シルバー仮面

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テンプレート:基礎情報 テレビ番組シルバー仮面』(シルバーかめん)は、1971年(昭和46年)11月28日から1972年(昭和47年)5月21日まで、宣弘社日本現代企画の製作により、TBSで毎週日曜19:00 - 19:30(JST)のタケダアワーにて全26話が放送された特撮テレビ番組の題名、およびその劇中に登場する変身ヒーローの名称である。

当初は等身大ヒーローものとしてスタートしたが、第11話から巨大ヒーローものに路線変更され、作品タイトルも『シルバー仮面ジャイアント』に改められた。

ストーリー

光子ロケットの設計者・春日博士は、設計図を狙うチグリス星人によって殺害され、家も燃やされてしまう。そのさなか、博士の5人の遺児たちは父がロケットエンジンの設計図を何らかの方法で隠したことと、次男の光二にシルバー仮面に変身する能力(銀の力)を与えていたことを知る。

父の遺志を継いで光子ロケットを完成させることを決意した兄妹。光子ロケットを奪取して自らの宇宙制覇に利用しようとする、また人類の宇宙進出を脅威に感じて妨害しようと暗躍する様々な宇宙人と戦い、出会う人々の無理解や冷たい視線にも耐えながら、父の協力者たちに会うために日本各地を旅する。

そんな彼らの努力の甲斐あって、ついに光子ロケットは完成し宇宙へ飛び立つことになった。だが、その行先でサザン星人の襲撃に遭い、ロケットは破壊されてしまった。その時あふれ出た光子エネルギーを浴びたシルバー仮面は、シルバー仮面ジャイアントとなりサザン星人を倒した。こうして新たな力を得た春日兄妹は父の愛弟子・津山博士と共に新たなロケット開発と押し寄せてくる巨大宇宙人との戦いに情熱を燃やしてゆく。

概要

本作は、特撮映像制作会社・日本現代企画の制作した初の特撮テレビドラマである。同社は怪獣ブームが去った後に経営難となった円谷プロから分かれた多数のスタッフによって設立された会社で、自前の撮影スタジオを所有し新しい映像作品の製作を目指していた。

一方、前番組の『ガッツジュン』の不振を受けたTBSプロデューサーの橋本洋二と広告代理店宣弘社小林利雄は、当時社会現象となっていた「変身ブーム」のなか、実相寺昭雄監督を交え、新番組として本作を企画。かつて『ウルトラシリーズ』が放映された「タケダアワー」で放送されることとなった。

ストーリーは、「正義の目的を持ちながら世間から理解されず、冷たく迫害されながらも、父の遺した光子ロケットの完成を夢見て各地を放浪する春日5兄妹の葛藤」という設定を前面に押し出し、橋本プロデューサーの意向で『逃亡者』の設定を参考にした、アダルトタッチのドラマ作りが行なわれている[1]。事実TBSも、本作品のターゲットを小学校の高学年から中高生とコメントしていた[2]。シルバー仮面のキャラクターも地味で、派手な光線技や肉体技もなく、全体的に重いトーンの作劇が行われた。脚本家の一人である市川森一は後年、この作品について、「巨大な社会正義に押しつぶされそうになりつつも、懸命に生きる兄弟の姿を描きたかった」と語っている。橋本プロデューサーも「打倒ホーム・ドラマ」が企画意図にあったとし、リアルで硬質なドラマ作りが念頭に置かれていた。

スタッフは実相寺昭雄率いる「コダイグループ」が核となり、同グループの池谷仙克が宣弘社社長の小林によって招かれ、シルバー仮面と、すべての宇宙人のデザインを担当。企画当時のネーミングは、「21世紀鉄仮面」だったが、さすがに「大時代過ぎる」との意見で没となっている。こうして異色のヒーロードラマ、『シルバー仮面』は始動した。

主演の春日光二役は、橋本によって柴俊夫に決定。橋本は、当時「柴本」だった彼の芸名を、この番組で「柴俊夫」と改名させている。柴は当時、俳優というよりモデル業がメインだったが、橋本はこの起用によって、すでに決定していた「春日5兄弟」のキャスティングを、柴のイメージに合わせるために改めてオーディションを行い、松尾ジーナ以外の配役をし直す入れ込みようだった。しかし、この再配役は、下項のようにクランクインを大幅に遅らせた。

時代設定

テンプレート:独自研究 第6話でカーラジオから南沙織の歌が流れる、最終話でアンドロメダへの到達が30年後の2001年と表現される、といったことから、番組全体を通して、放送時と同じ1970年代初頭という時代設定がされていると推測できる。特に10話までは、番組中に登場する近未来的な科学技術は、そのほとんどが構想や実験の段階で実用化されておらず、こうした時代設定との整合性が保たれている。

