グラバー園

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テンプレート:出典の明記 グラバー園(グラバーえん)は、長崎県長崎市南山手町にある観光施設。

旧グラバー住宅などの洋風建築がある。2004年平成16年)10月1日 - 2007年(平成19年)9月30日の間、長崎市民は無料で入場できていたが、2007年(平成19年)10月1日より市民も通常料金が必要になった。

   

建造物

グラバー、リンガー、オルトの旧邸があった敷地に、長崎市内に残っていた歴史的建造物を移築している。

洋風住宅

旧グラバー住宅
貿易商であり、グラバー商会を設立したトーマス・ブレーク・グラバーが住んでいた日本最古の木造洋風建築。小山秀による1863年文久3年)の建築。裏手には馬小屋や貯蔵庫なども残っている。三菱重工業 長崎造船所を見下ろす位置にあったため1939年昭和14年)に戦艦武蔵の建造を秘匿する目的で買収され、所有が三菱重工業へと移った。1957年(昭和32年)には同造船所の創業100周年を記念して長崎市へ寄贈された。1961年(昭和36年)6月7日、主屋・付属屋が国の重要文化財に指定。
旧リンガー住宅
グラバー商会に勤め、ホーム・リンガー商会を設立したフレデリック・リンガーの旧邸。企画展示などが行われている。1869年明治2年)竣工。1966年(昭和41年)6月11日、国の重要文化財に指定。
旧オルト住宅
オルト商会を設立し、製茶業を営んでいたウィリアム・ジョン・オルトの旧邸。裏手には厨房や貯蔵庫、使用人の住まいなどがある。1865年慶応元年)竣工。1880年(明治13年)から1882年(明治15年)には活水女学校が仮校舎として使用した後、リンガーが購入してその長男が1940年(昭和15年)2月まで居住。1972年(昭和47年)5月15日、主屋・付属屋・倉庫が国の重要文化財に指定。噴水1基が重要文化財の附(つけたり)指定となっている。
旧ウォーカー住宅
ウォーカー商会を設立したロバート・ネール・ウォーカーJrの旧邸。4つの部屋がある。もとは大浦天主堂のそばに建てられていた。

その他建造物

フリーメイソン・ロッジの門
フリーメイソンのシンボルが入った門。
旧三菱第2ドックハウス
1896年(明治29年)に、三菱重工業長崎造船所第2ドックのそばに船員の休憩宿泊施設として建てられた建物。園内で最も高いところにある。内部には、船の模型や写真の展示などがある。
旧長崎高商表門衛所
長崎高等商業学校(現・長崎大学経済学部)創立時の建物。外側は洋風だが中は畳敷きである。
長崎地方裁判所長官舎
居留地外から移設したもの。現在は建物内部にレトロ写真館が営業している。
旧スチイル記念学校
東山手に建てられた、スチイル記念学校(Steele Memorial Academy)の校舎。東山学院本館を経て、幾度か所有者が変わり、グラバー園への移築前は海星学園の寄宿舎として使用されていた。
旧自由亭
1878年(明治11年)に作られた西洋料理店「自由亭」の建物。現在は、2階が喫茶室となっている。

