にアバロンヒルより発売。ボードゲーム。1995年テンプレート:仮リンク のタイトルでコンピューターゲーム化もされた。

Sid Meier's Civilization

1991年マイクロプローズより発売。ゲームデザイナーのシド・マイヤーによりデザインされた、最初のシヴィライゼーションである。誤解されることが多いが、上述したようにアバロン・ヒル社のボードゲームが存在するため、一連のゲームのオリジナルアイデアそのものはシド・マイヤーの発案ではない。ただし、シド・マイヤーは後のインタビューで「ボードゲームの話を聞いたことはあったが、ゲームデザインを始める前にプレイしたことはない」と語っている[2](ただし、ゲーム内容はボードゲーム版と驚くほど似通っている)。

1992年98版、1994年SFC版『シヴィライゼーション 世界七大文明』(アスミック)、1996年にはPS版・SS版『シヴィライゼーション新世界七大文明』(アスミック・エース エンタテインメント)も発売されている。

Sid Meier's Civilization II

1996年にマイクロプローズより発売。メディアクエストよりWindows3.1用の日本語版が発売されている。ゲームデザインは、テンプレート:仮リンクが担当し、本作よりシド・マイヤー自身は、直接の制作には関わっていない。ゲームは、マップがクォータービュー表示に変更されるなど、画面描写が大幅に改善された。さらにゲームバランスの改善、テクノロジーやユニットが大幅に追加されるなど、正統的な進化を遂げている。数百万本を売り上げる人気作となったが、マイクロプローズ社は当初、この作品にほとんど期待をかけておらず、あくまでも前作ファン向けのマイナー作品として扱っていたため、ゲーム発売前にほとんど販促プロモーションが行われなかったという、異例の販売経歴を持っている。 1998年にPS版『シヴィライゼーションII』 が、ヒューマンから発売されている。

拡張パック
  • Civilization II:Gold Edition
  • Civilization II:Test of Time

Civilization: Call to Power (CTP)

1999年アクティビジョンより発売。シド・マイヤーは関わっていない。アバロン・ヒルよりCivilizationに関するライセンスを受けたため、マイクロプロースとの裁判となった。裁判の結果、マイクロプロースよりライセンスを受けることになった。つまり、サブライセンス作品であり、シリーズ名を冠しているものの、公式にはCivillizationには含まれない。同年にサイバーフロントより日本語版が発売されている[3]。Linux版も存在する。

本家Civilizationと異なり、近未来の技術が大きく拡張されていた。例えば、海底や宇宙空間にも都市を作ることができた。奴隷商人を使ってライバル文明から人々を誘拐し自文明の生産力に割り当てることや、七不思議奴隷解放運動によって奴隷制度を無効化してライバル文明を陥れること、支店ユニットによってライバル文明の都市にフランチャイズして戦争をせずに生産力をライバル文明から詐取することや、それに対抗して弁護士で支店を提訴するという面白いアイデアが大量に導入された。エコテロリスト、エコレンジャーという環境保護を目的とした、ナノテクノロジーによるテロ活動を行うユニットも生産できるようになった。政治体制には、圧政、ファシズム神権政治多国籍企業(企業共同体)、テクノクラシー(技術至上主義)、サイバー民主主義、エコトピアが追加された。

また、ゲームシステム上の特徴として、「インフラ」の導入により土地改善の作業が大幅に軽減されたことや、交易品の導入により交易路の維持が経済戦略上の重要な鍵になったことが挙げられる。

今作では、地球外での勝利を求める場合の選択肢は、ワームホールを発見し、人工的に誕生させたエイリアンを別の宇宙に送り出すことである。

Call to Power II (CTP2)

2000年11月にアクティビジョンより発売。ライセンス問題を解決するため、Civillizationの冠は無くなっている。2001年にメディアクエストより日本語版が発売された。日本語版に関しては、移植元が変更されたことにより、前作でのような誤訳は無い。

概ね、前作のアレンジバージョンと言って良い。最終目的が前作CTPと異なり、地球外探査の概念が無く、地球のリソースを自由に操ることが出来る、ガイアコントローラの開発である(ちなみに、前作CTPでは、今作のガイアコントローラの概念に含まれる要素は、単なる技術ツリーや七不思議に含まれており、ある意味、目的が後退している)。

Sid Meier's Alpha Centauri (SMAC)

2000年エレクトロニック・アーツより発売。シド・マイヤーらが新たに設立したフィラクシス・ゲームズが開発元となっており、以降の作品も同社により開発されている。同年に日本語版も発売されている。

Civilizationの実質的な続編。シリーズの最終目標の一つである、アルファケンタウリへの植民後の世界を舞台とした作品で、各文明の指導者、技術ツリーなどがSF的な内容になっている。ゼロから様々なユニットを自由に設計できる柔軟なカスタマイズ性や国境線の導入に始まり、各勢力の首脳に強い個性が与えられ、外交に様々な選択肢が追加されるなど、後のシリーズ発展の基盤となる多くのアイデアが示されている。

ゲームデザインは、前作にあたるCivilization IIに引き続き、ブライアン・レイノルが担当。彼は、ゲーム内への数々の革新的要素を導入によって、その評価を不動の物としたが、続編にあたるCivilization IIIの開発中に開発メンバーと共にフィラクシス社を退社。テンプレート:仮リンク社を設立し、Rise of Nationsの開発を担当した。

拡張パック
  • Sid Meier's Alien Crossfire (SMAX)

Sid Meier's Civilization III

2001年インフォグラムより発売。最も大きな要素は、Windows95以降のWindowsプラットフォームへの正式対応で、加えてCivilizationIIやアルファケンタウリで示された、新要素の取り込みが主な変更点となっている。日本国外ではMac OS X版も発売されている。日本では、サイバーフロントより日本語版が発売され、全世界で300万本以上の売り上げを達成した[4]

