コウガイビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:出典の明記 テンプレート:生物分類表

コウガイビル(笄蛭)は、扁形動物門ウズムシ綱ウズムシ目コウガイビル亜目コウガイビル科コウガイビル属に属する動物の総称である。広義にはコウガイビル亜目に属する動物の総称である。往々にして数十cmを越える陸上動物で、外見的に扇形の頭を持つ。名前にヒルとあるが、環形動物に属するヒルとは全く異なった動物である。

概要

コウガイビルは、陸上の湿ったところに生息する紐状の動物で、頭部は半月形である。名称にヒルとあるが、環形動物であるヒルとは異なり、扁形動物に属する。筋肉や神経系の発達がはるかに劣るため、運動はヒルに比べてはるかにゆっくりとしており、ゆるゆると這うだけである。種数は日本に数種以上が生息しているとされるが、詳細は不明である。扁形動物門渦虫綱に属するものは、ヒラムシ、ウズムシ(プラナリア)など、ほとんどが海産または淡水産であり、陸上生活のものはこの仲間以外にはほとんどない。近年、都会では外来種オオミスジコウガイビルという大型種が侵入している。

コウガイビルは雌雄同体とされ、体の大きさは長さが10cmから30cm、場合によっては1mを越えるのに対し、幅は大きくても1cmを越えない。厚みは数mmであり、平たく細長い体をしている。体の端部のうち扇形に広がっている方が頭部で、頭部には肉眼で見えない眼点が多数存在する。近縁のものには、頭部が広がらないものもある。体の中央腹面に肛門を兼用するがある。消化管は口から体の前方後方へと分岐しながら伸び、それぞれの先で袋状に終わる。表面は粘液に覆われ、触るとくっつく感じがしたり、体の一部が捥げてまとわり付く場合もある。自切に似た機能を持ち、たとえば体を針で刺されて地面などに固定されると即座に針によって空けられた穴を自ら拡大、解放して針による固定から逃れることができる。

コウガイビルの「コウガイ」は、昔の女性の髪飾りである(こうがい)に頭部の形を見立てたものである。

生息環境

陸棲ではあるが乾燥にはミミズやナメクジ以上に弱いので、湿った土壌、石の下、朽ち木の中などにおり、夜間に湿った所を徘徊する。肉食であり、ミミズナメクジカタツムリなどを捕食する。捕まえた獲物に体全体で巻きついて腹面の口から吻を伸ばし、肉を消化しつつ飲み込む。

人間にとって身近な場所に棲んでいて、畑地の周辺で石をめくればとぐろを巻くような形で休んでいる個体を見つけることができる。また、オオミスジコウガイビルは都会地の公園などに出没し、時として人々を驚かせる。

ファイル:Bipalium nobile.jpg
オオミスジコウガイビルの全体像。
上が頭部
テンプレート:Animal-stub