沿革

  • 1939年昭和14年)6月30日 - 三菱重工業長崎造船所、グラバーの息子倉場富三郎からグラバー邸を買収。
  • 戦時中 - 三菱造船所のクラブ(大浦クラブ)として利用される。
  • 1945年(昭和20年) - アメリカ進駐軍の司令官公舎として接収(以後約4年間)。
  • 接収解除後 - 新生長崎の観光地としてクローズアップされ、1952年昭和27年)以来、田川務長崎市長が三菱造船所に譲渡を申し入れを行う。
  • 1957年(昭和32年)10月10日 - 三菱重工業株式会社長崎造船所創業100年祝賀式記念事業として、グラバー邸を長崎市に寄贈。一般公開(無料)開始。南山手通り3番地敷地約1,277坪、建物約173坪。
  • 1958年(昭和33年)
    • 2月 - 長崎市、550万円をかけ、グラバー邸の改修工事を実施。庭園入口の両側の土手を取り壊して石段にし、入口付近に駐車場を新設。また園内の散策道路を石畳で舗装し、閉鎖されていた邸宅内を開放した。
    • 4月1日 - グラバー邸、装いを新たにし、有料観光施設として登場。入場料は大人10円で、公園入口に料金徴収のために無人ボックスを設置。入場者の良識により料金をとるシステムが採られた。
    • 6月16日 - 入場者へのサービスのため、観光ガイド2人を採用して配置。
  • 1961年(昭和36年)
    • 4月13日 - グラバー邸登り口に休憩所が完成し、落成式を挙行。工費465万円。鉄筋コンクリート造平屋建てを建設。ガラス張りで屋上は展望台。収容能力は約100名で、観光客に湯茶のサービスを実施。
    • 5月 - 休憩所で軽喫茶を開始。
    • 6月7日 - 旧グラバー住宅(主屋・付属屋)が国の重要文化財に指定。
  • 1963年(昭和38年) 4月1月 - 入場券販売所を設置し、料金徴収を切符制へと変更。入場料を15歳以上20円(高校生は15円)に改定。
  • 1965年(昭和40年)12月25日 - 長崎市、南山手町の旧リンガー(弟)住宅及び庭園を1,800万円で買収し、整備に着手。
  • 1966年(昭和41年)
    • 1月 - 老朽化したグラバー邸の解体修理工事を開始。工費4,500万円。
    • 6月11日 - 旧リンガー住宅が国の重要文化財に指定。
    • 10月15日 - 旧リンガー住宅を一般に開放。
  • 1968年(昭和43年)
    • 3月30日 - レストハウス(洋風無料休憩所とトイレ)を新設。リンガー邸に明治時代の遺品を陳列する明治館を新設。
    • 4月1日 - 一般開放。入場料を大人50円に改定。
    • 9月19日 - 正門出入口の拡幅改装工事が完了。2.4mの石段を4.8mに拡幅。門柱を移設。
  • 1970年(昭和45年)
    • 5月31日 - 長崎市、旧オルト住宅及び庭園を取得。
    • 10月6日 - 旧オルト住宅の改修工事が完了し、一般公開を開始。
  • 1971年(昭和46年)
    • 11月 - 入場料を大人100円に改定。
    • 12月 - 壁の170個の穴から水の出る壁泉が完成。幅が40m、高さが4.5mあり、オペラ「蝶々夫人」の「ある晴れた日」の旋律を化粧石で配したもの。
  • 1972年(昭和47年)
    • 5月15日 - 旧オルト住宅が国の重要文化財に指定。
    • 5月19日 - 長崎市、旧三菱第2ドックハウス(飽の浦町)を取得。
    • 8月 - 長崎市広報誌「広報ながさき」に初めて無料入場券が登場。
    • 9月27日 - 長崎市、旧スチイル記念学校(東山手町)を取得。
  • 1973年(昭和48年)
    • 3月31日 - 長崎市、旧自由亭(馬町)を取得。
    • 8月31日 - 長崎市、旧ウォーカー住宅(南山手町)を取得。
  • 1974年(昭和49年)
    • 9月3日 - 第2期グラバー邸地区観光施設整備事業が完成。長崎市内飽の浦町から旧三菱第2ドックハウスを、東山手町から旧スチール記念学校を移設し、南山手町から旧ウォーカー住宅を移築復元。その当時、全国でも珍しかった動く歩道を2基(長さ54mのものを1基、46mのものを1基)を設置。入口が大浦天主堂のそばに移り、従来の入口は出口となった。
    • 9月4日 - 「グラバー園」と名称を改めオープン。
  • 1975年(昭和50年)9月23日 - 長崎市、旧長崎商工表門衛所(片渕町)を取得。
  • 1976年(昭和51年)3月 - 旧長崎商工表門衛所を移築復元。
  • 1977年(昭和52年)7月1日 - 長崎市、旧長崎地方裁判所長官舎(上町)を取得。
  • 1979年(昭和54年)3月 - 旧長崎地方裁判所長官舎を移築復元。
  • 1981年(昭和56年)4月1日 - 長崎伝統芸能館(くんち資料館)が開園。
  • 2003年平成15年)5月31日 - グラバースカイロードの垂直エレベーターや南山手レストハウス供用開始に合わせて、第二ゲートがオープン。
  • 2008年(平成20年)4月1日 - 管理運営を長崎市から指定管理者へ移行。

交通アクセス

ファイル:Glover-sky-road-1.jpg
第2ゲートへつながるグラバースカイロード
  • 路面電車(長崎電気軌道5号系統石橋行き)
  • バス(長崎バス
    • グラバー園入口バス停(30・40番系統浪の平・小ヶ倉・ダイヤランド方面行き)下車 徒歩(第1ゲートより)
    • 大浦天主堂下バス停(60番系統田上・大平橋・ダイヤランド方面行き)下車 徒歩(第1ゲートより)
    • 石橋バス停(60番系統田上・大平橋・ダイヤランド方面行き)下車 徒歩(グラバースカイロード経由、第2ゲートより)

公園内の移動

前述のように、最も高いところから低いところへ移動するような散策コースが取られている。また、旧オルト住宅、旧スチイル記念学校を除き、車椅子で移動できるようにバリアフリー対策ができている。斜面上にあるため、一部急な傾斜部分があるが、それほど大きな障害はない。

ハート型の敷石

ファイル:Glover heart mark.jpg
ハート型の敷石の一つ

園内の石畳の中に2箇所、ハート型の敷石(ハートストーン)が埋め込まれている。これを探し出してハートストーンに触れると恋愛が成就すると言われており、若い男女に人気となっている。2つ見つけると、良いことが起きるといわれている。ただし、広い園内だが、入園の際にもらうパンフレットの地図を見れば、見つけ出すことはあまり難しくない。

関連項目

外部リンク

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