だが11話以降では、惑星間航行や地球外惑星での基地建設も実現しているなど、宇宙開発に関しては当時はもとより、2010年代の現在より発達した状況が描かれている。

番組の展開

異例ずくめの第1話

1971年12月スタート予定だったが、キャスティングが遅れたこともあって、クランク・インが11月4日にずれこんでしまった。さらに突然、TBS側の事情で初回放映が11月28日に繰り上げられた。

このため、第1話は異例の短期間での制作が余儀なくされた。そうした中、劇中クライマックスのチグリス星人の炎上シーンが先行撮影されたが、チグリス星人に火薬を仕込んでの撮影で、着ぐるみの半分以上が燃え、溶けてしまった。この結果、チグリス星人のぬいぐるみが使い物にならなくなってしまった。このため、焼け残りが死骸の描写に使われたものの、その後のチグリス星人の描写は顔のアップだけで処理し、春日兄妹がスペクトルグラスで星人の正体を見破るシーンも暗いものとなってしまった。下段にあるような小林プロデューサーの発言を招いた第1話の画面の暗さは、これをごまかすため仕方なく採られた処置だった。池谷によると、難燃材を着込んで防火対策をしていたためチグリス星人の演技者に怪我はなかったというが、実相寺昭雄の『ウルトラマン誕生』(ちくま文庫)によると、演技者は火傷を負ってしまい、また撮影スタッフはその事に気づかず、熱さでのた打ち回るチグリス星人を迫真の演技だと思っていたとされており、池谷の証言と食い違っている。

また、この第1話は、タイトルが出るまで実に6分強ものプロローグが入るという異例の構成になっている。事情を知らないプロデューサー・宣伝陣の中には、いつまで経ってもOPテーマが流れないので「放送事故ではないのか?」と局に問い合わせをしようとした者さえいたという。またその後も予告編のテロップミスなどが生じてしまっている。しかし、実相寺監督は異例づくめの第1話の映像に対して強い拘りを持ち、本放送時にTBSの調整室に出向き、放映画像の輝度を明るく調整しないよう指示していた。

『ミラーマン』との視聴率競争

本作は、放映開始時から裏番組として同じ特撮ヒーロー番組である『ミラーマン』(フジテレビ)との視聴率競争が意図されていた作品である。奇しくも主役の春日光二を演じた柴俊夫は、『ミラーマン』のパイロット版でも主役を演じている。

『ミラーマン』は巨大ヒーロー番組であり、ミラーマンの放送開始日である放映第2話から視聴率は常に苦戦を強いられた。また、重いドラマ作りに加え、等身大で暗躍する宇宙人に代表される怪奇要素や、ストーリーの暗さ、異色の演出描写の数々が、ターゲット層である児童層からの支持を受けにくいものとなってしまったことが視聴率的な苦戦の一因とされている[3]。演出面についてプロデューサーの小林は後年の回顧で、第1話について「真っ暗で何も見えないわ、サイレンが鳴ってるわ、何が起こってるのか全く分からない。これでいいのかなと思った」と述べている。また、第9話「見知らぬ町に追われて」の回は、予告編からショッキングな映像を中心に構成し、結果的に全26話の中で最低の視聴率3.8%を記録している。

こうして、高いストーリー性を持ち込んだ本作のドラマ作りは、視聴率的な苦戦を呼んだため、第11話から、大胆な軌道修正が行われた[4][3]

巨大化ヒーローへの設定変更

かくて等身大ヒーロー番組だった『シルバー仮面』は、第11話から巨大化ヒーロー番組『シルバー仮面ジャイアント』と改題され、設定の多くが修正・変更されることとなる。オープニングも変更が加えられ、アバンタイトルの映像が春日光二の変身シーンに、主題歌の歌詞が1番から3番に、スタッフとキャストのテロップが横書きから縦書きになった。

それまでの基本設定だった春日兄弟の放浪と設計図探しは、第10話で春日博士がすでに完成させていた光子ロケットのエンジンが発見され、設計図をめぐる秘密は春日博士が兄妹たちに与えた試練だったという形で終了する。そして、主人公のシルバー仮面は第11話で大破した光子ロケットのエネルギーを浴びて巨大化し、以後は巨大ヒーローとして活躍する。また、ドラマ面では「人間ドラマを保つための苦肉の策」[5] として、春日兄妹の理解者・津山博士役で岸田森を登場させ、春日兄妹は津山博士の研究所に勤務して、光子ロケットの開発および侵略宇宙人との戦いを続けることになる。巨大化したあとでも、人類の宇宙開発への批判をおこなった話(18話、19話など)もあり、SF色のつよいハードなドラマづくりが行われた。津山博士の娘・リカは、退場した春日はるかに近い位置づけとなり、ひとみと光三の持つ保護者的なキャラクターは後半も活かされ続けた。