拡張パック
  • Sid Meier's Civilization III:Play the World (PTW)
  • Sid Meier's Civilization III:Conquests (C3C)

Sid Meier's Civilization IV

2005年10月24日2K GamesよりWindows用のPCゲームとして発売。2006年6月にはMac OS X版も発売されている。また、同年6月17日にはサイバーフロントより日本語版が発売されている。2007年7月時点で、全世界で150万本以上の売り上げを達成している[5]。画面がフル3Dへと一新され、操作性が大幅に向上した。さらに、ゲームシステムが大きく変更され、従来作でプレイヤーの手を煩わせていた公害の除去や汚職の管理といった要素が削除され、プレイアビリティが高まった。また、AI指導者達の振る舞いも大きく改良された。

ゲームの発売から6年後、オープニングテーマ曲である『Baba Yetu』が、第53回グラミー賞の「Best Instrumental Arrangement Accompanying Vocalist」部門を受賞した[6]。作曲者のテンプレート:仮リンクが2010年に発売したアルバムに『Baba Yetu』が収録されていたことから改めて評価されたもので、ゲーム音楽としては史上初の受賞である。[6]

拡張パック
  • Sid Meier's Civilization IV:Warlords
  • Sid Meier's Civilization IV:Beyond the Sword

Sid Meier's Civilization Chronicles

2006年発売(英語版のみ)。“Sid Meier's Civilization”から“Civilization IV”までのセット(“Alpha Centauri”を除く)と、96ページに渡る小冊子 (Chronicles)、カードゲーム、ビデオDVD、ポスター、デスクトップ用の壁紙、MP3ファイル等のボーナスアイテムを加えたコレクター向けのボックスセットである。

Sid Meier's Civilization Revolution

2008年6月に2K Gamesより北米・欧州・豪州でPLAYSTATION 3Xbox 360で発売された、家庭用ゲーム機向けに開発された初めてのシヴィライゼーション。
インターネット対戦を前提とした設計だがシングルプレイも可能である。オンライン対戦は1ゲームのプレイ時間が平均3時間から平均1時間に短縮されている。
システムが他シリーズに比べて大幅に簡略化[7]されユニットの種類が少なく、小さめのMAP構成にくわえて都市には衛生度・幸福度・飢餓・交易路といった要素も存在しない上に破産もないため管理の手間(防衛等)さえ惜しまなければ都市をあちこちに建てることで大幅に優位にたてる。
一方で同じユニットを3つ重ねることで「軍団」に編成し直し攻撃力・防御力を3倍にするといった独自のシステムが搭載され下位ユニットでも軍団にすることで上位ユニット単体にも上回る強さを発揮する。[7]
2008年12月25日サイバーフロントよりPLAYSTATION 3・XBOX 360の日本語版が、翌2009年1月29日ニンテンドーDS版が発売された。ニンテンドーDS版はハード性能からMAP表示が2Dであったり、CPU文明が巨大化すると数十秒待たされる、またユニットが売却できないなどいくつか仕様が異なる。また、2010年1月14日に2K GamesよりiPhone・iPod Touch・iPad対応の日本語版が発売された。

Sid Meier's Civilization IV Colonization

2009年3月27日に2K Gamesより発売。1994年に発売されたSid Meier's Colonizationを、Civilization IVのゲームエンジンを使ってリメイクした作品である。Civilization IVの拡張パックではなく、独立した単体作品としてリリースされている。ゲームの舞台は、16世紀のアメリカ新大陸であり、イギリス、フランス、スペイン、オランダといった列強諸国による、新大陸への入植競争とアメリカ合衆国の独立をテーマとしている。

Sid Meier's Civilization V

2010年9月21日に2K Gamesより英語版が北米で、9月24日に欧州でそれぞれ発売された。日本語版の発売は、2010年10月29日となっている。Civilization IVから、さらなるグラフィック面での進化に加えて、プレイヤーが煩わしさを感じる要素を整理再編し、より快適なプレイを実現する方向へとデザインが指向されている。それに基づいてスタック制の廃止など戦争に関する多くの変更が導入されたが、一方で外交や経済政策は簡略化された。そのため、IVとのプレイ感覚の違いから賛否両論がある。拡張版として、2012年6月23日に「Sid Meier's Civilization V: Gods & Kings」が、2013年7月に「Sid Meier's Civilization V: Brave New World」がそれぞれ発売され、当初単純化されていたゲーム性はある程度複雑化されている。

Civilization World (CivWorld)

Facebook上でのブラウザゲームとして提供されているバージョン。2011年7月5日よりオープンβテストが開始されている。

Civilizationを模したクローンゲーム

Freeciv

テンプレート:Main FreecivはCivilizationを模したクローンゲームの一つ。GPLのソフトウェアとして開発されている。Windows、Mac OS X、Linux対応。

C-evo

C-evoはCivilizationを模したクローンゲームの一つ。パブリックドメインのソフトウェアとして開発されている。

FreeCol

FreeColはCivilizationを模したクローンゲームの一つ。GPLのソフトウェアとして開発されている。Windows、Mac OS X、Linux対応。

脚注

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外部リンク

  • テンプレート:Cite web
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  • サイバーフロントによる日本語版は、実在する史跡も含め、ゲーム中の名詞の誤訳が非常に多い。
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  • 6.0 6.1 テンプレート:Citeweb
  • 7.0 7.1 PCからコンシューマ機へ、革命的な変身! 海外ゲームレビュー「Civilization Revolution」