この「ジャイアント編」は、当時の「怪獣・変身ブーム」の追い風もあって視聴率も上昇。第2話から10話の平均視聴率が6.0%だったのに対し、第11話から26話の平均視聴率は8.8%である。第16話から18話まで3週連続で10%超えを果たした。また、テコ入れ初回の11話から『ミラーマン』の視聴率を常時20%割れの状態に追い込んでいる。

また、作劇的にも、『ミラーマン』ではヒーローのミラーマンが各話の後半にしか登場しない作劇だったのに対し、シルバー仮面は前半、後半ともに登場する工夫がなされた。この作劇は、当時の視聴者である子供達に「前半にシルバー仮面を観て、途中でチャンネルを変えてミラーマンを観る」という鑑賞方法を可能にした一方で、「ピーク時の視聴率は完全にミラーマンに圧倒されてしまう」という皮肉な事象を呼んだ。

巨大化設定になっても予算は等身大時と変わらず、特撮スタッフの苦労も多かった。このため、特撮監督の大木淳吉らは、多摩川など野外にミニチュアを組んでのオープン撮影を積極的に採り入れた映像作りを行っている。

コダイグループの撤退

しかし、「巨大ヒーロー番組」への突然の軌道修正は、番組意図そのものを根本的に変更破棄する結果となり、制作スタッフの反発を呼ぶこととなる。橋本プロデューサーや実相寺らによる「ウルトラマンに対抗した、全く新しいヒーロー」とのコンセプトによる「等身大ヒーロー」の設定は、「人間ドラマとの有機的なつながり」を重視し、リアルな世界観を創り出す狙いのもとに起こされたものであり、スタッフもこの「巨大なウルトラマンとは違うヒーロー」との点に強い意気込みとこだわりを持っていたからである。

この事態に、実相寺昭雄監督を中心とした「コダイグループ」が同番組から撤退。主に企画元の宣弘社が演出を引き継ぐ事になった。尤も「コダイグループ」のメンバーでは、池谷と大木淳が残った。池谷はこれについて、「投げ出しは避けたかったため、形だけは残ろうという気持ちだった」と語っており、「この作品の凄いところは、巨大化してからも一定水準のドラマを維持している事ですよ」と日本現代企画のスタッフを労ってはいるものの、「今思うと、どうせ巨大化してしまうのなら、円谷プロに残っていればよかったかな」と、現在も残るやるせない心情を明かしている。橋本プロデューサーもこうした事態を振り返り、企画責任者としての立場から「私の完全な敗北です」と無念のコメントを残している。また、実相寺は様々な媒体で『シルバー仮面』を例に挙げて、「発端を手掛けた私が駄目だった」「自分の作風はTVシリーズの第1話には向いていない」という発言をしている[6]

番組は当初予定されていた全26話で終了。再放送の機会も少なく、長年にわたって幻のヒーロー的に扱われた向きもある。製作の宣弘社でも、社内では「大人の鑑賞に耐える作品だ」と言う声はあったものの、社長である小林利雄は「これがカッコいいのか?」と不安であったと述懐している[7]。実際、本作をバンコクに輸出した際、第1話を見た視聴者から「画面が暗すぎる」とクレームが殺到[8]するなど放送当時の評価は高いものではなかった。その後、1980年代に入って各種書籍[9]に再評価の記事が掲載され、さらに映像ソフトが数度に渡って発売される[10]など、視聴できる環境が恵まれてきたことにより、放送当時は児童だった視聴者が「大人になって見返しても面白い作品」として評価を受けている[7]

シルバー仮面

父・春日勝一郎博士によって改造人間となった春日光二が変身する。改造の経緯は不明。この変身能力は劇中では「シルバーの力」または「銀の力」と呼ばれている。右拳を左掌に当て、「アタック!」(第5話から)と叫んで変身する。

タンクローリーを素手で動かすほどの怪力を誇る。しかし、基本スペックなどは不明であり、劇中でも一切語られない。劇中で確認出来る限りでは、特殊能力を使用する時やその力をフルに発揮する時に目がごく一瞬発光するものの、特に光線技や飛行能力を見せることもなく力任せな戦い方がほとんどである。また宇宙人へのとどめも、敵自身の火炎放射を利用して自滅させる、光一とひとみの銃で倒す、松明で焼き殺す、交通事故に巻き込む、崖から投げ捨てる、敵の爆弾を投げ返すなど、特に一定してはおらず、シルバー仮面が自力で倒すケースも少ない。主題歌の歌詞に存在する「シルバーキック」は、ピューマ星人とゴルゴン星人を倒してはいるものの、映像では特に必殺技として描写されているわけではない。

デザイン・造形
公式設定でも強いヒーロー像は打ち出されていないようで、デザイナーの池谷も「あまり強そうだとドラマに絡みづらくなり、面白くないから、あえて強くなさそうなデザインにした」と語っている。
一方、柴俊夫は「今でもシルバー仮面のデザインは日本で一番かっこいいんじゃないかと思っている」とコメントしている。
池谷は、「フランスの鉄仮面伝説のイメージからこれをデザインした」と語っている。この鉄仮面という意匠は、もともとは小林プロデューサーのイメージだったという。「口元が覗く」というデザインは、「ウルトラマンの口が動く当初の設定が排除されたこと」への対抗意識があったそうである。また、「円谷ヒーローがすべてウェットスーツ素材だったので、あえて違うものを選んだ」そうで、スーツには、海外へ特注した最新素材のラメ入りのジャージ布が使われた。通気性は抜群だったそうだが、替えがほとんどなく、特に白い部分は汚れが目立つ回も多かった。
目は基本的に発光しておらず、前述の発光シーンの表現はフラッシュバルブを使用して行なわれた。マスクの制作はヒルマモデルクラフトが担当。フラッシュバルブの仕掛けに苦労し、結局片目にしか仕込めず、発光描写は顔の片側からの撮影でごまかしたという。

シルバー仮面ジャイアント

第11話から登場。身長50メートル、体重5万トン。シルバー仮面が、サザン星人に破壊された光子ロケットの光子エンジンから漏れたエネルギーを受け巨大化した姿。カラーリングだけでなく、等身大時は素肌が露出していた口の部分も口唇をかたどったマスクに覆われているなどの変化が生じている。また光二の変身ポーズも変化し、両手を左右に広げてから降ろして「シルバー!」と叫んでから前方宙返りすることで変身する[11]

等身大時とは比較にならないほどの様々な武器や超能力を持ち、飛行も可能。目に録画可能なカメラアイを備えている。至近距離での核ミサイルの爆発にも動じない強靭な肉体を持つ(第23話)。

挿入歌「戦え! シルバー仮面」の歌詞には、太陽が「シルバー仮面のエネルギー」というくだりが存在するが、設定では体内に春日式原子炉を持つとされている。また、光子ロケットとの関連からシルバー仮面も同様に光子をエネルギーとしていることが窺える。

その活動や正体は春日ファミリー以外にも、ある程度一般に周知されているようで、第23話ではシルバー仮面ジャイアントがフンドー星人の攻撃から両親を守れなかったことで、光二が少年に詰め寄られるシーンがあった。

第20話での光三の台詞によれば、変身後は光二の体内に内蔵されたコンピュータの意識が優先するようである。

デザイン・造形
マスクの造形はヒルマモデルクラフトによる。マスク全面を仮面で覆い、ウルトラマン的な赤を配したデザインに変わった。池谷仙克は、「巨大化という設定が出たところでこうするより仕方なかった」と述べている。池谷はこのデザイン変更について、「等身大時の自由さが無くなってつまらなくなった」と語っている。第11話でのマスクは顎が長かったが、その後修正されている。

シルバー仮面ジャイアントの能力・武器

シルバーサーベル
ベルトから取り出す剣。投擲して使うことも多い。第11、13、15、19、21、22、24話と、頻繁に使用された。形状や動作的にフェンシングが用いられているようである。
シルバービュート
ベルトから取り出す、二又の鞭。振り回して炎を消したり、敵を捕らえて電流を流すことも可能。サザン星人が発生させた火災を消し、ノーマン星人に電流でダメージを与えたほか、フンドー星人2号の鎖分銅に対抗した。第24話ではベム5号の救助に使用。
シルバー手裏剣
ベルトから取り出す手裏剣。第11、13、15話で使用したほか、第17話ではモーク星人に視力を奪われた状態で、音と風で敵の位置を掴んで手裏剣を3発放つシルバーめくら手裏剣で勝利した。
シルバー光線
頭の突起から放つ、細い青色光線。サザン星人、バーナー星人を倒した。インバス星人にも使用。劇中では回によってシルバービームとも呼称。
空間移動
異空間を走りぬけ、離れた場所へ即座に駆けつける。第11、12、22話で使用。
シルバージャック
額から飛び出すジャックナイフ。第13話で初使用。これでサソリンガにダメージを与えたうえ担ぎ上げて投げ飛ばし、倒している。その後も第16、17、19、21、24話で使用されるなど、シルバーサーベルに次いで使用頻度が高かった。
棒状火炎放射器
短い棒状の火炎放射器。先端から火炎を噴き出すが、射程は短い。ノーマン星人戦で使用したが、弾き飛ばされてしまった。
解凍能力
全身を赤く光らせて、凍りついた体を溶かす。ノーマン星人の吹雪で凍った体の氷を溶かした。
発火能力
目を赤く2度光らせて、敵を炎上させる。詳しい原理は不明。ノーマン星人を倒した。
雨雲発生能力
右手を天にかざし、雨雲を呼び寄せる。雨でボルト星人の動きを鈍らせたほか、突き刺したシルバーサーベルに稲妻を落として敵を爆死させる技も存在。
シルバーライナー
技名を叫び、敵の頭を掴んで何度も振り回し、投げ飛ばす。モーク星人との戦いで使用するも、星人は飛行能力でUターンして反撃してきた。
シルバーロープ
ベルトから取り出すロープ。途中で三又に分かれており、それぞれの先端に小さなトゲ鉄球が付いている。ヤマシロを拘束した。
シルバーハンマー
ピン状のロケット弾と柄の長いハンマーを出し、ロケット弾を宙に浮かばせ、ハンマーで殴って敵にぶつける。空中のエマー星人を倒した。
還元光線
頭の突起から放つ、怪物にされた人間を元に戻す光線。エマー星人によって怪獣ヤマシロにされた山城キャプテンを元に戻した。
シルバー旋風斬り
ベルトから取り出した鎖分銅とシルバージャックを合体させた鎖鎌を使用した技。すれ違いざまに二回斬りつけてから、鎌を敵の頭に投げつけてとどめを刺す。ギラスモンを真っ二つにして倒した。
ダム再生能力
インバス星人に破壊されたダムの水の流れを逆流させ、ダム自体も修復。念力によるものか時間を戻したのか、詳細は不明。
シルバーランス
ベルトから取り出す、長い三叉槍。インバス星人戦で使用したが、あまり効果がなかった。
シルバーミサイル
両腕を交差させてからベルトのバックルから放つ、2発のミサイル。エネルギーを吸収するインバス星人に対し、シルバー光線とベム5号のミサイルのエネルギーを吸収させてエネルギー飽和状態にしてから、これを使用して倒した。
シルバーシールド
両手を交差させて前方に出現させる、円形の大きな盾。ガイン星人戦で使用、盾で敵の矢を弾いてから、弾いた矢を超能力で遠隔操作して敵に命中させるシルバーアロー返しを腹に命中させて倒した。
ミサイルキック
ベルトから鉄球形爆弾を取り出し、それを蹴り飛ばして敵に命中させる。飛行して逃げるゾール星人を倒した。
シルバーアックス
ベルトから取り出す、柄が長く刃が小さい斧。フンドー星人1号、2号の首を切断して倒した。文献では「シルバーアックス」となっているが、デザイン的にはハルバードに近い。
口輪
敵に投げつけて、口を塞ぐ輪。アクリオン星人の吐くアクリオン放射能を封じるために使用。
ガスを押し戻す念力
念力でガス状の物体を押し戻す。アクリオン星人の吐くアクリオン放射能を押し戻した。
シルバードリル
上半身にかぶせるように出現させて、そのまま頭から敵に突進するように使用する巨大ドリル。アクリオン星人にダメージを与えた。
シルバーレインボー
頭から放つオレンジ色の光線。アクリオン星人を倒した。シルバー光線と似たような技だが、発射ポーズは異なる。
シルバーリング
大小2つのリングを敵に投げつける。敵に頭からはまって2つのリングが4つに分裂し、黄色の光輪を発して敵を砕く。ワイリー星人を倒した。

主な登場人物

春日5兄弟

宇宙の平和的開発のために光子ロケットを開発した科学者・春日勝一郎博士の子供たち。宇宙人に殺された父の研究を引き継いでロケットを完成させ、地球を宇宙人の手から守るのが悲願である。光子ロケットエンジンの設計図は父によって5人の体に残されているらしいが、それを見る方法が不明なため、その方法を見つけることがロケット完成への大きな一助になると思い、父の知り合いを訪ねて旅を続けた。実際、ひとみ、光三、はるかの体に方程式や設計図の一部が何かの拍子で浮き上がる描写がある。だが、実は光子ロケットエンジンは既に完成しており、その隠し扉を開くにははるか以外の兄妹が全員いなければ不可能だった。

春日 光一
春日兄弟の長男、26歳。父の意思と研究を引き継いだ、優秀なロケット工学者である。父から白光銃を与えられている。どんな状況下でも、冷静な判断力を失わない。弟妹たちに対して時には厳しく接し、時には優しく見守るなど、彼らを大事に思う人情的な一面がある。
春日 光二
次男、23歳。本編の主人公。5人の中で一番体力があり、そのために父に改造を受け、シルバー仮面に変身する能力を得た。後に出会うこととなるリカに懐かれるなど、子供に好かれる一面を持つ。
春日 ひとみ
長女、21歳。設定では医大生。母親代わりとして兄弟妹の面倒を見ており、後に光二とともにリカの面倒も見ることになる。父から赤光銃を与えられている。レーダーを開発した秋山という婚約者がいる。最終話でベム5号に乗る予定だったが、「レーダー監視の役割を誰がするんだ?」と「婚約者を置き去りにするのか?」という光一の説得を受けて唯一人、地球に残り、ベム5号のレーダー観測をしながら兄達を見送った。
春日 光三
三男、20歳。設定では大学生。猪突猛進な熱血漢で、度々無茶を行ってピンチを招く。空手とナイフ投げが得意。宇宙人に殺された父を尊敬するあまり、全ての宇宙人を敵と見なして激しく憎んでいる。父から人間に化けた宇宙人を見分けるスペクトルグラスを与えられているが、巨大宇宙人が登場するようになった第11話以降は使用しなくなった。
春日 はるか
末娘、18歳。春日兄弟のうち、彼女だけは血液型がO型である(他はA型)。特に対宇宙人用の装備は与えられておらず、体力的にも精神的にも弱い少女。そのあまりの打たれ弱さは逃避行を続けるうちに激しくなり、僅かな期間で心身共に限界を迎えた。結局、その身を案じた光一の配慮で、大阪東南大学の阿部博士の元に身を寄せることになり、第8話を最後に登場しなくなった。劇中では、第9話で殺人犯として春日兄弟を追っている刑事のせりふ、および第10話の冒頭のナレーションでしか語られず、他に詳しい説明もなかった。第9話のシナリオでははるかも登場し、第9話に登場するドミノ星人のデザインにもはるかの登場が考慮されている。また、第10・11話では未出演だが、タイトルには名前がクレジットされている。

その他

春日 勝一郎
春日5兄弟の父で、ロケット工学の権威。高性能ロケット・光子ロケットを発明したが、光子ロケットを奪おうとする宇宙人達の存在を知り、エンジン部分を兄弟も知らない別の場所に隠した後、設計図を狙うチグリス星人に襲撃されて殺された。
生前から宇宙人の脅威を訴えていたようだが世間からは全く理解されないばかりか、狂人扱いされたらしく、第1話の冒頭に登場する春日宇宙研究所の看板には春の部分に「冬」、宇宙の部分に「キチガイ」と落書きされていた。
大原 道男
春日博士の弟で、兄弟からは「叔父さん」と呼ばれている。武器商人。
身勝手な性格で、金になりそうな光子ロケットの秘密を知りたがっているうえ、宇宙人に兄弟たちを売るようなまねを行うこともあったため、兄弟、特に光三からは嫌われている。一方で意外に明るく世話焼きな一面もあり、兄弟を助けることもあった。
自宅は二度描写されているが、それぞれ異なる邸宅が撮影されている。夫人と息子の紀久男以外に娘が一人いる。
大原 紀久男
第25・26話に登場。道男の息子。最終話でベム5号の乗組員となって宇宙へ旅立つ。
津山博士
第11話から登場。津山宇宙科学研究所(略称SSI)の所長で、春日博士の教え子。消息を絶った探査機の捜索を春日兄弟に依頼したことがきっかけで、活動拠点を与えるとともに兄弟を研究所の職員として迎え入れた。兄弟の良き理解者でもある。
津山 リカ
津山博士の娘。ややませていて、大人びた発言をすることもある。光二を兄のように慕っており、行動をともにすることも。最終話で光二について行きたい一心からベム5号の乗組員となり、光二とともに宇宙へ旅立った。

光子ロケット

春日勝一郎博士が宇宙の平和的開発のために開発した、高性能ロケット。2基のエンジンによって動く。春日5兄弟の体に隠されたエンジンの設計図がなくては完成しないと思われていたが、実はエンジンは既に完成しており第10話で春日兄弟に発見され、第11話で試験飛行が行われたが、サザン星人に破壊される。この時エンジンから漏れた光子エネルギーを浴びたことによって、シルバー仮面はシルバー仮面ジャイアントとなった。

ベム5号

2号から4号の試作型を経て津山博士の協力のもと、春日光一が設計開発した超光子ロケット。第20話で初登場。形状は第10話と第11話に登場した光子ロケットと同じだが、ミサイル、レーザー砲、捕獲用の鎖を装備。主にシルバー仮面の援護に使用されていた。最終話でアンドロメダ星と友好を結ぶために、太陽熱をエネルギーとして半永久的に飛行可能な補助装置を搭載され、光一・光二・光三・リカ・紀久男・アンドロメダ星人の赤ん坊・リンを乗せて、30年間の旅に出発した。リカと紀久男を乗せたのは地球に帰る頃には光一たちが年老いてしまうため、帰る時の操縦員の役目を担ってもらうという理由からだった。到着予定は2001年

スタッフ

  • プロデューサー:橋本洋二(TBS) 、小林利雄(宣弘社)
  • 音楽:日暮雅信
  • 撮影:中堀正夫、小川大次郎
  • 美術:池谷仙克、桜井克彦、山口修
  • 照明:小林哲也、松丸善明
  • 助監督:中西源四郎
  • 編集:浦岡編集室、小出良介
  • 記録:鈴木徳子、知久さとみ
  • 撮影助手:大根田和美
  • 制作進行:小迫進
  • 制作担当:安木良信
  • 視覚効果:日本エフェクトセンター
  • 録音:東京スタジオセンター
  • 音響効果:小森護雄
  • 製作協力:コダイグループ( - 第10話)、日本現代企画
  • 現像:東京現像所
  • 擬闘:高倉英二
  • 監督補(第1 - 6話)、特技監督(第11話 - ):大木淳
  • 特撮
    • 撮影:鈴木健二
    • 照明:小林哲也
    • 助監督:下村善二
    • 美術:池谷仙克
    • 美術助手:山口修(メカ類担当)
    • 特殊効果:平鍋功
    • 撮影助手:房前満男
    • 記録:桧垣久恵
    • 制作進行:鈴木道朗
  • 製作:TBS宣弘社

キャスト

  • シルバー仮面 / 春日光二:柴俊夫
  • 春日光一:亀石征一郎
  • 春日ひとみ:夏純子
  • 春日光三:篠田三郎
  • 春日はるか:松尾ジーナ(第1 - 8話)
  • 津山リカ:北村佳子(第11 - 26話)
  • 大原道男:玉川伊佐男(第1 - 3、5、7、9 -13、16、17、19 - 26話)
  • 津山博士:岸田森(第11 - 20、22 - 26話)
  • シルバー仮面:久保田鉄男(第1、2話)、加藤寿(第3 - 6、11 - 26話)、小坂生男(第7 - 11話)
  • ナレーター:森山周一郎

ゲスト出演

主題歌

  • オープニングテーマ:「故郷は地球」
  • 挿入歌:「戦え! シルバー仮面」
    • 作詞:上原正三 作曲:猪俣公章 歌:ハニー・ナイツ

放映リスト

話数 サブタイトル 登場宇宙人・怪獣 脚本 監督 放送日
1 ふるさとは地球 チグリス星人(演:戸知章二) 佐々木守 実相寺昭雄 1971年
11月28日
2 地球人は宇宙の敵[13] キルギス星人(演:甲斐武) 12月5日
3 父は炎の中に シャイン星人(演:石橋律、声:矢田耕司 上原正三 山際永三 12月12日
4 はてしなき旅 ピューマ星人(演:甲斐武、声:辻村真人 市川森一 12月19日
5 明日のひとみは… ジュリー星人(演:久保田鉄男) 樋口弘美 12月26日
6 さすらいびとの荒野 ゴルゴン星人(演:戸知章二、井口義亨、声:飯塚昭三 上原正三 1972年
1月2日
7 青春の輝き キマイラ星人(演:井口義亨) 大木淳 1月9日
8 冷血星人の呼び声 ソロモン星人(演:黒田英彦、田村明彦) 石堂淑朗 1月16日
9 見知らぬ町に追われて ドミノ星人[14](演:久保田鉄男) 市川森一 佐藤静夫 1月23日
10 燃える地平線 タイタン星人(演:井口義亮) 上原正三 1月30日
11 ジャンボ星人対ジャイアント仮面 サザン星人(演:伊藤浩市、声:上田耕一 佐々木守 田村正蔵 2月6日
12 恐怖のサソリンガ ローム星人[15] (演:戸知章二、声:増岡弘
サソリンガ(演:伊奈貫太
上原正三 2月13日
13 サソリンガ東京猛襲 2月20日
14 白銀の恐怖 ノーマン星人(演:伊奈貫太) 市川森一 山際永三 2月27日
15 怪奇宇宙菩薩 ボルト星人(演:伊奈貫太) 3月5日
16 爆発!! シルバーライナー モーク星人(演:井口義亮) 上原正三 外山徹 3月12日
17 シルバーめくら手裏剣[16] 3月19日
18 一撃! シルバー・ハンマー エマー星人(演:甲斐武)
怪獣ヤマシロテンプレート:Refnest(演:諏訪竜二)
市川森一 山本正孝 3月26日
19 逆転 シルバー旋風斬り キリー星人
ギラスモン(演:久保田鉄男)
上原正三 大木淳 4月2日
20 必殺!! シルバーミサイル インバス星人(演:久保田鉄男) 市川森一 4月9日
21 シルバー アローがえし ガイン星人(演:甲斐武) 上原正三 田村正蔵 4月16日
22 弾丸!! ミサイルキック ゾール星人(演:久保田鉄男) 4月23日
23 東京を砂漠にしろ!! フンドー星人(演:荻原紀 市川森一 福原博 4月30日
24 標的はあなた!! バーナー星人[17](演:荻原紀) 上原正三 5月7日
25 輝け!! シルバーレインボー アクリオン星人(演:伊奈貫太) 井上愉味子 田村正蔵 5月14日
26 アンドロメダ 2001 ワイリー星人(演:伊奈貫太) 上原正三 5月21日

映像ソフト化

  • 1998年10月25日に全話収録のLD-BOXビームエンタテインメントより発売された[18]
  • 1999年10月25日に発売トランスワールドエンタテインメント・発売協力ニューライン・販売ビームエンタテインメントより全9巻のVHSが単巻およびボックスで発売された[19]
  • 2000年12月10日にVHSと同じ販売布陣で全話収録のDVD-BOXが発売[20]
  • 2000年12月21日から2001年1月25日にかけてVHS・DVD-BOXと同じ販売布陣で単品のDVDが発売[20][21]。全7巻で1 - 4、5 - 7はそれぞれ同時発売。
  • 2006年9月22日に廉価版の全話収録のDVD-BOXが発売。
  • 2011年4月22日より廉価版の単品のDVDが発売。全6巻。デジタルウルトラシリーズを手掛けたデジタルウルトラプロジェクトの監修によるリマスターが行われている。キズなどの補修はなされていない[22]

漫画版

小学館の各刊行誌に独占掲載。連載期間は『別冊少年サンデー』を除き、すべて1972年1月号 - 6月号まで。番組名変更に伴い、4月号から「シルバー仮面ジャイアント」に改題されている。

脚注

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出典・参考文献

  • DVD『シルバー仮面大図鑑』(Rolans Film)
  • 『巨大ヒーロー大全集』(講談社・1988年)
  • 特番『初公開!ウルトラマンの裏のウラ』
  • 『ウルトラマンの東京』(ちくま文庫・2003年)
  • 『ウルトラマン誕生』(ちくま文庫・2006年)
  • 『シルバー仮面 アイアンキング レッドバロン大全 - 宣弘社ヒーローの世界』(双葉社・2001年)
  • テンプレート:Cite book

関連項目

テンプレート:前後番組 テンプレート:タケダアワー

テンプレート:Asbox
  1. テンプレート:Cite book
  2. 週刊テレビガイド』1972年1月21日号の「スタジオレポート/第二ラウンドに入る日曜7時特撮合戦」に掲載されたTBS番宣部の談話。
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Harvnb
  4. テンプレート:Cite book
  5. 講談社『巨大ヒーロー大全集』の座談会における橋本洋二の発言。
  6. 『ウルトラマンの東京』p78(ちくま文庫)、『初公開!ウルトラマンの裏のウラ』(『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』のメイキング特番)での座談会の発言等
  7. 7.0 7.1 『岩佐陽一・編『シルバー仮面 アイアンキング レッドバロン大全 - 宣弘社ヒーローの世界』 双葉社、2001年、190頁。
  8. 樋口尚文『テレビヒーローの創造』 筑摩書房、1993年、40頁。
  9. 宇宙船』 VOL.20(1984年)、『巨大ヒーロー大全集』(講談社、1988年)など。
  10. 『シルバー仮面 アイアンキング レッドバロン大全』 9、178頁。
  11. 柴俊夫が『テレビ探偵団』にゲスト出演した際、この変身ポーズは自分が考案したものだったと語っている。
  12. オープニングクレジットでは都築博士。
  13. 放映当日の各新聞の番組表や『週刊TVガイド』などでは、「宇宙を盗む者」となっていた。このサブタイトルは宣弘社の資料には存在しない。
  14. 池谷によると、「ムンクの叫び」が原案。
  15. 池谷によると、顔のモデルは美術助手の山口修だそうである。
  16. 「めくら」が放送禁止用語のため、1990年代末のキッズステーションでの再放送時はサブタイトルが脚本時の原題である「大阪SOS」に差し替えられている。DVDやCSファミリー劇場ホームドラマチャンネルでの再放送では本放送当時のタイトルになっている。
  17. デザイン原案は一般公募によるもの。脚本やOPクレジットでは「ツイン星人」と表記されていた。
  18. テンプレート:Cite book
  19. テンプレート:Cite book
  20. 20.0 20.1 テンプレート:Cite book
  21. テンプレート:Cite journal
  22. トピックス|シルバー仮面 DVD